徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「セイフ ヘイヴン」―サスペンスと情感にあふれた愛の物語―

2014-04-01 12:00:00 | 映画


原作者は、「きみに読む物語」「親愛なるきみへ」で知られるニコラス・スパークスだ。
彼がプロデューサーに名を連ね、ラッセ・ハルストレム監督が、ミステリータッチのラブストーリーを作り上げた。
愛と驚きに満ちたドラマの展開が、とても心地よい。

大人の純愛物語を思わせるが、映画の中には巧みに散りばめられた伏線があって、作品は丁寧にみずみずしいドラマとして描かれている。
美しい自然と、繊細な音楽、そして愛の葛藤と、気張らず気軽に楽しめるところがいい。
ドラマの終盤に、はっとするような驚きの展開が待っている。
そこがまたいい。












            
土砂降りの雨が降っていた。

誰かに追われているのか、ケイティ(ジュリアン・ハフ)は急ぎ足で長距離バスに乗り込んだ。
休憩で立ち寄った港町サウスポートに心惹かれ、留まることになる。
彼女はここで、ゼロからの新しい生活の一歩を歩み始める。
そうだ、忌まわしい過去から逃れるために・・・。

ケイティには、すぐ二人の友達ができる。
ひとりは雑貨店を営むアレックス(ジョシュ・デュアメル)で、彼は愛妻を失くしふたりの子供を育てている。
もうひとりは、近所に住むジョー(コビー・スマルダーズ)という女性だ。
ある日、車を持たないケイティに、アレックスが古い自転車をくれたが、ケイティは彼の親切を拒んだ。
しかしジョーから諭され、アレックスに謝罪し自転車を受け取った。
そこから、ケイティとアレックスは急速に接近していく。
しかしある日、アレックスはケイティの指名手配書を見てしまう・・・。

この作品、実にきめ細やかな伏線があちらこちらに散りばめられていて、どれもこれも最終的には納得できるものだ。
観ていて、思惑通りああやっぱりそうだったのかと、にんまりする場面もあれば、え~っと驚くような展開もまた楽しかったりして・・・。
ラブストーリーでありながら、ミステリーの要素も大ありで、必ずしもそれらがうまくかみ合っているとも思わないが、観ている方には少しずつ状況が分かってくるあたり、描写も丁寧だ。

主人公ケイティの心に秘めている事情も、次第に明らかにされる。
ニコラス・スパークスという人は、さすがに泣ける恋愛小説の名手だけのことはある。
ほとんどの作品を、映画としてヒットさせているから大したものだ。
女性のハートを虜にするような小説を書き、そのひとつをベースに本作を選んだ。

ヒロインのケイティには犯罪の香りが付きまとい、彼女を追う警察の手を逃れて・・・、最終的には奇跡のようなラストを迎える。
ラッセ・ハルストレム監督アメリカ映画「セイフ ヘイヴン」は、人に言えない凄惨な過去を背負った女と、妻を亡くした悲しみが忘れられないシングル・ファーザーという、心に傷を持った二人がじっくりと愛を育んでいく過程を、サウスポートの美しい情景の中に描き切っていく。
ロマンティックで愛らしい、魅力にあふれたヒューマンなラブストリーだ。
      [JULIENの評価・・・★★★★☆](★五つが最高点