ここには、店と言えるものが一軒だけあった。それが何の店か
見極める集中力がなかった。
陸前高田から気仙沼までの国道には、コンビニが一軒あるのみだった。
心の支えだ。このミネラル分が、心臓の筋肉を動かし続けてくれる。
頭上はるか高い所に、津波の最高到達点の看板があるから、この店も
飲み込まれたはずだ。この日ばかりは「いらっしゃいませ」の言葉を
無視して真っ直ぐトイレに向かった自分に反省した。ほかの店なら
無視して構わないが、ここだけは、そうじゃない。そういう気が、
あとからした。
平たいままじゃ、だめなのか。自分なら、元の場所に戻りたい。
千年に一度なら、千年後に期待して、いいんじゃないか。
千年前がどうだったか、知っているなら、千年後の科学は
想像もつかないほど、発達しているに違いない。
平地の公園から突如、シェルターが出没したり。
救命衣にもなり、衝撃にも強い繊維を使ったズボンやシャツが
出現して。
チップを埋め込んだ人々には、情報がいち早く伝わり、
危険な場所にいる人間をキャッチしたロボットは空中から
なんなく救出する。
そういう未来に、期待しちゃ、だめなのか。
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