徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「神さまがくれた娘」―素直でひたむきな親子の愛―

2014-04-27 20:30:00 | 映画


インド映画というと、どうもお決まりの歌とダンスの賑々しさが気になるところだが、この作品はさほどでもない。
心温まる、優しい人間ドラマだ。
A.L.ヴィジャイ監督の作品である。

6歳児の知能程度しか持たない父親と、月の光のように希望を照らす5歳の娘の愛を描くドラマだ。
心温かい無垢な父親と、どこまでも愛らしい娘・・・。
一番大切なもの、それはきっとパパが教えてくれる。
南インドの美しい牧歌的な自然を背景に描かれる、人間賛歌である。











     
チョコレート工場で働くクリシュナ(ヴィクラム)は、5歳の娘ニラー(ベイビー・サーラー)と幸せな日々を送っていた。

クリシュナは6歳児程度の知能しか持っていないが、嘘もつけない正直者の男で、誰からも愛されていた。
彼は結婚して子供を授かるが、妻は娘を残して亡くなってしまい、娘にニラー(お月様)と名付けたクリシュナは、周囲の助けを借りながら、彼女を育てるのだった。

時は流れ、ニラーは素直な可愛い5歳の女の子に成長し、学校に通うようになった。
そんなある日、町の有力者である亡妻の父は、クリシュナ親子の存在を知る。
彼は、クリシュナのような、子供のような親には子育てはできないと言って、ニラーを連れ出してしまう。
クリシュナとミラーの仲は引き裂かれ、穏やかで幸せな毎日を奪われてしまうのだったが・・・。

娘ニラーの幸せを心から願う、クリシュナが初めてついた、切ない嘘・・・。
優美で素朴な、魅力溢れる舞台に描かれるこのドラマは、どこまでも温かい。
スタントシーンとか騒がしいアクションを極力排除し、とくに後半部分に入って、ドラマはぐっと観客に迫ってくる。
これまでのインド映画とは、少し趣きを異にするようだ。

とにかく、娘のニラーが可愛い。
父親と寝転がって戯れるさまも、実に微笑ましく、ちょっとほろりとさせられる。
主役のヴィクラムも知恵おくれの父親を上手く演じているし、何よりこの作品で一躍有名になった天才子役のベイビー・サラーが素晴らしい。
幼い少女ながら、‘大女優’の愛くるしい演技は魅力たっぷりだ。

A.L.ヴィジャイ監督インド映画「神様がくれた娘」は、互いに想いあう、ひたむきな親子の一途なラストに、思わぬ余韻を残す結果となる。
涙腺の弱い女性は、きっとほろりとさせられるだろう。
いい映画だ。
      [JULIENの評価・・・★★★★☆](★五つが最高点