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サイケおやじの生活と音楽

マリスカ・ヴェレスは不貞節ロックか!?

2011-09-04 15:41:01 | Rock

Venus / The Shocking Blue (Colossus / 日本グラモフォン)

スージー・クアトロはまちがいなく本格派女性ロッカーだと思いますが、しかしそのジャンルには、決して彼女が初めて登場したわけではありません。

例えばジャニス・ジョプリンジェファーソンズのグレース・スリックは特に有名でしょうし、我国のフラワーズに麻生レミが在籍していたように、1970年に世界中で大ブレイクしたショッキング・ブルーの紅一点ボーカリストだったマリスカ・ヴェレスも、そのひとりとして忘れられません。

それは本日ご紹介のシングル曲「Venus」が、ほとんど突発的に大ヒットしたという、なにか今でも信じ難いような勢いが全てを物語っているように思います。

なにしろショッキング・ブルーはオランダ出身のバンドであり、この「Venus」にしても前年に本国でヒットはしていますが、それは決してチャートのトップでありませんでした。

ところがアメリカでは1970年に発売されるや、忽ちにウケまくり!!?!

もちろんナンバーワンヒットとなったばかりか、その勢いが欧州各国に飛び火した流れから、我国でも破格の洋楽ヒットになったわけですが、その魅力は調子の良いロックビートとキメの覚え易さに加え、リードボーカルのマリスカ・ヴェレスが如何にもスベ公っぽい佇まいで不貞腐れたように歌う雰囲気が、ある意味でロックの本質に迫っていたんじゃないでしょうか。

ちなみにショッキング・ブルーは1967年頃から活動していたらしいですが、この当時のメンバーはマリスカ・ヴェレス(vo)、ロビー・ファン・レーベン(g,key)、クラーシェ・ヴァン・ダー・ヴァル(b)、コーネリス・ファン・ダー・ビーク(ds) という4人組になっていて、音楽的な中心人物は、ほとんどの演目を作編曲していたロビー・ファン・レーベンでありながら、業界やファンはマリスカ・ヴェレスが歌ってくれれば、それで良かったというノリがあったように思いますねぇ~♪

それほど彼女の存在はルックスも含めてアクが強く、個性的でありました。

ですから我国では「Venus」以上に大ロングセラーのビッグヒットになった「悲しき鉄道員 / Never Marry A Railroad Man」、そして他にも「悲しき恋心 / Blossom Lady」や「明日に向う道 / Long And Lonesome Road」といったシングル盤が売れまくり、翌年の来日公演では大物外タレの証である「ライブ・イン・ジャパン」のアルバムを作ってしまうという快挙までっ!

その他にも世界的ブレイク以前、しかもマリスカ・ヴェレスが参加していないアルバムまでも日本盤が出たり、また我国独自にカットしたシングル盤や各種ベスト盤の執拗な発売は、現実的にショッキング・ブルーが解散した1974年以降も続いたほどです。

結局、今となっての世界的な評価は所謂「一発屋」という事で落ち着いていますが、しかし日本ではマリスカ・ヴェレスの神通力によってロックを歌い始めた女性ボーカリストが昭和50年代中頃までのアマチュアバンドには、本当に大勢いましたですねぇ。

個人的には前述した「ライブ・イン・ジャパン」での、マジでテキトーなマリスカ・ヴェレスの歌いっぷり! 合わせてラフなバンドの演奏が如何にもワイルドで、これはライプ盤の隠れた傑作かもしれないと思うほどなんですよっ!

ところが後年、なんとっ! 業界内部から明らかにされた事実によると、ショッキング・ブルーは日本や日本人が大嫌いだったそうで、その原因はメンバーの肉親が第二次世界大戦で日本軍の捕虜になったり、戦死させられたりしたからという原因もあるらしいのですが、本質は単なる人種差別かもしれず、それゆえに我国でのステージではファンを侮蔑しつつも、半端じゃない金儲けをさせてくれるというジレンマが、そういう「なげやりな感性」でロック本来の姿勢を完結させていたとすればっ!???!

いゃ~、このエピソードを知った時には、文字通りショッキング・ブルーな気分になりましたですよ……。本気でレコード、叩き割ってやろうと思ったほどです。

う~ん、ロックって、案外いろんな要因で成り立つもんですねぇ~~。

しかし、この「Venus」の良さは絶対に不滅であり、それが証拠に、これまでも何度かリバイバル&リメイクヒットしていますし、ほとんどズンドコ節と変わらないリズムを演じてしまったアマチュアバンドは数知れずでしょう。

サイケおやじも、そのひとりとして、ここに告白する次第なのでした。

コメント (5)
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