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サイケおやじの生活と音楽

これでプログレだったアース&ファイアー

2011-10-08 16:09:23 | Rock

アムステルダムの少年兵 / Earth & Fire (Polydor / 日本グラモフォン)

ジャズやブルースやR&Rはアメリカが本場ですが、これがロックになるとそうでもありません。

今更述べるまでも無く、ビートルズ以降はイギリスが先進地となり、欧州各国にもアメリカでは望むべくもない汎用的なロックが続々と世に出たのも、ひとつの歴史の流れであろうと思います。

そして中でも印象的だったのが、1970年代初頭の「ダッチロック」のブームで、これはショッキング・ブルーの「Venus」が世界的に大ヒットした事がきっかけではありますが、そこにはキャッチーなパワーポップからプログレまで、実に雑多な音楽性を持ったグループが少なくありませんでした。

で、本日ご紹介のアース&ファイアーという5人組は女性ボーカルが目立つというポイントにおいて、明らかにショッキング・ブルーを意識せずに聴くのは困難であり、確かに我国での初ヒットとなった「Seasons」は、なかなか耳を奪われるパワーポップでした。

ところが続けて発売されていくアース&ファイアーのレコードを聴いていくと、これが何時の間にかプログレどっぷりになっているんですねぇ~。

例えば1971年に発売された本日ご紹介のシングル曲「アムステルダムの少年兵 / Song Of The Marching Children」は、セカンドアルバム(?)に入っているバージョンとは異なるテイクで、もしかすると編集バージョンかもしれませんが、とにかく本篇が20分ほどだった事を思えば、このグループの狙っていた音楽性が知れようというものです。

メンバーはJerney Kaagman(vo)、Chris Koerts(g,vo)、Gerard Koerts(key)、Hans Ziech(b)、Ton van der Kley(Dr) がこの時点のレギュラーだったと言われていますが、あえてクレジットどおりに表記したのは、オランダ語が日本語には書き表わせないほど発音が日本人に向いていないからです。

しかし一座のスタアだった女性ボーカリストが如何にもイケイケのセクシー美女だった事から、アース&ファイアーが我国でそれなりに注目されていた昭和46(1971)年前後には、ジャーネイ・カーフマンと紹介されていましたですねぇ。

それは掲載したジャケ写でも一目瞭然、当時としても衝撃的な本人のオールヌードが強烈なウリですし、しかも周囲のバンドメンバーがダッセ~~!?

典型的な美女と野獣のコントラストが、このグループの全てを表わしていると理解されても、それはそれで正解と言う他はありません。

ただし前述したように、この頃のアース&ファイアーはキーボードを上手く使ったプログレ街道を邁進中で、「アムステルダムの少年兵 / Song Of The Marching Children」にしても、キラキラしたイントロには当時のキーボードプレイの定番的な使い方が顕著であり、幾分オールドテイストなギターが逆に新鮮というあたりは侮れません。

もちろん幻想的なコーラスとキーボードを併用した豊かな曲メロへの彩り、そして虚無的でありながら力強いリードボーカルは、これがジャーネイ・カーフマンの得意とする表現でした。

ところが、このジャケットですからねぇ~~。

狙っていたのはわかりますが、どこかしら暴投気味だったことは否めませんし、ネタバレがあるんで詳らかには出来ませんが、実はこのショットの逆説的なオチのあるカットも残されていますから、どうか皆様には各自で探索されん事をお願いする次第です。

ちなみに似たようなコンセプトのジャケットデザインは、我国のフラワーズが昭和44(1969)年に唯一残したアルバム「チャレンジ!」にも見られますので、これもぜひっ!

しかしアース&ファイアーの名誉のために書き添えておきますが、この当時に作られていたアルバムはプログレファンには定番的な人気作品であり、1970年代のロック喫茶でもプログレ多用の店では常備されていましたですねぇ。

実はサイケおやじも、そこでアース&ファイアーの真実に触れたようなところがあるのです。極言すれば、ムーディ・ブルースやキング・クリムゾンに近い味わいまで感じられるんですよ♪♪~♪ 残念ながらライプステージには接した事がありませんが、歌と演奏の実力も決して下手では無かったと思います。

ということで、今となっては単なるエロジャケットのひとつとしてしか話題になる事もありませんが、ロックが一番ロックらしかった1970年代には世界中で様々なミュージシャンが売れるための意欲を燃やしていたという、その証のような1枚が、これじゃないでしょうか。

もちろんオリジナル盤が掲載したようなピクチャースリーヴだったか否かは、知る由もありませんが、少なくとも日本のレコード会社は全力を尽くしたに違いありません。

そんなところにも好感が持てる1枚になっています。

最後になりましたが、本日は三連休の初っ端ということで、掲載画像も成人指定の大サービスと相成りました。

そういう部分も拙プログは大切にしたく思いますので、今後ともよろしくお願い致します。

コメント (2)
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