黄昏どきを愉しむ

傘寿を過ぎた田舎爺さん 「脳」の体操に挑戦中!
まだまだ若くありたいと「老い」を楽しんでま~す

昨日の続き「風神雷神」

2018-05-02 | 日記・エッセイ・コラム

この本の主役はもちろん「宗達」ですが

 主役は3人のような…

「本阿弥光悦」に「烏丸光広」だと。

 この3人の見事なばかりの組み合わせなくして「宗達」の

「絵」も 脚光を浴びることにはならなかった。と。

 

 話は 昨日より少し戻りますが、彼(宗達)のデビュー?は

烏丸光広の声がかかったのがそのそもの始まり。

 それが「養源院」という建物の内装画から~

 この養源院 話せば これまた壮大な物語・・

もともとは、秀吉の側室淀殿が実家・浅井一族の菩提を弔うために

建立した寺。 

 ご存知のように、淀殿父は 浅井長政、母はお市の方。

 そのお市の方は織田信長の妹…。

長政とお市の方の間に三人の娘

 長女お茶々(のちの淀殿) お初、お江(おごう)

この三人の人生は、また数奇な運命をたどる~

 ここは 省きますが~失火により焼失した養源院再建の話が出て

 時の2代将軍秀忠の正室となったお江が執り行うことに。

この寺の物語だけでも 十分に面白い…。

 さて、その養源院の内装画依頼までには、数々の曰く因縁が起きるのですが

ここでは飛ばしまして…宗達が引き受けることに。

 その指定されたものは? 戸板四枚…

 縦180㎝ 横125㎝

これまで宗達は扇を中心に、掛物や短冊、絵巻といった、

こまごまとした画面ばかり~これは異例ともいうべき大画面。

 何を描くのか? 助言もなし…そこで光広が

 「睨む いうのはどやろ?

 宗達いろいろ考え、図柄を探し、頭の中で…

 こんなの、 唐獅子と、白象図は、どうどしゃろ?

        ・・・・

 それでいこか。

 杉戸という不慣れな素材に描いた 完成品がこれだ!

     養源院 白象 俵屋宗達

       

            唐獅子 

 

  この 白象 唐獅子図 「動きを出すために」宗達はこれまで

 使ったことのない極太の筆を用い さらに、薄い墨で輪郭線を描く

 「彫り塗り」の技法を~

  見事な仕上がりに。

 

 その後、宗達四十を過ぎての結婚、京で評判の絵屋「俵屋」も順調!

 そして 源氏物語から「蔦の細道図屏風」(前回掲載)の完成 

 宗達の身 大きく変わる。

  「法橋」の位を得た。烏丸光広が後水尾天皇にはたらきかけた結果だ。

 

 「*「法橋上人位」 僧位の第三位 法位 法眼に次ぐ。

 中世以後、医師、仏師、絵師、連歌師などに僧位に準じて与えられた称号。」

 

  法橋宗達お披露目の席に飾られた六曲一双の屏風絵 「松島図屏風」

 *現在は アメリカ ワシントンDC 「フーリア美術館」にある。

 もしアメリカに輸出されなくて 日本に残っていれば、間違いなく「国宝」に

  指定されていただろう と 言われる作品。

  次に手掛けたのが「西行法師行状絵詞」 (前回掲載)

 

 「伏見醍醐寺」 真言宗の古刹である。

  よりも、あの太閤秀吉 前代未聞の観桜の宴「醍醐の花見」

 と 言った方が分かりやすいでしょう。

 その醍醐寺三方院座主覚定よりの依頼

  父 義演の折、応仁の乱以降 荒れ果てた寺の再建に 

 秀吉に接近し再建に成功する。

 その覚定から「源氏物語」のフアンであるので 是非にと。

 しかし、お寺であるために 全編 色恋物語の源氏物語です

 そのままの場面を描いた屏風を寺に置くわけにはいかない。

  本根と建前。

 分かりやすく表現すれば、今日的には「グラビア写真集」を部屋で

  眺めていたい~ そんなところでしょうね。

  …女を入れず、人を入れてほしい …

 宗達考え 選んだのが 「光源氏と女たちのすれ違いの場面」に。

 ★光源氏と空蝉がすれ違う「関屋」

 ★光源氏と明石の君がすれちがう「住吉詣」(「澪標」)

 こうして完成したのが

  「関屋澪標図屏風」

 

 

 俵屋の名前が上がり 商品価値が上がったことで宗達に冒険する余裕ができた。

 金銀泥をふんだんに用いた豪奢な色紙や短冊もいいが… 

   墨で描いた掛物や屏風も見てみたい~ という声も聞かれるようになった。

  「あれこれ試してみよう…」と思ったのが、さぁ 大変。

 いろいろ筆使いを試してみては、納得して見たり、これはアカンか~

 墨のにじみ具合に一喜一憂、 周囲のみんなも作業場を覗いて

 顔を見合わせる始末。

 水を得た魚のごとく、宗達は自在に泳ぎ始める・・・・

 ここでまた烏丸光広とのコラボレーションとなった「牛図」

  小品で縦95㎝ 横45㎝ 二幅対の掛物。

 

 右幅の座った牛の上に 光広の画賛

  ”かな文字”を見事な散らし書きに…

   「  身のほどに 思へ世の中 憂しとても

         つながぬ牛の 安き姿に    」

 

  また時は流れ~ 光悦の死

  宗達の衝撃は大きい 失ったことで、光悦の存在がいかに大きかったかを

  改めて思い知った。

 

  

  ドラマは なかなかユニークな膳立てで

    「俵屋」をみしらぬ女が 訪ねてきた・・

   「俵屋」の主・宗達はすでに亡くなったと聞くと、女は言葉を失い

  呆然となった。 

   そうなんです、このドラマの最初と最後に登場するのが

   「出雲の阿国」 

   盛り上げてくれましたよ 最後の最後に。 

この本の終局は お馴染み彼の大作 「風神雷神図」に

 誰からの注文なのか?  何を意味するのか?

 遺された二曲一双の金地屏風に描かれた「鬼二匹」

  右隻に風神 左隻に雷神

 「 黒雲に乗って天空を踏み、いままさに地上に風を吹きおろし

      雷を投げ下ろさんとする鬼たちの姿だ。」 

   宗達が死んだあと、仕事場に唯一残っていたのが

   この屏風であった。 印はない。

   どこを探しても見当たらない。

   ただの「宗達」とさえ記されていない。

    無印無署名の金屏風だ。

               (本書・作者の文より引用)

 

 

  金屏風 

 私のゴールデンウイークに相応しい~ すてきな本を読むことができました。

 

 

   GW 後半は 同じ時代

   「信長」と「秀吉」にまつわるもの

    この2冊が ページを開いてくれるのを待っているようなので

   「信長の棺」 信長の遺骸は なぜ 本能寺から消えたのか… 歴史ミステリー 

   「秀吉の活」 歴史本ではなく あの秀吉の一生は コミックに読めそう…

 

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続 黄昏どきを愉しむ

 傘寿を超すと「人生の壁」を超えた。  でも、脳も体もまだいけそう~  もう少し、世間の仲間から抜け出すのを待とう。  指先の運動と、脳の体操のために「ブログ」が友となってエネルギの補給としたい。