エネルギーの将来の事を現実的に考えると、日本だけで無く世界でも原発を増やして行く事は避けられない。既に、日本では33%、アメリカでは20%、フランスは80%が原発からの電力である。
今回、福島第一原発一号機の事故は、想定最悪ケースを上回る事態であり、建屋爆発をおこしたりしているが、現在、
国際原子力事象評価尺度(INES)で、レベル4でスリーマイルより一レベル低い。予断は許さぬ状態ながら、制御棒が入っており、基本的に核反応は停止しいると思われる、崩壊熱のコントロールに苦慮しているのである。
元々、原発には賛成の立場であるので散発的に情報を仕入れていたり、たまたま、数ヶ月前に "
lights Out!" と言うブッシュ政権のエネルギー長官が書いた本を読んでおり(書評は
こちら)、原発の仕組みと安全性についてフレッシュな予備知識が少しあった。官房長官、東京電力、日米の専門家の解説も手際、不手際や明らかな誤解等も含めて比較的冷静に理解する事が出来る。
まず、炉心溶融(こちらのニュースでもメルトダウンと言っていた)は不適切発言であろう。燃料棒が剥き出しになった事で一部溶融している可能性は否定出来ないが、炉心自体が溶融しているわけではない。よって、チャイナ・シンドロームはおきないのである。又、建屋爆発の映像がショッキングだったので、余りでてきていないが、むしろ、核爆発は間違ってもおきない事をキチンと説明すべきであった。又、水を核反応の媒体としているので、水がなくなれば核反応自体は進まなくなる事等を誰もコメントしていない。
又、放出された放射能物質による
被爆量についても、人体への影響はほとんど無いレベルである。世界平均で、年間で 2.4 ミリシーベルトの自然放射線にさらされており、赤道直下あたりでは、10 ミリシーベルトになるらしい、一時的に 1 ミリシーベルトを超えたようであるが、現在は落ちている。
追記:原発については
池田信夫ブログ、ツイッターの説明が一番分かりやすいと思われる。
原発の安全性について、電力会社各社は、お金の無駄遣いではないかと思える程、地道な広報活動を続けているが、何の科学的な根拠も無く核アレルギーで反対する人達の手を焼いてきていた。安全性を強調したい余りに、逆に危険性の説明をキチンとしてこなかったりした感じもあり、全体としてはチグハグな印象をいつも受けていた。
今回の事故も、正直ベースで原発の安全性と危険性をきちんと説明する絶好(表現は不適当であるが)のチャンスであったが、官房長官は知識不足、東京電力はプレゼン力不足である。一番心配するのは、今後も日本のエネルギー事情を考えると原発を増設しなければならないのは明らかなのに、不必要なコスト増や無意味な反対闘争、自治体内での対立等の火種を残しそうな気がしてならない。
東京電力が行おうとしている輪番停電(
Rolling Blackouts)を考えると、核アレルギーを持った人を含めて、どれだけ生活全般が原発に依存しているのかを良く理解出来ると思う。(この期に及んで、原発反対を言っている輩の気が知れない)
私も、大学で真面目に勉強して、地元に帰る気持があれば(二重に不可能な想定だが)、原発にかかわっていた可能性があるので、常に興味がある。(石油の歴史も好きなので,エネルギー全般に興味があると言った方が正確)
危険なものを危険だとキチンと公表し、真っ正面から取り組めば、原発の正統な理解は得れるといつも思っていただけに、中途半端な政府の説明を聞きながら、ガッカリしている。
放射線や水素爆発の危険が有る中で、懸命に努力されている人々の安全と成功を祈る。