テレビは、ゴールデンウィークが終わっても、相変わらず、連日インフルエンザ報道のオンパレードだ。
映像メディアというのは、ときにインフルエンザそのものより怖ろしい。
高校生が入院している病院の前で、白いマスクをつけたリポーターが絶叫している。
一体、誰が犯罪者だというのだろうか。
海外へ、幾度も出張で出かけている、親しいビジネスマンの話を聞いた。
現地でマスクをしているのは、日本人だけで、恥ずかしいと言っていた。
感染源のメキシコでさえ、マスクをしている人を見かけない。
欧米人は、だからといって、危機意識がないわけではないのだ。
むしろ、日本人以上に危機意識は持っていて、日本人ほど騒がないだけなのだそうだ。
そういう話であった。
欧米人は、マスクをするくらいなら外出はしない。
日本のパニックぶりは、まことに奇異に映るそうだ。
それも、そうだろう。
厚生労働大臣の興奮ぶりを見ると、うなずける。
「国民が一丸となれば、見えない敵であるウィルスとの戦いに勝てる。
だから、オールジャパンで力を合わせて戦いたい」
・・・この言葉を、一般の人々はどう聴いただろう。
いよいよ戦争でも?と思ってしまうほどだ。
感染の疑いのあった高校生が、犯罪者扱いされるのも仕方がないというのか。
ともあれ、感染者は世界で2400人を超え、「フェーズ6」に引き上げる条件としての「パンデミック(世界的流行)」も、時間の問題となってきた。
海の向こうのエジプトでは、感染拡大に伴って、国内すべての豚35万頭(!)の処分を決めた。
これもまた、ひどい(!)話だ。
先祖代々からの、唯一の収入源を断たれた人たちは大変だ。
驚くべきことに、国内には一人も感染者が出ていないと言うではないか。
ああ、それなのに・・・。‘運命’の皮肉と言ったらいいか。
哀れなのは、豚たちである。(?!)
これは、もうトンだ(!)災難でなくて何だろう。
これは余談になるけれど、エジプト人の9割は熱心なイスラム教徒だ。
この国では、豚は不浄な動物とされ、主にキリスト教の一派が飼育していると言われる。
国民の間では、このことでパニックが起きたり、キリスト教徒への反感も根強いものがあることは事実らしい。
幸い日本では、今日現在一人の‘真性’感染者もまだ出ていない。
世界的に急増中の感染は困ったことだが、戦前から変わらぬ日本の国民性(日本人はきれい好きで、神経質が美点?)もさることながら、メディアの狂騒ともども、一日も早く終息へ向かってほしいものだ。