松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

きさかた製パンの「ウエハースサンド」

2015-01-17 08:52:33 | 日記・エッセイ・コラム

 貴重な物は、無くなって初めて、それが貴重だったことを知る。大舘・弘前方面へ行く時に、必ず立ち寄った早口駅前の「田代せんべい」がそうだった。今はない。店構えがまた風情があった。ガラス戸で店全体が見渡せる内部には、駄菓子屋にはよくあった、ガラスの角型広口ビンがからりと並び、客は単品のそれぞれの形と味の好みの品をビンから取り出して、「これ」と差し出す。その右奥には、がちゃこん・がちゃこん、と言いながら動く油と年代の入り混じった機械遺産とも言えそうな製造機が現職で動いていた。だから入るなり、出来立てせんべいの香りで充満しているのだった。多分、10年前ぐらいまで開いていたはずだ。閉まっているのを見た時は、それはそれは寂しかった。

 きさかたの母が我が家に来る時に、山盛り持ってくるパンがある。それが象潟製パンの「ウエハースサンド」だ。水曜製造で、それに合わせてごっそり買い込んでくる。こんなに持ってきて少人数の家庭でどうするの、と近所の奥様に配ったところ、懐かしいと気に入り、それ以来おみやげとして買って帰る。これは配った残りで、二人で一個づつ食べた後だ。

 このパンの食べ方は皆さん、テクニックが必要ですよ。ウエハースの下にはたっぷりのクリームが挟まれていて、これをはみ出すことなく全部いただくのがプロの技です。ウエハースがずれないよう、指に力を入れるとまず間違いなくはみ出して、袋に付きます。最近ようやく習得しました。味は特別おいしい、というものではありません。むしろ食べログに、でかいアンパンが載ってました。こういう店は長く続いて欲しいです。それはひとえに買う人に掛かっています。象潟のいいところと言われて、まず浮かぶのが寿司のネタが新鮮で安すぎる事です。食材に惹かれてやってきたお店も、フランス料理から台湾まで結構あります。その中に、「昔懐かしのウエハースサンド」としてお客様が増えるとうれしいです。漁港に住み着くネコと共に、かわいがってくださいね。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ネット動画に、振り回される... | トップ | 日本人の好きな、メモリアル... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
アンパンといえばパンの中に餡が入ってる (^ん^)
2022-02-18 21:18:26
焼きそばパンといえばコッペパンを切って焼きそばが詰めてある、卵サンドといえば食パンに卵が挟んである。常に具が中、パンは外。
なのにこれは具でパンを挟んでる、驚くべき発想(「このブログの人気記事」に上がってたのでどんなパンかと見に来ました)。
(もし、うちもパン屋が続いていたら、私、面白がって色んなパンを開発してたかもねー。(私の子、小さい子供のころ「からすのパンやさん」って絵本が大好きで、よく、きゃっきゃ、きゃっきゃ笑いながら見てましたっけ。。)面白いよね、きっと。)
返信する
確かに (松美)
2022-02-19 08:12:17
考えてみると、こんな食べにくいモノ、良く作ったなと思います。どこにもあるものと思ってました。その昔は、方々に存在したんじゃないかな。発掘に、感謝!
返信する

コメントを投稿

日記・エッセイ・コラム」カテゴリの最新記事