OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

アート・ペッパー in STEREO

2007-09-10 13:07:14 | Weblog

混迷する国政や大相撲界に気をとられていたら、なんとタイガースが破竹の10連勝で首位に躍り出ました!

びっくりしたなぁ、もう……。

ということで、本日は――

Art Pepper Meets The Rhythm Section (Contemporary)

このところ西海岸派サックス奏者のアルバムばっかり聴いていますので、当然の流れとしてアート・ペッパーを引っ張り出しますが、これは名盤の中の大名盤!

内容については説明不要と思いますが、録音は1957年1月19日、メンバーはアート・ペッパー(as)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) で、つまり当時、白人アルトサックス奏者の最高峰だったアート・ペッパーとマイルス・デイビスのバンドレギュラーだったリズム隊が共演したワンホーン盤ですから、アドリブの真髄とモダンジャズの素敵なビートが一体化した驚異の仕上がりになっています。

また、このセッションには様々なエピソードが残されていて、アート・ペッパーが悪いクスリの影響下にあったとか、黒人のリズム隊にビビッていたとか、事前に演目の打ち合わせが上手くいかず、当日のスタジオで場当たり的に演奏してしまったとか……云々あるそうですが、それだからこそのスリルと纏まりが、この作品の最大の魅力かもしれません――

A-1 You'd Be So Nice To Come Home To
A-2 Red Pepper Blues
A-3 Imagination
A-4 Waltz Me Blues
A-5 Straight Life
B-1 Jazz Me Blues
B-2 Tin Tin Deo
B-3 Star Eyes
B-4 Birk's Workes

――という演目の中では、「You'd Be So Nice To Come Home To」と「Imagination」が決定的な名演として広く認知されています。

が、私的には「Jazz Me Blues」が一番好きです。

なにしろフィリー・ジョーが快適過ぎるクッションを送り出していますし、それに対応してリズム的なアプローチを聞かせるアート・ペッパーは、十八番のブレイクで永久不滅の妙技を披露するのです。もちろん完璧なポール・チェンバースと最高の伴奏を担当するレッド・ガーランドの存在も強烈! クライマックスでのアルト対ドラムスの一騎打ちへ向けたお膳立ても抜かりがありません。

また「Star Eyes」も、フィリー・ジョー的な名演♪ 柔軟なドラミングはアート・ペッパーが聞かせる最高の歌心にはぴったりです。そして最後の最後に出る短いドラムソロには、この天才ドラマーの全てが凝縮されていると思います。

主役のアート・ペッパーについては、「Waltz Me Blues」での影踏みしているような軽やかなノリが素晴らしいと思いますねぇ♪ 洒落たフィーリングのリズム隊に対抗してディープなジャズ魂を吐露していく終盤も最高です。

なにより凄いと思うのは、チャーリー・パーカーのフレーズをほとんど出さないでアドリブをやってしまう事です! これは当時のアルトサックス奏者としては特異でしょう。それほど鋭い感性の持ち主だったアート・ペッパーが唯一無二のスタイルは、「ペッパー派」としての独立も許されるはずなんですが、決定的な後継者が現れないところをみると、やはりそれは天才の証だったのでしょう。

ということで私は、けっこう天邪鬼な聞き方をしています。もちろん隅々まで名演がぎっしり詰まった名盤だと思います。

しかしこのアルバムには、大きな問題点というか、個人的に満足していないところがあります。

それは掲載ジャケ写をご覧になれば一目瞭然、私有盤はステレオ仕様なので、演奏が右と左に泣き別れ状態……。アート・ペッパーが左チャンネル、リズム隊が右チャンネルに定位していますから、カルテットで演奏している時は、まあ、良いんですが、リズム隊だけになると左チャンネルからほとんど音が出てきません。

つまり迫力が殺がれたような、あるいは、ちょっと損したような気分にさせられるんですねぇ……。ジャケットにデカデカと印刷されている「STEREO」の文字が、なんとも恨めしいです。

このあたりのモヤモヤはモノラル盤を聴けば解消するんでしょうが、状態の良いブツは、案外、入手困難のようですし、数年前にアナログ復刻されたモノラル仕様のLPも買い逃して後悔の極み……。

そこでデジタル時代の今日、なんとかモノラルとステレオの両バージョンを1枚に収録出来ないものでしょうか? DVDオーディオならばボーナストラックを入れても可能だと思います。

あぁ、こんな願いはメーカーさんへ届くのでしょうか……。届くと思って、このブログを書いているのでした。

コメント (4)
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