棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

筆が止まるとき

2008-10-06 14:55:30 | 創作活動
メッセージ性の強い作品を制作中に「今はコレまでだ」と思うときがあります。
技術的なことと、精神的なことに大別できます。
油彩色の場合、「半乾き」させるための日にち(季節・温度によって違う)が必要になります。
チューブから生絵の具を塗り重ねる技法は、さほどでもないのですが、
「おつゆ描き」と称される古典画法などは、乾かせながら塗り重ねていきます。
当然発色も重厚で、いわゆるヨーロッパのアカデミックな名画がソレです。
次いでですので・・溶油で伸ばした絵の具の、一筆の厚みは3ミクロンほど。
数回の塗り重ねによって、深みの在る色彩になるのです。

技法上の一休みと違う、筆が止まってしまうのが、最初から作意の練が甘かったことなどから、精神的にとまってしまうことです。
こいつはすこしやっかいで「この作品の製作する意味はナンなのだろう??」
などとなってしまうと、サー大変です。
つまり、根っこから自己否定になってしまうことがあります。
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、創造仕事は、自分の創造をいかにに具体化する肉体的行動があります。
ときとして、自分の創造に、具体的な精神力が追いついていかないことがあるのです。
良く言われる「かべ」とまではいかなくても、製作意図がしっかりと自分のものになっていなかったときなどに生じます。
私は昔から、製作意図を文章にして本当に伝えるべき事々を整理してから製作に入ります。
若い衆にも、文にすることによって、意図がはっきりし、無駄が整理されるので、進めています。
作品製作とは、自己とのにらめっこみたいな作業です。
ただいまの製作「弥勒来迎図」140-112 の一休みは、絵の具を落ち着かせる時間です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿