OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

やっぱり凄いジャズメッセンジャーズ

2007-09-02 15:45:20 | Weblog

昨日も街へ出たついでにCD&DVD屋とか中古盤屋を巡り、散財してしまいました……。しかも家人に見つかると煩いので、車の中に隠しているというテイタラクです。

ノビノビと好きなものを楽しめるようになりた~い!

なんて妖怪人間のような不遜な気分になっておりますが、そこで本日は――

Tokyo 1961 + London 1965 / Art Blakey's Jazz Messengers (Impro-Jazz)

アート・ブレイキー率いるジャズメッセンジャーズのテレビ出演ライブを2つ纏めたDVDで、これらは既にビデオ&LDとして出回っていた映像ですが、音質面がイマイチでしたので、これに期待して入手してみました。

結論から言うと、画質は若干向上、音質はかなり改善されています。ただし原版の劣化に起因する部分的な欠落は残念ながら……。

☆1961年1月11日、TBSスタジオ
 今では歴史となっているジャズメッセンジャーズの初来日で録られた映像です。メンバーはリー・モーガン(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ボビー・ティモンズ(p)、ジミー・メリット(b)、アート・ブレイキー(ds) という黄金期の顔ぶれで、ファンキーを超越してモード手法も取り入れた新鮮な演奏は、広く一般の音楽ファンをも魅了しただけでなく、我国の音楽業界にも多大な影響を与えたと言われています。
 実際、ここに記録された演奏は非常にテンションが高く、これはモダンジャズ全盛期の記録として、とても貴重だと思います――

01 The Summit
02 Dat Dere
03 A Night In Tunisia
04 Yama

 以上の4曲は、当時バリバリの演目で、モード手法に基づく「The Summit」はスピード感溢れるノリと新鮮な感覚のアドリブが凄い! 早くも異次元に飛んでいるウェイン・ショーター、強烈なツッコミのリー・モーガンは絶好調です。バックで煽るアート・ブレイキーのドラミングも燃えまくりなんですねぇ~♪
 またゴスペルファンキーな「Dat Dere」ではボビー・ティモンズが大暴れ! そして思わせぶりな曲調の「Yama」ではミステリアスなウェイン・ショーターと情感たっぷりのリー・モーガンが絶妙なコントラストを堪能させてくれますが、ここでもボビー・ティモンズがディープな存在感を発揮して、聞き逃せない名演になっています。
 しかし何と言っても印象的なのは、このバンドには欠かせない「A Night In Tunisia」でしょう。アート・ブレイキーのアフロなドラミングは言わずもがな、メンバー全員が打楽器を持って烈しくグルーヴする前奏パートは、独自のリズム的興奮があって、たまりません♪ もちろんテーマ吹奏の迫力も満点ですし、アドリブパートでの容赦無い雰囲気は怖ろしいほどです!
 映像的な見所としては、それほど凝ったカメラワークが無いので、逆に演奏そのものに集中出来ますが、リー・モーガンの指と唇の動きは印象的ですし、随所に観られる緊張感と真摯な演奏姿勢は、当時のバンドがトップを張っていた証だと思います。

05 Moanin'
06 Blues March

 この2曲には我国を代表するビックバンドのシャープス&フラッツが加わっています。しかし特に凝ったアレンジや仕掛けは無く、あくまでもジャズメッセンジャーズが主体となって、お馴染みのヒット曲が豪快に演奏されます。
 リー・モーガンのアドリブには「お約束」のフレーズが満載ですし、ウェイン・ショーターは持ち前のオトボケ寸前の奇天烈なアドリブで周囲を戸惑わせつつも、予定調和のサービス精神を忘れていません。
 そしてもちろん、ボビー・ティモンズは期待に応えた熱演です♪ ここは鍵盤を蠢く指の動きもしっかりと映し出されているのが嬉しいですねぇ~~♪

☆1965年3月7日、Cine-Tele Sound Studio
 後半はロンドンに巡業した時の演奏ですが、この時期のジャズメッセンジャーズは、やや落目の……。しかしそれは以前の充実度が異常に高かった所為であり、これだって贔屓の引き倒しではなく、決してダメな演奏だとは思いません。
 メンバーもアート・ブレイキー(ds) 以下、リー・モーガン(tp)、ジョン・ギルモア(ts)、ジョン・ヒックス(p)、ビクター・スプローズ(b) という実力者が揃っているのです。
 ちなみにこのパートでのチャプターが、ジャケットではプリントミスになっていますので、下記に訂正しておきます――

07 The Theme - Introduction
08 On The Ginza
09 Lament For Stacy
10 The Egyptian
11 I Can't Get Satrted
12 Buhaina's Delight - The Theme

 演奏は時期的にモード主体に変化しており、特にジョン・ヒックスはマッコイ・タイナー丸出しのモード節ですが、これが意外と快感なんですねぇ~~♪
 またジョン・ギルモアは、もちろんウェイン・ショーターに比べて格も実力も下なのは明らかなんですが、その真摯な演奏態度には好感が持てます。「The Egyptian」ではフリーに接近した熱演!
 それとリー・モーガンが、やっぱり良いです! 特に自身が書いたオリジナルの「Lament For Stacy」ではシミジミ&ミステリアスなミュートが冴え渡り♪ 「The Egyptian」ではモードで突進する十八番の展開が楽しめますし、スピードにノッた「On The Ginza」も爽快です。
 肝心の親分=アート・ブレイキーはオーラスの「Buhaina's Delight」になって、ようやくの大暴れ! と言ってもアフロ色はそれほどなく、時代を意識したかのような無機質なところが、ちょっと物足りない感じです……。
 しかしこの曲では、メンバー全員が大熱演で大団円! アート・ブレイキーも最後の最後で本領を存分に発揮するのでした。

――ということで、特に珍しい映像ではないのですが、モダンジャズ黄金期を記録しているのは確かです。画質は「A-」程度程度ですが音質は良いでの、入門用に良いかもしれません。

特にリー・モーガンの好調さは驚異的♪ これだけで鑑賞する価値があると断じます。

コメント
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