大相撲は波乱万丈! 白鳳が負けてしまいましたですね。
豪栄道の一番では、土俵に上がろうとした客まで出たりして……。
まあ、それはそれとして、本日は――
■It's A Blue World / Red Garland (Prestige)
ポール・チェンバース(b) &アート・テイラー(ds) と組んだレッド・ガーランドのピアノトリオ物は、リラックスした中にも快適なスイング感とグルーヴィな雰囲気が横溢した演奏ばかりですから、ジャズ者にとっては安心印♪
もちろん、このアルバムもそのひとつですが、発売されたのは1971年頃でした。つまりこれは、皆様良くご存知のように、レッド・ガーランドは1963年頃に第一線を退いていますから、未発表曲集というわけです。
で、録音は1958年2月7日! ということは、ジョン・コルトレーンの名盤「ソウルトレーン(Prestige)」と同日のセッションということで、悪いわけがありません――
A-1 This Can't Be Love
A-2 Since I Fell For You
B-1 Crazy Rhythm
B-2 Teach Me Tonight
B-3 It's A Blue World
上記の演目は、いずれもジャズ者の琴線を直撃する、本当に分かっている選曲だと思います。ちなみに「Crazy Rhythm」だけは、既にレッド・ガーランドのリーダー盤として発売された「ディグ・イット(Prestige)」に収録済みの使いまわしなのが残念……。まあ、同じ日のセッションを纏めたという言い訳で、トボケ通したのでしょう。
肝心の演奏は軽妙にスイングしまくった「This Can't Be Love」、泣きのブルース歌謡曲を、これまた味わい深くスイングさせた「Since I Fell For You」が、いずれも10分前後の演奏ながら、全く飽きずに聴かされてしまいます。
B面ではガンガン飛ばす「Crazy Rhythm」、和みの歌心がジンワリ滲みる「Teach Me Tonight」、そしてゴージャスな雰囲気に満ちた「It's A Blue World」と文句無しの快演が続きます♪ もちろん毎度お馴染みの「ガーランド節」が大盤振る舞いで、コロコロと転がる単音弾きに柔らかなブロックコード弾き、そして絶妙のタイム感覚が存分に楽しめるのです。
共演者も安定感のある日常的名演なのが、かえって凄いですねぇ~♪ 特に「It's A Blue World」のベースソロは圧倒的迫力で、これはポール・チェンバースにしても納得の一番じゃないでしょうか。
ということで、安心感がたまらない快演集なんですが、肝心の私有レコードそのものが擬似ステレオ仕様です。というか発売時期的にアルバムはステレオ仕様が主流でしたから、モノラルマスターしか残されていなかった本作は、必然的に擬似ステレオで出してしまったのでしょう。
しかし、これがかなり良い音なんですねぇ。もちろんエコーがかかったような音質なんですが、レコードのカッティングレベルが高いので、ちょっとギスギスした音が如何にもアメリカ盤という感じです。
これはプレスティッジの擬似ステレオに共通するものかと思います。他社、例えばブルーノートあたりの、やたらに空気圧ばかりが強いような擬似ステレオとは、相等に違うと感じるのですが……。
ただし、やはりモノラル盤も欲しくて探したのも、本音です。ところが、見つからないのですねぇ、自分の探し方が半端だからかもしれませんが……。
やはりステレオ仕様が主流だったことから、モノラル盤は少数しかプレスされなかったのでしょうか……?
そこが気になるアルバムです。