OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

朝靄のビリー・テイラー

2007-09-24 17:50:04 | Weblog

今日も爽やか日本晴れ♪ しかし今日も仕事でした……。

まあ、最近ば物欲に苦しめられているので、勤労意欲もあるんですが……。

ふっと気がつくと、こんな事、何時までやっているか……。

と自問自答する自分に愕然としたりします。

ということで、本日は――

One For Fun / Billy Taylor (Atlantic)

ビリー・テイラーは黒人でありながら広く大衆的な人気と社会的な名誉を得ている実力派ピアニストです。しかしそれは本場アメリカでの話であって、我国では一部の熱狂的なファンに支持されているにすぎません。

まあ、1980年代頃までは、そんな感じでした。

それがバブル期になってアナログのオリジナル盤が高値を呼び、ちょっと珍しいというか、それまで無視されていたような作品が掘り起こされてきた時、一躍人気盤となったのが、このアルバムです。

確かその頃、我国で復刻されたアナログ盤が、あっという間に売り切れたという伝説まで残されたと記憶しています。

本来、ビリー・テイラーというピアニストは指は良く動くし、黒人らしいグルーヴィな表現も、また洒脱な歌心に溢れた展開も、全く自在に演じることが出来るテクニシャンですから、人気が出ないほうがおかしい存在でした。

その活動は1950年代前半からプレスティッジやリバーサイドといった名門インディーズからABCパラマウントあたりのメジャーカンパニーまで、幾多のレコーディングを残しています。しかし何故か我国では無視されていたような……。実際、1970年代のジャズ喫茶でも積極的に鳴らしていた店は、それほどなかったと思います。

ところが、このアルバムだけは突発的な人気盤! なんとなくそれは、ある日突然の出来事だったような気がしますねぇ。まあ、それまでもマニアの間では聴きつがれてきた作品だったと思いますが……。

録音は1959年6月24日、メンバーはビリー・テイラー(p)、アール・メイ(b)、ケニー・デニス(ds) というシブ過ぎる面々です――

A-1 Summertime
A-2 One For Fun
A-3 That's For Sure
A-4 A Little Southside Soul
A-5 Blue Moon
B-1 Makin' Whoopee
B-2 Poinciana
B-3 At Long Last Love
B-4 When Lights Are Low

――という演目は、有名スタンダードを中心にビリー・テイラーの自作曲を織り交ぜたバランスの良い流れで、聴き通して非常に気持ちが良いところ♪ もちろん曲毎の演奏も充実しています。

特にアルバムタイトル曲の「One For Fun」はビリー・テイラーにしても会心のオリジナルなんでしょうか、哀愁が滲むテーマメロディにはファンキー感覚も加味された魅力があり、またアドリブも歌心いっぱいのフレーズが最後まで流れるように連なっていくという、もう最高の展開です。小粋な雰囲気からダイナミックな盛り上げまで、決して力むことのない演奏が楽しめるのです。

また同系オリジナルの「That's For Sure」や躍動的な解釈が楽しい「Poinciana」も和みます♪

そして極みつきがA面ド頭の「Summertime」でしょう。ビリー・テイラーの名人芸によって、お馴染みのメロディが絶妙に解釈されていくテーマ部分だけで、グッと惹き込まれますし、「間」を活かしきったアドリブパートは、緊張感と和みの両立という神業です。それも極めて自然体なんですねぇ~♪

さらにゴスペルをミステリアスに変奏したような「A Little Southside Soul」もビリー・テイラーのオリジナルながら、ニュースタンダードの候補としても許される名曲名演だと思います。

ということで、全篇がリラックスして聴ける小粋な傑作盤♪ 朝靄の中みたいなハイキー調のジャケ写も、アルバムの夢見るような出来栄えを表していると思います。

サイドメンもベースのアール・メイはジョン・コルトレーン(ts) やデューク・エリントン(p) との共演が有名な隠れ名手ぶりを存分に聞かせてくれますし、イモ寸前のアクが印象的なケニー・デニスは、私の密かなお気に入り♪

ですから、ピアノトリオがブームになれば、一躍人気アイテムになるのもムベなるかな! ただしオリジナル盤は質の良いブツを探すのが苦労するほどで、私有盤も決して良好とはいえません。そこで再発日本盤やCDを聴くことが多い、と告白しておきます。

つまり飽きないアルバムというわけですが、これが人気盤になったのは、誰かの仕掛けがあったのでしょうか? ちなみに私は某中古店で聞かせてもらい、気に入ったのですが……。

コメント
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