今日も残暑で死ぬかと思ったです、いや、本当に!
ところが夕方から台風接近なんでしょうか、雲行きが怪しくなってきて、ちょっと涼しくなってきました。
暑いのは嫌いです。
しかし聴いていたのは、こんなに暑苦しいアルバムでした――
■Down Home Style / Brother Jack McDuff (Blue Note)
所謂コテコテ系のアルバムです。
リーダーのジャック・マクダフは、その方面の第一人者というか、ジミー・スミスとは似て非なる個性で人気を得たオルガン奏者で、それはオーバー気味の黒っぽさ! ジミー・スミスがあくまでもジャズに拘ったのとは逆に、潔いほどR&Bに接近した演奏の雰囲気はストレートな楽しさが感じられます。
平たく言えば、ビート感が強い演奏とでも申しましょうか、しかし決して単調なアドリブには聞かせていないディープな実力も、凄いところです。
で、この「ビート感が強い」という部分は、コテコテ系の演奏には必須だと私は思いますが、個人的に一番好きなのは、やっぱりエレキベースが入った蠢きソウルです。
ところがオルガンが主体のバンドでは、ベースが入らないのが普通で、それはオルガン奏者が左手とフットペダルのコンビネーションでベースパートを弾いてしまうからです。
しかしそれは、4ビートや8ビートならば良いかもしれませんが、ジャズロックやボサロック、あるいは16ビートを入れたソウルジャズには充分に対応出来ません。そこで流行と共に自然とエレキベースが入ったオルガン演奏が登場してくるのです。
さて、このアルバムは当時流行していた南部系R&Bサウンド=通称「メンフィスサウンド」を大胆に取り入れた作りになっていますので、ジャケットには「Recorded In Memphis」とはっきり明記してあります。
それはドラムス、エレキベース、エレキギターでヘヴィに作り出されたグルーヴに、輪をかけたような黒~いフィーリングを加味していくジャック・マクダフが、ソウルフルなオルガンを炸裂させるという、この手の音が好きな人にはたまらないものです。
特にエレキベースが蠢きまくり! また時々登場するサックスの泣きっぷりが、見事なんですねぇ~♪
ちなみに、ここでドラムスを担当しているのは、サミー・クリーソンだと言われていますが、地方における当時のスタジオミュージシャン制度は、固有のスタジオと専属契約だったことから、残りのメンバーも推察が可能です。
ちなみに録音は1969年6月で、ジャック・マクダフ(org)、チャーリー・フリーマン(g)、ロン・マクルーア(b)、サミー・クリーソン(ds)、そしてホーンセクションという推定メンバーで演じられたのは――
A-1 The Vibrator
A-2 Down Home Style
A-3 Memphis In June
A-4 Theme From Electric Surfboad
B-1 It's All A Joke
B-2 Brtter
B-3 Groovin'
B-4 As She Walked Away
――繰り返しますが、ビート感満点に蠢くエレキベースが、まず快感♪ 横揺れするような重いドラムス、切れ味するどく絡んでくるギターも良い感じですねぇ~♪
肝心のジャック・マクダフは、なんとなく手クセのフレーズも目立ちますが、やっぱり持ち前のR&B感覚が強く出ていて、グッと惹きつけられます。
また数曲でソロを聞かせるアルト&テナー奏者がゴキゲンですねっ! う~ん、誰でしょう?
演目ではドロドロにグルーヴして快感な「The Vibrator」や「Down Home Style」、さらにブラスロックみたいな「Brtter」が、カッコイイとしか言えません。パーカッションがビシバシにキマる「It's All A Joke」も良いですねぇ~♪
またラスカルズのヒット曲をカバーした「Groovin'」は、イナタイ和みにシビレます。
それと「Theme From Electric Surfboad」は当時シングルカットされてヒットしたらしいのですが、オルガンよりはサックスやブラスオーケストラが全面で出た演奏で、??? なんかホンワカしたサウンドが良いんでしょうか?
あと、個人的には「Memphis In June」のジャズっぽさが、たまりません。なんとなくカウント・ベイシー楽団のような、ゆったりとスイングする雰囲気とか、泣きのサックスに迷い道のベース、おまけに大ボケ気味のドラムスが憎めません♪
主役のジャック・マクダフは、全篇で熱演を披露していますが、ここはアルバムタイトルどおりに、参加メンバー全員で作り出されたメンフィスサウンドの魔力に酔って楽しい仕上がりだと思います。
ただし意図的なんでしょうか、ちょいと4ビートが捨て切れなかったあたりにブルーノートらしさが出ているのかもしれません。個人的には、そこが面白くないんですが、A面4曲の流れの良さで愛聴盤になっているのでした。
車の中で聴いてもOKですよ!