足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

ケインズ式の投資法が勝つ相場・・この株に注目

2004-11-22 22:58:55 | 株式
あなたは前回のレポートで書いた3つの投資家のうち、どのタイプに属しますか?
3つのタイプとは、
1.オンライントレーダーで日計の商いを理想とする。
2.ウォーレン・バフェットに代表されるようなバリュー投資。
3.ヘッジファンドのようにリスク回避型でロング(買い)とショート(売り)を組み合わせる。
今年のように、相場がボックス圏に入ってしまうと、バリュー投資家もヘッジファンドも苦戦している。平均的な話は別にして、オンライン取引を利用した回転商いで成功したケースが一番、パフォーマンスがよかったようだ。皮肉な話だが、マルキールがいう「ランダムウォーク」論は説得力を失っている。このような相場が、いつまで続くかは別にして、いまの休み明けに利益を上げようとするトレーダーがなにを考えているかを「考える」という、ケインズ式の投資法が当面はもっとも有効かもしれない。
本ブロッグでこれまで紹介したうち、光通信(9435)、クレイフィッシュ(4747)、GDH(3755)は、相場が暴落した週明け月曜日も強かった。トレーダーは当然に注目する。しかもこの3銘柄には、ファンダメンタルな側面からして成長株としての評価が理由付けられる。私のトリトン通信では、それを説明している。そして新しく注目されそうなのが国際石油開発(1604)である。
当面の相場全体のトレンドに頭を使うことはない。この種の考えでオンライン取引をやってみられたら。


非合理性がある新興市場の株価形成

2004-11-21 15:08:45 | 株式
投資のスタイルには3つに分けることができる。まず現在、日本の大半の個人投資家が行っているオンライン取引きでのスタイル。トレーディングで早い回転売買。深く企業調査をするわけではなく、人気のある銘柄を求めて投資する。何かの材料があって動いているが、タイミングの判断は、罫線であったり、テクニカルな指標を利用している。第2のスタイルはバリュー投資で、ウオーレン・バフェットやピーターリンチのように徹底したファンダメンタル分析による。回転率はトレーダーのように高くはない。この種の投資はその人の資質によって成果は大きく変わる。第3はヘッジファンドに代表されるトレーディングだが、ロング(買い)とショート(売り)を組み合わせる。最近の世界の機関投資家の新しいスタイル。これまで機関投資家の運用者として成功した人たちが、さらに上のランクの成功を求めてヘッジファンドの運用に乗り出す。もっとも先端的な技術を駆使する。さてこのように市場参加者がさまざまなスタイルの投資戦略をもって市場に参加するだけに、相場にはかってのように、市場のゆがみがなくなってきており、合理性のある株価形成が行われるようになってきた。本来は合理性の低い市場ほどチャンスが大きいが、日本もグローバル化のおかげで、米国のような株価形成に近づいてきたといえる。たとえばPERは米国が17倍、日本が18倍というのをみても、日米に差がない。このことが証明されている。かっては日本の株価にはローカルバリューというのがあったが、それがなくなってしまった。そのような環境下で唯一、合理性の働きにくい市場は新興市場である。この世界だけは個人が価格支配力を持っているので、非合理的な株価形成が行われ、企業の成長性という、この市場独特の一種の呪文のような言葉が幅を利かす。
個人投資家にとっては、自分たちの独壇場であるだけに、そこには大きな魅力が潜んでいる。そのよしあしの議論は別にして、新興市場の非合理性は、現在の市場の枠組みが続く限り続いていくだろう。
この欄での銘柄に新興市場の銘柄が多いのも、以上のような視点で現在の市場を見ているからである。
先週末の19日(金)に公開された日進工具(6157.JQ)に注目。IPO価格が6,800円に対して、9,100円で寄り付いた。以外に安く初値がついた。第2のエーワン精密(6156・JQ)になる可能性がある。



Secular(誰にでもわかりやすい)弱気相場論・この株に注目

2004-11-17 21:28:16 | 株式
スイスで投資顧問業を営むフェリックス・ズーロッフという有名な運用者がいる。もともと典型的なバリュー投資家であるが、かれが1998年にヘッジファンドを立ち上げたのにはびっくりした。ロシア危機とヘッジファンドのLTCM破綻の起こった年であり、ヘッジファンドに対する風当たりが強くなった時期である。「なぜ、こんな難しい時期にヘッジファンドなのか?」というのが私の率直な反応であった。今年で足掛け6年になるが、ITバブル崩壊も見事に乗り切り、1年たりともマイナスの年はなかった。われわれは1998年からこのファンドに投資しているが、評判がよくて資金の流入がふえ、昨年初めには新規資金の流入はストップした。ズーロッフは「現在はsecularな弱気相場にある」というのが基本的な相場観である。「secular(通俗の:現世の)」はなかなか日本語にし難い英語だ。市場用語として使われ出したのはそんなに古い話ではない。彼は「スパーブル・サイクル」(長期の上昇トレンドは1980年初めに始まり2000年に終焉した」という。それでは2002年秋からのNY株の上昇は一体にどう理解したらよいのか?「secular(誰にでもわかりやすい)弱気相場の中の中間反騰」とみる。「誰にでもわかりやすい」というのは私の意訳である。かれは昨年1月の米バロンズ誌の新年の座談会に出て「中間反騰が始まった」として短期、中期の相場に強気に転換した。そして今年、春には慎重論をとり、最近は目先き積極的な戦略に出ている。このように自由自在に動けるのはヘッジファンドという「買い」と「カラ売り」の組み合わせの戦術を取れるからである。有言実行。彼の相場観から得るところは、日本も12月まで上昇が続くということである。
光通信(9435)の復活に注目。9月中間期は有利子負債は26億円、現預金は576億円と大幅な財務内容の改善。改めてこの会社のバイタリティーには感心した。10月27日号のトリトン通信で注目したが、1万円台乗せがある。ソフトバンクより一足先に成長軌道に乗った。詳報は次号のトリトン通信で紹介する。




小型株とハイテク株がリード

2004-11-13 20:09:03 | 株式
ニューヨーク株の指数にS&P600というのがあるのをご存知か?アメリカ株の小型株指数である。NYダウ平均、ナスダック指数、S&P500のいずれもが2000年初めの史上最高値を抜けないでいるのに、S&P600は今年に入ってからも新値街道を驀進している。「大げさな!」といわれるかも知れないが、一度、S&P600のチャートをインターネットの画面で検索されたらどうか。英語のヤフー・ファイナンスの画面をを開いて指数のところをみれば、その動きがわかる。米ナスダックと日本の新興市場を同じようにみる向きもあるが、それは大きな間違いだ。ナスダックにはマイクロソフト、インテル、オラクルなど大型株がずらりと並んでおり、日本の新興市場とは大きく異なる。
7月1日に日本のマザーズ市場は2749ポイントで天井を打ち、11月1日の1394.91で大底を入れた。高値から50%近い暴落になったが、底入れ手からの上昇スピードも速い。大底から先週の金曜日(11月12日)までに+17.9%となった。この間、日経平均は+2.6%、日経ジャスダック平均は+1.6%なので、マザーズ市場の反発力の強さがわかる。NY市場は8月に底入れして上昇トレンドに入っているが、相場をリードしているのは小型株である。それにハイテク株である。日本の新興市場はハイテク株の動きに大きく左右されるので、ウオール街でのハイテク株の人気が、日本の新興市場の人気を支える。
米投資顧問会社のフィデリティーの投信に「フィデリティー・キャピタル・アプリシエーション」といのがある。運用資産は59億ドル(6200億円)なので、相当な規模であるが、成長株の投資で有名だ。昨年のパフォーマンスは+51.7%。今年は+5%と、S&P500の+6.15%にはアンダーパフォームしたが、ここへきてハイテクを中心に成長株の投資に力を入れ始めた。「2003年の初めと同じようにハイテク株にウエイトを置く」と運用者のハリー・ランジは明言している。当然、小型成長株にも力を入れることになる。市場平均に遅れたのを取り戻す作戦だ。
日本の相場も年末にかけて11400円を目指すことになる。その場合はハイテク株や新興市場の銘柄が相場のリード役になるだろう。
15日(月)に公開されるエルピーダメモリ(6665)に寄り付きでの投資を考えたい。日本の半導体の失地回復を担う。
今週のトリトン通信には小型ハイテク株の注目株を取り上げる(会員には水曜日に配信)。


日本のアニメで夢を買う・・GDHの公開

2004-11-10 21:18:14 | 株式
今週に入ってからの大きな特色は新興市場の代表格であるマザーズ市場が元気を取り戻してきたことである。ジャスダック、ヘラクレスを加えた新興3市場の売買高のうち、70~80%は個人投資家が占めているので、これらの市場に活気が出てくることは、個人の株式相場に対するセンチメントの好転である。10日のマザーズ指数は1日で+5.93%も上昇した。第1部市場の好調なときの上昇率の1週間分を1日で達成するのだから、個人のホット・マネーを引き付けることがよく分かる。
前回も本レポートで触れた11月9日にマザーズ市場に登場したアニメのGDH(3755・マ)は今日もストップ高で終わった。マザーズ市場の復活の先触れ的な役目を果たしている。いままでアニメ企業は公開されてきたが、この銘柄は日本での本格的なアニメの第1号になる可能性がある。ウオール街では1990年代のネット相場に先駆けてピクサー(チッカーシンボル・PIXR)が公開された。有名なトイストーリーのシリーズをコンピューター・グラフィックス(CG)を駆使して、われわれに感動を与えてくれた。先月末には期待のドリームワークス・アニメーション(同DWA)が公開され人気を呼んだ。そんな時にタイミングよく、GDHが公開された。同社は日本の代表的なアニメーションの会社として、世界に出て行く。1980年代に任天堂が独特のキャラクターをもって、世界を魅惑したときのことを思い出す。当時、証券会社に在籍していた私はドンキーコングのゲームをカバンに入れて、ウオール街、中東、ロンドンに任天堂株のセールースに回ったものだ。
さて公開されたGDHは「10年以内にピクサーの時価総額に並ぶ」という。この一言で私は気持ちを大きくくすぐられた。先に米国で公開した検索エンジンのグーグルは設立が1998年だ。そして6年目に公開、ヤフーと時価総額が並んだ。こんな愉快なことが、ウオール街で起こり、いや日本でも出てくるかも知れない。新興市場の人気の離散期に公開されたのが良かった。向こう数ヵ月の人気株になると思う。
ピクサーの時価総額はGDHの50倍もある。夢を見ようではないか?