足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

安全性マージン

2011-12-22 07:47:55 | 株式

「サンタクロースは例年通りやってきたが、もう退散したのか?」

こんな皮肉も出るウォール街の雰囲気である。前日のNYダウ平均は+337と急騰したが、この日は勢いをなくし+4.16であった。

ECB(欧州中央銀行)が傘下の銀行に大量の資金供給を行うことが決まり銀行の申し込みが殺到した。ユーロ懸念はこの日は後退した。

VIX(恐怖)指数は引き続き下落し昨日は21.4320.00を割る可能性も出てきた。

ことしを振り返って相場の内容を表現するなら「不確実性の高まり」である。年初来のギリシア問題がユーロ圏の金融不安に拡大した。日本では大震災が発生した。米国ではエネルギー価格が急騰しダブルディップ論が再燃した。この種の難問が継続的に出てきたために、市場は極端に不安定になった。

その根底には2008年のリーマンショック以来の相次ぐ不確実性の高い材料の出現である。

ダグ・カス(ヘッジファンド運用者、RealMoney.comに寄稿)によると過去5年間に個人は4000億ドルの資金を株式市場から持ち出し、債券投資は8000億ドルの買い越しになった。両商品の流出総額額は1兆2000億ドルに達した。個人の株離れがなおも続き極限に来ている。タグ・カスはこの間、何時も慎重でショートを続けてきた。

有名なジェレミー・シーゲル教授(ウォートンスクール)によると、1861年以来はじめてこの30年間は債券が株式をアウトパフォームしたという。債券に力をいれてきた投資家は「わが世の春」を満喫してきた。

しかし資本主義でありかぎり、このような状況が永遠にはつづかない。不確実性の高まりでVIX指の変動が極端に上下に振れたが、今月後半は急速の落ち着きを取り戻す。このトレンドが定着すうかどうかは断言できないが、カギは個人投資家の株離れがどこで終止符を打つかにある。

兆しはある。最近のIPO市場で極端に割安でIPO価格が設定された1021日に公開した日本管理センター(3276)は公開後にはしばらく低迷したが最近は仕手化しているが如く相場は堅調で短期間に3倍以上になった。こんな隠れた動きもあることには注目したい。

この銘柄の安全性マージン(株式価値と時価の開き)が極端に大きかった。

新年の銘柄を選ぶ視点のひとつにしたい。