本日は「敬老の日」ということで、ささやかながらも両親にプレゼントを贈ったら、怪訝な顔をされてしまったですよ。慣れないことするもんじゃないという教訓でしょうね。
あと、一足早く彼岸の寺参りもやらせてもらいました。
ということで、本日は――
■Virtuoso / Joe Pass (Pablo)
ジョー・パスが抜群の凄腕ギタリストなのは言わずもがなですが、それが決定的に認められたのは、このアルバムだったと思います。
内容はなんとソロギター! つまりギターだけでジャズをやった演奏集です。
発売されたのは1974年だったと思いますが、当時はソロピアノがブームだったにしろ、これには仰天させられた記憶が鮮明です。もちろんジャズ喫茶でも鳴りまくりでしたし、マスコミも絶賛の傑作盤として、我国でも良く売れたんじゃないでしょうか。
ちなみにジョー・パスは十代からプロの道に進んだほどの天才でしたが、悪いクスリと縁が切れず、1960年代には名盤・人気盤とされる作品も吹き込んでいましたが、我国での注目度はイマイチだったと思います。
それがこのアルバムを契機として、一躍、ジョー・パスがブームになって、それは思い出してみても凄い衝撃度でした。
録音は1973年8月23日、演目は以下のとおりです――
A-1 Night And Day
A-2 Stella By Stralight
A-3 Here's That Rainy Day
A-4 My Old Falme
A-5 How High The Moon
A-6 Cherokee
B-1 Sweet Lorraine
B-2 Have You Met Miss Jones ?
B-3 `Round Midnight
B-4 All The Things You Are
B-5 Blues For Alican
B-6 The Song Is You
――というように、ジャズの世界の定番がズラリ♪ ですから良く知られたメロディ、そして残されている幾多の名演バージョンにギター1本でどこまで迫っているのか、興味は尽きません。
もちろん結論は、凄いの一言!
シンプルな単音弾きに分散コード弾きを上手く絡ませ、さらに抜群のリズム感とピッキングの上手さでリスナーを驚愕せさつつ、酔わせてしまうのです。
特にちょっとでもギターを弾いたことのある人ならば、絶句せずにはいられないでしょう。
告白すれば、私は最初にこれを聴いた時、てっきり多重録音も使っているのかと思ったほどです。つまりそれほどに濃密な演奏であり、豊かな歌心が驚異のテクニックで披露されているわけです。
さらに特筆しておきたいのが音作りです。使っているのはジャケ写でも見られるエレキギターだと思われまずが、演奏時にはアンプを通さずにマイクでギターの音をひろったんじゃないでしょうか?
もちろんアンプを通しての録音も入っていますから、一概には言えないんですが、「Stella By Stralight」や「My Old Falme」の生音感覚は、驚異的なピッキングの上手さが繊細なところまで堪能出来ますから、なかなかのアイディア賞だと思います。
そして演奏全体は完全無欠の素晴らしさ♪ ギターの独演会だからといって、シミジミと自己満足しているところなど微塵もありません。ジャズ特有のグルーヴィな表現や烈しい躍動感、またスローな感情表現の機微が徹底的に追及されています。
例えば「How High The Moon」では4ビートのベースパートまでも弾いてしまう荒業を出しますし、ジャズギターのあらゆるテクニックを出しまくった「Night And Day」や「The Song Is You」も痛快です。
とにかく余人にはコピー不可能の世界! しかし聴いていて疲れるなんて事はありませんからねぇ~。まあ、これは私だけかもしれませんが♪
そして好評に応えて続篇が作られていくのは、当然が必然の世界なのでした。