1970年代~80年代に1100本もの作品が公開された。
一定のルールと製作基準を守ることで、映画を自由に作ることができた。
このため、製作現場は様々な表現の自由を駆使し、映画作りに挑戦していった。
ここから、多くの監督やスタッフをして俳優が育っていった。
映画史においても、最もセンセーショナルなレーベルとして、国内外でいまもなお高い評価を得ている。
28年ぶりの新作と銘打ったシリーズ第一弾は、 「世界の中心で、愛を叫ぶ」(2004年)などの、ラブストーリーの名手・行定勤勲監督が、切なく不器用な大人の愛を官能的に描いた。
生誕150年を迎えたエリック・サティの名曲「ジムペディ」の調べに乗せて・・・。
映画監督の古谷(板尾創路)は、代表作が映画祭で受賞したのだが、観客の動員は今ひとつだった。
彼はやる気を失っていた。
古谷は鬱屈した気持ちに耐えながら、悶々としていた。
仕事、名声、愛・・・、全てを失った男は、映画の撮れない日々が続き、映画学校で教鞭をとりながら、肌のぬくもりを求めて、学生の結花(芦那すみれ)、作品に出演した若手女優の安里(岡村いずみ)ら、女たちの隙間を一週間彷徨っていた・・・。
ロマンポルノの定番は、大体ダメ男が主人公だ。
この作品に見る古谷の空虚さ、情けなさ、だらしなさ、嫌らしさ・・・、だがそんなだらしのない男のやるせなさが、主人公役板尾創路にはまっている。
ヒロインの芦那すみれは、長編映画の役どころは初めてだそうで、最初の濡れ場にも体当たりの演技を見せる。
こういう作品で、現場の段取りについていくのは必死にならざるを得ず、やっていくうちに撮影がどんどん楽しくなって、あっという間の一週間だったそうだ。
簡単に言えば、男と女が出会って別れたりするだけの映画といってもいい。
それに、どれだけの時間を紡いでゆけるかだ。
ロマンポルノの決まりは、総尺80分前後、10分に1回の濡れ場、製作費は全作品一律、撮影期間は1週間、完全オリジナル作品で、低予算でと決まっている。
行定勲監督の作品「ジムノペディに乱れる」は、ダサいけれど少しだけおしゃれな男の登場で、まあ丁寧にに撮られていて映像も美しいし、気になるような古臭さは感じさせない。
昭和の時代にロマンポルノ誕生して45周年、いま平成の世に再び花開く、といったところだろうか・・・。
[JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点)
次回は日本映画「秋の理由」を取り上げます。
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だからといってそれほど残念ではないのが何とも・・・。
これまでも、名だたる映画人が世界へ羽ばたいていったのですから・・・。
ロマンポルノ、侮るなかれです。