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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

混乱するのもジャズ

2007-09-27 17:50:03 | Weblog

相変わらず揺れ動く日本相撲協会!

あの世界ではリンチと受け取られる稽古は日常茶飯事なんでしょうが、親方が逮捕されたら部屋は消滅なんでしょうかねぇ……。

ちょっとした行き過ぎが、取り返しのつかない事故につながるのは、この世の常と自戒しています。

ということで、本日は――

Monk's Music / Thelonious Monk (Riverside)

ほとんどのガイド本に掲載される名盤ですが、私はかなり長い間、好きになれませんでした。

まずメンバーに統一感がないなぁ~、なんて不遜なことを感じていましたし、曰く「混乱と緊張の名演」という定見も、???だったのです。

しかし、ある日突然、あぁ、スゲェ~! と感じ入りました。それがどういうキッカケかは、今もってわからないんですが……。きっと神様の思し召しなんでしょう。

録音は1957年6月26日、メンバーはレイ・コープランド(tp)、ジジ・グライス(as)、ジョン・コルトレーン(ts)、コールマン・ホーキンス(ts)、セロニアス・モンク(p)、ウィルバー・ウェア(b)、アート・ブレイキー(ds) というゴッタ煮の面々です――

A-1 Abide With Me
 4管で吹奏される厳かなメロディは伝承された賛美歌らしいです。そして愕いた事にリズム隊が入っていません。ということは、セロニアス・モンクも居ないんですねぇ。
 う~ん、それにしても安らぎます♪

A-2 Well, You Needn't
 と余韻を楽しんでいると、いきなり不気味なピアノとベースが鳴り出して、刺激的なテーマメロディが始ります。あぁ、この瞬間のカッコ良さこそ、このアルバムのハイライトかもしれません! 何度聴いてもシビレます♪
 もちろんアドリブパートは、セロニアス・モンクが不協和音の嵐の中から独自の秩序を作り上げていく展開に緊張感がいっぱい! 背後ではアート・ブレイキーが大技・小技で絶妙のサポートです。
 そして「コルトレーン、コルトレ~ン!」と呼び出されてアドリブをスタートさせるジョン・コルトレーンも実にテンションの高い出来なんですが、ここでいつも問題視されるのは、コルトレーンがボケ~ッとしていて出番を間違えた云々という伝説です。
 しかし私には、何度聴いてもセロニアス・モンクが自分のパートを早く終わらせたとしか思えないのですが……。アート・ブレイキーやウィルバー・ウェイが慌てている様も印象的です。
 まあ、それゆえにジョン・コルトレーンが素晴らしい演奏をしてしまったとも言えるのでしょうか。続くレイ・コープランドもクールな快演ですし、ウィルバー・ウェアの裏街道的なベースソロも強烈ならば、アート・ブレイキーのマイペース型のドラムソロも流石だと思います。
 さらに各々のアドリブコーラスの背後では、セロニアス・モンクの意地悪く烈しい伴奏が響きますからねぇ~。これには巨匠のコールマン・ホーキンスも迷い道……。しかしそれが何時しか、グイノリの自己主張に移り変わっていくあたりに、ゾクゾクしてきます。
 またジジ・グライスの煮えきっていないアドリブが、これまた不思議なほどにセロニアス・モンクの伴奏に合っているのでした。

A-3 Ruby, My Dear
 コールマン・ホーキンスが一人舞台のバラード吹奏で、これが実に素晴らしい♪ 素材は全くセロニアス・モンクの世界にどっぷりのメロディなんですが、余裕と貫禄のテナーサックスが堂々の鳴りっぷりです。
 もちろん伴奏するセロニアス・モンクのピアノも素晴らしく、イメージ的には正反対の2人が魂の共演を聴かせた、これぞ名演だと思います。そしてここまでのA面の流れは、モダンジャズ最高の瞬間かもしれないと、ひとり納得しているのでした。

B-1 Off Minor
 これもモンクス・ミュージックを代表する名曲・名演です。混濁寸前のテーマ合奏が終わってからグイノリで飛び出すコールマン・ホーキンスのテナーサックスが、とにかく見事です。
 続くレイ・コープランドのトランペットは、やや利己主義っぽい気も致しますが、アート・ブレイキーの上手いドラミングが救いでしょうか。
 そこにセロニアス・モンクのピアノが入ってくると、またまた修羅場になるのですが……。まあ、こういう味わいが難解だ! とか言われるんでしょうねぇ、私は大好きですが。

B-2 Epistrophy
 と、ひとり納得していたら、これまた意味不明の混乱が強烈なテンションを呼び込んだ名演です。
 曲はビバップ創成のカギとなったセロニアス・モンクの難しいオリジナルですから、勢いのあるテーマ合奏からして最高! アドリブ先発のジョン・コルトレーンも必死の吹奏ながら、もちろん後年のシーツ・オブ・サウンドと呼ばれた音符過多症候群は出せません。しかしそれでもウネウネクネクネと迷い道を演じるところが、独特の魅力になっています。
 演奏は続けてレイ・コープランド、ジジ・グライスと続き、リズム隊のパートも激烈ですが、その後に出たコールマン・ホーキンスが一端吹き始めて、すぐにアドリブを止めてしまうんですねぇ……。しかも2回も同じことをやってしまう大ボケは、思わず笑うしかない雰囲気なんですが、何度も聴くうちに、実は間違えたのはリズム隊じゃないのか!?
 まあ、このあたりは素人の私が詮索するには高度すぎる展開なので、素直に緊張感を楽しんだほうが、得策かと……。

B-3 Crepuscule With Nelue
 ほとんどアドリブパートが無いに等しい、短めの曲ですが、この味わい深いスローな世界こそ、セロニアス・モンクだと思います。


ということで、アルバムのプログラムというか、アナログ盤片面の流れも充分に考え抜かれた名盤だと思います。ちなみにステレオ盤にはオーラスの「Crepuscule With Nelue」が入っていないそうですが、本当でしょうか……?

まあ、個人的にはA面集中聴きなんで、問題無いところです。

やっぱり、これは名盤でした!

コメント
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