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徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男」―アメリカ南軍に反旗を翻した伝説の男の英雄譚―

2017-04-18 17:00:00 | 映画


 150年前の南北戦争下で、貧しい白人の農民と逃亡した黒人奴隷500人を組織して、100万人の南軍に戦いを挑んだ男の物語である。
 知られざるアメリカ史の一断面が明らかにされる。

 「シービスケット」(2003年)ゲイリー・ロス監督が、かつて真の自由を求めて戦った、白人のリーダーの驚愕の実話を基に映画化した。
 歴史の中に封印されていた、英雄ニュートン・ナイトの伝説が、重厚な演出でここに甦った。




南北戦争時代のアメリカ・・・。

南軍の衛生兵だったニュートン・ナイト(マシュー・マコノヒー)は、甥のダニエル(ジェイコブ・ロフランド)の遺体を家族に渡すため軍を脱走した。
故郷で、仲間の農民たちから農作物を奪う南軍と衝突した彼は、追われる身となって湿原に身を隠した。
そこで出会った黒人の奴隷たちと友情を築いたニュートンは、黒人と白人がひとつになった前代未聞の反乱軍を結成し、自由のために立ち上がった。

そして、ニュートンらは結成された黒人奴隷500人を率いて、南軍100万人の立ち向かったのだ。
1864年、出身地であるミシシッピ―州ジョーンズ部に、肌の色、貧富の差、宗教思想に関係なく、誰もが平等な<自由州>の設立を宣言したニュートン・ナイトは、リンカーン大統領より一足早く、奴隷解放を成し遂げアメリカを大きく動かすことになる。
1865年、南北戦争は終結するのだが、それはまた新たな戦いの幕開けに過ぎなかった・・・。

壮絶な戦闘シーンから、命をも顧みない人間の楯、人種差別、政治闘争と、ちょっと盛りだくさん過ぎるドラマだ。
もう少し絞ったほうがよかった気もする。
個々の人物描写より時代感覚、ドラマ性を色濃く映し出した作品となった。
なかなか知る機会の少ない史実を掬い上げ、歴史ドラマとしても、気宇壮大な作品だ。
ニュートン・ナイト役のマシュー・マコノヒーの凛然した存在感が際立っている。
アメリカ映画」ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男」は、娯楽映画というより歴史映画の誠実さに向き合う作品だ。
映像では、自然光を使った映画の深さや衣装にも注目だ。

主人公の主張する力強さは、今のアメリカにも通用するものだし、全編に流れるテーマも、人間として一番大切なものは何かを問うて世界の未来を照射する。
ニュートンは、ドラマの中、熱を出した赤ん坊を救ったイーキンズ家の黒人使用人レイチェル(ググ・ンバータ=ロー)とは内縁の夫婦となって、積極的に政治に介入し、黒人に対する新たな差別的法律に強く反対し、自由民のための学校を設立、さらに元奴隷の自由民に投票権を与える活動などで、リーダー的な役割を果たした。
いわゆるKKK(クー・クラックス・クラン)の黎明期の活動も描かれ、大変興味深い。
白人至上主義は、いろいろと考えさせられる問題だ。
これは、遠い時代、遠い国の問題ではない。
人種問題にまつわることは、地球上のいたるところで様々な形で起きている。
自由と平等は、いま全人類のテーマである。
人種差別に強硬な、アメリカのトランプ大統領に観てほしいものだ。
       [JULIENの評価・・・★★★★☆](★五つが最高点
次回はアメリカ映画「ムーンライト」を取り上げます。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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人種差別 (茶柱)
2017-04-18 23:29:15
根深い、そして終わることの無さそうな問題ですね。
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地球上の・・・ (Julien)
2017-04-22 16:59:05
全人類が果てしなく見つめる、大きな大きな課題といえそうです。
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