OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

梶芽衣子 vs 大野雄二

2011-10-03 15:48:59 | 歌謡曲

はぐれ節 c/w 牙のパラード / 梶芽衣子 (テイチク)

さて、昨日に引き続き、本日も大野雄二関連の楽曲であります!

ご存じ、梶芽衣子が人気沸騰期の昭和48(1973)年に主演したテレビドラマ「戦国ロック・はぐれ牙」の主題歌&挿入歌をカップリングしたシングル盤なんですが、今となっては大野雄二と梶芽衣子のコラポレーション……??? なぁ~んて、ちょいとしたミスマッチの先入観を感じてしまわれる皆様も大勢いらっしゃるかもしれませんねぇ。

なにしろ当時の梶芽衣子と言えば、あの日本映画史に輝く「女囚さそり(東映)」シリーズをメガヒットさせ、その主題歌「怨み節」もヒットパレードを席巻していたのですから、発売されるレコードは、ど~しても歌謡曲系怨歌というイメージが抱かれて当然でしょう。

一方、大野雄二は今日、フュージョンサウンドを駆使した「ルパン三世」諸作のサントラ音源、あるいは松田優作主演の劇場用本篇「遊戯シリーズ(東映)」等々で堪能出来るサスペンス風味のジャズフュージョン、そしてCMやテレビ関連音源でのハートウォームな世界が一般に定着していますから、歌謡曲の仕事にしても、昨日ご紹介した、しばたはつみの「シンガー・レディ」あたりが真っ先に思い浮かんでしまう中で、梶芽衣子とのレコード制作は、う~ん……。

そういう気分が優先されても、それはサイケおやじにも納得出来る部分があります。

しかし同時に、このシングル盤はテレビドラマとはいえ、当時の梶芽衣子の女優としてのイメージを活かしたアクション&ハードボイルドな本質が実に熱い、まさに局地的人気作品の劇伴ですから、とにかく聴けばシビれるのは必至ですよ!

ちなみに件のドラマを「局地的人気作品」と書いたのは、フジ系列で昭和48(1973)年8~9月、僅か9本だけが放送されたという実績が全てを物語るように、結局は視聴率争いに敗北したのが幻化の要因だと言われています。

それでもサイケおやじは相当に夢中になったのは言わずもがな、速攻で掲載したシングル盤をゲットさせられたほどっ!

それはA面の「はぐれ節」からして、いきなり炸裂する16ビートにテンションの高いホーンリフ、さらに哀愁&サスペンスフルなイントロが、もう完全に「ルパン三世」しているんですねぇ~~♪

もちろん梶芽衣子のボーカルは所謂ドスの効いた歌い出しから、十八番の幾分細い高音で伸びのある節回しを披露するサビの気持良さが痛快! また独得のコブシも冴えまくりですよ♪♪~♪

そして、もうひとつ耳を奪われるのがリズム隊のヘヴィ&シャープなグルーヴの凄さで、これを昭和48(1973)年当時の我国で実践していた大野雄二の感性は流石というところでしょう。

粘っこいストリングの調べやチャカポコのリズムギターも良い感じ♪♪~♪

アルトフルート(?)による尺八調の間奏も、これが「ルパン三世」へと転用される雛型かもしません。

ところがB面の「牙のパラード」では、タイトルどおりにグッとテンポを抑制したジャジーなリズム隊と哀愁たっぷりのハーモニカで醸し出されるイントロのメロデイからして、新しい歌謡曲の誕生という事でしょうか。

細いけれども芯のしっかりした高い声でストレートに歌う梶芽衣子が、そのあたりをじっくりと把握した魂のボーカルを聞かせてくれるのは言わずもがな、なにやら時代を味方につけたが如き雰囲気の良さも特筆物だと思います。

それが両面2曲共、大谷実:作詞&大野雄二:作編曲というソングライターコンビにも逆伝染したのでしょうか?

とにかく、ここでの退廃的で鋭いムードこそが、日活時代のヒットシリーズ「野良猫ロック」等のニューアクション路線から継承される梶芽衣子そのものと言っては、以降にまだまだ秀作&傑作を残した彼女には失礼だとは重々承知しています。しかし、そうした魅力を堂々と表出可能なのは、未だ梶芽衣子以外には存在していないのです。

あぁ~、何度聴いてもシビれがとまりません!

現在ではCD化もされておりますので、ぜひとも皆様にもお楽しみいただきとうございます。

そしてすっかり幻化している「戦国ロック・はぐれ牙」の復刻パッケージ化も、ぜひっ!

コメント
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