OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

素晴らしき再会

2007-09-29 18:04:51 | Weblog

あ~ぁ、今日はケイタイを階段から落とし、壊してしまったです。

本体そのものはともかくも、中のデータが壊れたのは痛いですねぇ。先週、バックアップを取っていたのは、ムシの知らせだったかもしれませんが……。

ということで、本日は――

Reunion Blues / Oscar Peterson (MPS)

「再会のブル~ス」というアルバムタイトルどおり、オスカー・ピーターソン所縁のメンバーが4人揃った快演盤です。

録音は1971年7月、メンバーはオスカー・ピーターソン(p)、ミルト・ジャクソン(vib)、レイ・ブラウン(b)、ルイス・ヘイズ(ds) というソウルブラザー4人組♪ もちろん各人が気負う事なく、イキイキとしたジャズ魂を発揮しています――

A-1 Satisfaction
 初っ端からスピードがついて豪快なグルーヴが満喫出来る演奏ですが、素材はもちろんストーンズの代表曲ですから、吃驚です。といっても、あの有名なテーマメロディとかリフは、ほんのちょいとしか聞けません。徹底的に派手な4ピートで4人がブッ飛ばしているのです。
 ちなみにジャケット外側には演目の記載がなく、見開きの中を確認して初めて、おぉ~! と感動するわけですが♪ とにかく痛快なハードバップで、スカッとします。

A-2 Dream Of You
 一転してゆったとしたテンポで演じられる和みのバラード演奏♪ レイ・ブラウンのベースが全体をリードしています。
 その中で自由に浮遊するが如きミルト・ジャクソンの歌心は最高! するとオスカー・ピータソンは物凄いテクニックを全開させ、その場の空気を支配していく様が圧巻です。
 ルイス・ヘイズはブラシとステックを併用して抜群のサポートに撤すれば、レイ・ブラウンは絶妙の絡みでメンバーの気持ちを繋いでいるようです。

A-3 Someday My Prince Will Come
 これまたお馴染みのテーマメロディが、一筋縄ではいかないメンバーによって変奏されていく、本当にたまらない演奏です。
 個人的にはオスカー・ピーターソンが弾き過ぎのような気もしていますが、レイ・ブラウンの必死の説得ようなベースの絡み具合が絶妙ですから、それも心地良い疲労感でしょうか。もちろんレイ・ブラウンは秀逸なアドリブソロも聞かせてくれます。
 そしていよいよ登場するミルト・ジャクソンは、やや余所行きの感じも漂いますが、なかなか過激で新しい展開を聞かせてくれるのでした。う~ん、時代が時代でしたから……。

A-4 A Time For Love
 個人的には一番好きな演奏が、これです。
 良く知られた魅惑のテーマメロディを素材に、まずミルト・ジャクソンがバラード演奏の真髄に迫ります。自由度の高い伴奏に撤するリズム隊も、暗黙の了解の極北でしょう。強いビート感も全く失われておらず、何時しかグイノリになっているあたりは名人芸です。
 そしてオスカー・ピーターソンが登場するパートでは、強烈にテンポアップしてメリハリをつけ、再びスローな展開に戻していくという、本当にニクイ演奏になっています。
 
B-1 Reunion Blues
 アルバムタイトル曲は、ミルト・ジャクソンとオスカー・ピーターソンが以前に競演した名盤「ヴェリー・トール(Verve)」でも演奏されていたわけですが、この再演バージョンはジャズロック風味も付いたテーマ解釈からグルーヴィなアドリブに突入していく新展開が、もう最高です。
 もちろんミルト・ジャンソンは十八番のブルースリックを出しまくり♪ するとオスカー・ピーターソンがジョン・ルイス風のツッコミを入れてアドリブを引き継ぐあたりで、ニヤリとさせられます。はははっ、このバンドはMJQの裏版ですからねぇ♪
 演奏はこの後、豪快なオスカー・ピーターソンと緻密なレイ・ブラウンのベースソロへと続きますが、全篇で馬力のドラミングを聞かせるルイス・ヘイズも実に良いですねぇ~♪

B-2 When I Fall In Love
 レイ・ブラウンが主役となったバラード演奏で、メンバー全員の繊細なジャズ魂が楽しめます。特に余韻の残し方が上手いミルト・ジャクソンは、歌心の塊のようなアドリブが秀逸です。
 またオスカー・ピーターソンが、至極当たり前に弾いてくれる凄いフレーズは素晴らしい限り! レイ・ブラウンの露払いまでも自然体に務めてしまうのでした。

B-3 Red Top
 オスカー・ピータソンとレイ・ブラウンの息の合ったコンビネーションからスタートするグルーヴィな演奏です。その2人の中にすぅ~と入っていくミルト・ジャクソンが、いつしか場を仕切ってしまうあたりも痛快ですし、粘っこく盛り上げていくルイス・ヘイズも流石ですねぇ~♪ 4人がバラバラをやっているようで、実はひとつの磁場を作り上げていく様は、ジャズが最高! という瞬間を何度も堪能させてくれます。
 そしてオスカー・ピーターソンのソウルフルな自己主張から全員が絡んだクライマックスまで、見事にノセられてしまうのでした。

ということで、全員がリラックスして所期の目的を達成した名演集! このレーベルの持ち味である録音の良さが、尚一層、演奏に輝きを与えているようです。

しかも単なる再会セッションに留まらず、当時のジャズの最先端であるロック色を感じさせる演奏や選曲の妙、さらに深化したグルーヴの凄さが、本当に4ビート万歳主義で楽しめるのです。

しかし、そのあたりは、ある種の気恥ずかしさに繋がっているみたいで、1970年代のジャズ喫茶では鳴ることが少なかったように記憶していますが、けっこう所有欲を刺激されるアルバムではないかと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする