OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

飛行物体のロック魂は未確認

2011-10-22 16:05:04 | Rock

C'mon Everybody / U.F.O (Beacon / 東芝)

歌謡フォークが全盛だった昭和40年代後半は、もちろんGSは廃れ、極端に言えば日本にはメジャーなプロのロックバンドなんてのはありませんでしたから、そんな中ではアマチュアバンドだって必然的に周囲の理解は得られません。

それでもチューリップやミカバンド、キャロルあたりが、どうにか新進のバンドとして注目されていたぐらいで、モップスはGSの残党扱い……。

ちなみにその頃は所謂「日本語のロック」なんてものは認知されておらず、例えロックぽい事をやっていても、歌詞が日本語だったら、それはフォーク!

はっぴいえんど、赤い鳥、ガロ等々にしても、ロックやソフトロックではなく、もちろん「ニューミュージック」という便利な用語もありませんでしたから、歌謡フォークは如何にも曖昧なジャンルになっていたのかもしれません。

ですからアマチュアバンドがフォークでは無い事をやろうとすれば、それは洋楽ヒットのコピーが必然であって、しかもバンドがバンドであるためには、ハードロックを演じなければ存在価値が認められないという自意識が、少なくとも当時のサイケおやじの周辺にはあったと思います。

そして幸いにも、当時は高校生にも適度にやれるハードロックヒットがどっさりあって、例えば本日ご紹介のUFOが演じるところの「C'mon Everybody」は、オリジナルがエディ・コクランのR&R聖典曲とあって、そのシンプルなノリの良さは待ってましたの定番でした。

とにかく直線的に突っ込んでいくリズムはヘヴィなビート優先主義ですし、如何にも真似し易いギターやドラムスのキメにはインスタントなカッコ良さがいっぱい♪♪~♪ なによりもボーカルがハードロックにしてはエグ味やクセの無いストレート感覚でしたからねぇ~~♪

そういうところが、我国独自のヒットとなった要因かと思いますが、肝心のUFOというバンドはイギリスで結成された4人組で、この「C'mon Everybody」を含む1970年のデビューアルバム制作発表時のメンバーはフィル・モグ(vo)、ミック・ボルトン(g)、ピート・ウェイ(b)、アンディ・パーカー(ds) という顔ぶれでした。

しかし同時期のイギリスにはゼップブラック・サバスディープ・パープルといった超一流の人気ハードロックバンドが居並んでいた所為もあったのでしょうか、UFOは泣かず飛ばすのまま、ドイツあたりで活動していたと言われていますし、それでも「C'mon Everybody」が極東の島国でヒットした事により、翌年秋には初来日公演がライプレコーディングされるという人気を掴んだのですから、やはりどこかしら幸運なバンドだったと思います。

と言うのも、ご存じのとおり、UFOは後に世界的な名声を得るスーパーギタリストのマイケル・シェンカーを迎え、いよいよ大ブレイクするわけですが、その決断のきっかけが件の日本録音から作られたライプアルバムだったという説があるんですよねぇ!?

実はマイケル・シェンカーが当時在籍していたのはスコーピオンズという、これまた後にヘビメタの大御所に成り上がるドイツのバンドだったんですが、1972年頃は未だUFOの前座を務めるのがやっと……。

しかしおそらくマイケル・シェンカーは同時期、「ライプ!UFO / Landed in Japan」と題されたアルバムを聴き、気に入ったのかもしれませんねぇ。

ただしUFOのメンバーは、そのライプアルバムを公式盤とは認めていないそうですから、話は輻輳するわけですが、それでもドイツ盤はしっかり出ているんですから、いやはやなんともです。

さて、そこでUFOの魅力はいえば、このシングル盤で楽しめる若さいっぱいの直線ロックと些か時代遅れのサイケデリック風味が共存していた初期の音楽性が、個人的には大好きです。

もちろんそこには、リアルタイムでコピーもどきの演奏を楽しんだという、青春の思い出が投影されている事を否定は致しません。また、殊更冷静にならなくとも、決して音楽的センスの良かったバンドではないUFOが、何故に幅広い時代の人気を継続出来ているのか? そんな疑問にも明確な答えは持ち併せていないのです。

ただしサイケおやじには、ど~~してもUFOが憎めないんですよねぇ~。

ということで、最後になりましたがエディ・コクランというR&Rの偉人を知り得たのは、このUFOの「C'mon Everybody」、そしてザ・フーの「Summertime Blues」という、この時期のハードロック二大ヒットであったことは、既に皆様ご推察のとおりです。

さらにゼップの「移民の歌」が、エディ・コクランが得意技としていたリズムパターンとビートのリフを用いていた事実に気がつかされたのも、それゆえの功罪ではありますが、実はゼップもライプでは「C'mon Everybody」を演じていたのですから、そのあたりは映像や音源のあれこれで確実に楽しめると思います。

しかし結果的にテクニックやフィーリングではザ・フーやゼップには勝てないUFOが、ライプの現場では長年「C'mon Everybody」をやり徹している、その事実!

ひとつのロック魂として、忘れられないファンが大勢いるんじゃなかろうか?

本当にそう思っています。

コメント
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