大災害が起きるたびに必ず出てくる言葉が「想定外」だ。確かに、行政機関や学者、専門家が想定していなかったのだから、言葉通りに考えれば「想定外」かもしれない。しかし、行政が考えることは、様々な条件を付けていて、学問的なことをどれだけ考慮したか解らない。今まで想定されていたことが、突然変わってしまうのも何か不自然を感じる。「想定」そのものをもっと厳しく考えていれば、「想定外」はもっと少なかったはずだ。
大地震がいつ来るか解らないが、東日本大震災を予測した専門家は殆どいなかった。何故予測できなかったのだろうか。そもそも大地震さえ予測できなかった。そこに大津波が加わったのだから確かに想定外」という言葉で綴られる。今回、国が発表した東海、東南海の大地震の予測は東日本大震災のことを考えて発表したのだろう。日本の大動脈が走っている東海道沿線に大津波だ押し寄せたら、半端な被害では済まないことは誰でも予測できる。そこに生活している人たちが、どのような経路で避難できるのか、殆ど検討されてこなかった。東日本大震災で2万人以上の犠牲者(行方不明者を含む)を出したことを考えると、東海道沿線で同じ規模の地震と大津波が発生したら被害は数十万人の犠牲者が考えられる。
産業界の直接、間接的な被害を考えたら想像を絶する被害に達するだろう。金額も数百兆円という単位になるだろう。発表では220兆円の被害額となっているが、それだけでは済まない。逃げ場のない場所に暮らしている人たちを、どのような方法で避難させるのか、行政などが考えているが、小生のブログでも紹介した「ノアの方舟」のようなものもその一つであろう。沿岸地域では、東日本大震災の時には14メートルの高さに達している。4階建てのビルがすっぽり入ってしまうほどの津波なのである。避難場所を確保するためにはどうしたらいいか、ということは住民の考え方も考慮して造るべきであろう。「想定外」をなくすためには人間の持っている知恵を全てだし、被害を最小限度に抑える。これが今できることの限界である、というところまで考え抜く。
東海、東南海の大地震は、いつ来ても大丈夫なように覚悟しておかなければならない。勝負は自身が発生してから僅か20分から30分である。その間にできることはそれほど多くはない。短時間でどこまでできるようにするかが問題である。避難場所へどのくらいの時間で到達できるか。「想定外」だったという言葉は使えない。
前にも書いたが、「ノアの方舟」だけでなく、より強固な歩道橋を緊急時の避難所として使えるようなものも考えるべきだろう。4階建て以上のビルが多くあればいいが、行政が考えているほど多くはない。様々な方法を駆使して被害者を最小限に食い止めることが行政の手腕である。