湘南発、六畳一間の自転車生活

自転車とともにある小さな日常

あって困らない柔軟性

2007年07月03日 | 自転車生活
 「柔軟性は減少しないが、筋力はやがて枯渇する」

 これはあるクライミングの本に書いてあったことなのだけれども、読んだときはかなり“なるほど”と思った。柔軟性がクライミングにすごく重要なことは当然のこととして理解はしていたつもりだけれども、筋力と比較して柔軟性がエネルギーを必要としない(乳酸を発生させない)いくら使用しても“減少しない”身体能力だということまでは考えたことはなかったので。

 柔軟性は自転車においては強調されることが少ないけれども、実は結構重要なんじゃないかと最近僕は感じたりする。それを一番感じるのはペダリングのときなのだけれども、たとえばペダルを引き上げるとき、もし柔軟性に優れていれば余計な力を加えることなくクランクの動きに合わせてスムーズに足をまわすことができるところを、体が固い場合は筋力で関節の可動域の狭さをカバーしたり、あるいは前屈みになっている上半身を不必要に上下させたり(その場合にも筋力は使うわけだけど)せざる得ない気がするので。

 もし僕のこうした感覚が間違いでなく、柔軟性がライディングにおける省力化につながるのであれば、自転車に乗る人間ももう少し真剣にストレッチなどについて考えても良いような気がする。柔軟な体を手に入れることによって、効率的なペダリングが可能になり、また筋力を長持ちさせることが可能になるのだから。そして一度手に入れた柔軟性は、きちんと毎日ストレッチを続けさえすれば、加齢による衰えは別にして、いかなるエネルギーをも必要とせずに利用し続けることができる能力なわけだから。

 大胸筋が発達し過ぎるとストレートが打ちにくくなるとか、筋肉で体が重くなりすぎるとパフォーマンスが低下するとか、筋肉や筋力の場合はそのスポーツによってはあり過ぎると困る場合もあるようだけれども、柔軟性は多くのスポーツにおいてあって困らないものだと思う。いや、あって困るどころか、あればあるほどケガのリスクが減ったり、疲労をためにくかったりと良いことづくめのような気がする。筋力や心肺機能の発達などと違って、自転車における柔軟性はいまひとつその効果を実感しにくい身体能力ではあるけれども、あって困るものではないわけだし、ランスの『ミラクルトレーニング』によれば年がら年中前屈みのライディングポジションで筋肉を酷使する自転車の場合、筋肉の弾力性や関節の柔軟性が徐々に失われ、その結果身体の可動域が狭まり、最終的にパワーにも影響してくるらしいので、やはりサイクリストももっと柔軟性を重要なものと考えてもいいのではないか。

 高校時代にやっていたスポーツの関係で結構毎日真剣にストレッチをしていたので、僕は比較的身体が柔らかいほうではあったのだけれども、それまで続けていたストレッチを21歳くらいのときにやめてしまったら、見事なくらいあっというまに柔軟性が衰えてしまった。多分同世代の男と比べたら今でも身体は柔らかいほうだとは思うけれども、あのときしっかり毎日柔軟を続けていればなぁとペダリングのことを考えながら自転車通勤をしているときにふと思ったりする。筋力や心肺のトレーニングに比べて、ストレッチってほとんど疲れないわけだから。そして手に入れた柔軟性はノーコストで利用することができるわけだから。

 これくらいの歳になってしまうとストレッチで柔軟な身体を手に入れるのがなかなか大変だったりするけれど、毎日きちんとストレッチを続けていれば確実に関節の可動域は広がり、筋肉は柔軟になるわけだから、少しずつでも昔のように毎日ストレッチをしてみようかなぁと思う今日この頃である。