夜、寝る前に部屋の換気をするのだが。ゆうべは眠すぎて多めに開けてしまった。気が付くとサスケが窓の外に出ていた。
「戻ってこい」と声を掛けたが、手の届かない所へ行ってしまった。
どうしよう。回収しに厚着して外へ出る気力はない。眠い。かと言って妻にしゃべったら、乱気になって探すだろう。
夏場なら屋根を1周して車庫に降りる。植込みの根本あたりで縮こまっていてくれるか。考えているうち、3分も経たないで眠りに落ちた。
気が付くと午前0時。3時間が過ぎた。さすがに心配になって、玄関に明かりを付けてまずトイレに行った。
恐るおそる玄関を開けると、ガラス戸の前にちょこんと座っている。良かった。戸を開けると、すり寄ってくるかと思ったが、真っ直ぐ台所へ向かう。エサを食い始めた。なるほど、まずカロリー補給か。
体に触ってみると、濡れてはいないが尻尾の方が冷たかった。
試したつもりはないが、さすがは動物。人間の交配で生まれたとは言え、丈夫に出来ている。
朝、いつものソファーから起き出して挨拶する。ゆうべのことは内緒だぞ。男同士の約束だ。
秋田市はゆうべは5度前後あったようだ。前日までの3日間なら零度近くまで下がったから、放っておかなかっただろう。何事もなくて、まずは良かった。