徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「グランドイリュージョン」―魔法のスリルとミステリーを堪能させる犯罪ドラマ―

2013-11-12 23:30:00 | 映画


 遠く離れた銀行から、あるいは誰かの口座から、巨額の金を奪い、その一部始終を、華麗なショーにしてしまうマジシャン4人組、フォー・ホースメンのFBIとの攻防を描く娯楽大作である。
 ルイ・レテリエ監督は、あっと驚く劇場型犯罪を描いて、興味津々だ。

 ショーを演じながら、銀行強盗を成功させるという、まことにもって奇想天外な犯罪ミステリーだ。
 映画はタイトル通り、ストーリーも観客を幻惑し、見事に最後にまんまといっぱい食わせられる。
 やや古風な泥棒活劇と今風のマジックの取り合わせも面白い。
 まあ、だまされる快感に浸れる作品だ。










その夜、フォー・ホースメンと名乗る4人組のスーパー・イリュージョニスト・チームは、巨大ホールを埋め尽くした大衆の前で、「今夜、銀行を襲います」と宣言し、前代未聞のマジックに挑戦する。

何と、ラスベガスの会場にいながら、パリの銀行から大金を盗むマジックを披露するというのだ。

催眠術の使い手(ウディ・ハレルソン、若き元スリ(デイヴ・フランコ)、紅一点の脱出アーティスト(アイラ・フィッシャー)に、4人組のリーダー格(ジェシー・アイゼンバーグらイリュージョニストたちは、見事320万ドルの札束を奪い、同時に観客の頭上には花吹雪が舞うのだ。
さらに第二のショーを開催したホースメンは、鮮やかなトリックを駆使して、悪徳実業家の巨額資金1億4000万ドルをかすめ取り、世間の大喝采を博していく。
そして、ニューヨークの隠し金5億ドルをターゲットとしたグランドイリュージョンで、意外なラストへ。
大胆不敵なトリックで観客を幻惑し、FBIが威信をかけた捜査網を敷く中、壮麗なるグランドイリュージョンを実行するのだった・・・。

ドラマは、FBI捜査官(マーク・ラファロ)や、トリックの暴露で荒稼ぎする元マジシャン(モーガン・フリーマン)らとの、先の見えない攻防をアップテンポで手際よく展開させていく。
映画全体がマジックのようなつくりで、映画はマジックに本当によく似ている。
物語には、奇抜なひねりも散りばめられ、最後には観客の予想は見事なまでに裏切られる。

冒頭は、4人組の腕前を披露するシーンから始まるのだが、もうここからショーを楽しんでいるような気分になる。
彼らのマジックの目的は、一体何なのか。
ドラマがかなり粗っぽいのは致し方ないだろう。
謎解きの妙味と洒落たユーモアは、ウィットに富んだ会話で面白く見せるし、少々間抜けな捜査官と女性パートナーとのやりとりも・・・。

新人ライター、エドワード・リコートのオリジナル脚本は綿密に練られており、研ぎ澄まされたヴィジュアル感覚がいかんなく発揮されている。
その結果、ミステリアスなドラマと臨場感あふれるチェイス・アクションを融合できたたまものだろう。
ラスベガス、ニューオーリンズ・ニューヨークと、これらスリリングな3つの巨大犯罪を鮮やかに描いて、驚愕の結末まで息つく暇もない、本場のトリックを伝授したプロ・マジシャンたちの貢献も大きいことだろう。
ルイ・レテリエ監督アメリカ映画「グランドイリュージョン」は、前代未聞のマジック犯罪に秘めれたミステリーを、ロマンティシズムで彩った特大の娯楽作品だ。
     [JULIENの評価・・・★★★☆☆](★五つが最高点