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おこっぺいも

2010-06-28 | ■青森県
大間町といえばマグロが有名ですが、もう1つ、隠れた名産品があって、それは、奥戸(おこっぺ)いも。町内の奥戸地区でしか栽培できないというジャガイモの一種です。

おこっぺいもの歴史は100年以上前にさかのぼる。もともと、この地区は漁師町ですが、不安定な生活を支えようと、県が米国から輸入したジャガイモの種芋を地区の主婦が改良して畑で栽培したのが始まりだとか。当時、購入価格が6個で3円だったことから、正式には「三円いも」と言うらしい。相当な高級品だったのですね。北海道でも栽培に挑んだ農家あったそうですが、土との相性が悪くて失敗。奥戸の気候と土が合っていたらしく、三円いもは、貴重な現金収入源として、瞬く間にこの地区一帯に広まりました。生産量は、最も多かった時期で年間約1,000トンにものぼったそうです。

ところが、少子高齢化や農業離れが進む中で、「おこっぺいもっこ」の栽培を手がける農家もどんどん減り、今や、収穫量は最盛期の50分の1の約20トン。種芋1個当たりの収穫量が少ないこと、土づくりに手間がかかること、ニホンザルやツキノワグマなどによる食害などがその理由です。

そんな中、昨年から、この地区の町内会長を務める野崎信行さんが、伝統ある奥戸いもの復活を目指して様々な活動に取り組んでいます。まずは、外部の見識者に意見を聞こうということで、弘前大学の研究者が中心となって設立された地域づくりのNPO法人「ひろだいリサーチ」に協力を求めました。「ひろだいリサーチ」では、おこっぺいもの希少性に注目して、ブランド化を提言、昨年10月には地元の生産者とともに、「奥戸じゃがいもブランド研究協議会」を立ち上げました。

先日開催された「ひろだいリサーチ」の総会には、野崎さんも会員として出席されていました。ブランド化への動きは着々と進んでいるらしく、階上町の菓子店と提携して開発したケーキやパイの試食品も持ってきてくださいました。



「おこっぺいもケーキ」は、見た目は白いモンブラン。クリームの部分におこっぺいもが使われています。ほんのりとした食感がとても爽やか。茹でたおこっぺいもが、ひとかけらトッピングされているのがオツです。初めておこっぺいもを口にしましたが、確かにほくほくしていて、普通のじゃがいもにはない甘さがありました。ビタミンも豊富だし、しかも低カロリー、というのは時代のニーズにも合っているし、ケーキやお菓子に加工するまでもなく、そのままでも十分いけるのでは、と思いました。

最近、このように、地域独特の農産物を掘り起こしたり、ブランド化したりする取り組みが県内あちこちで見られるようになっています。田子町のニンニク、深浦町のふかうら雪ニンジン、鰺ヶ沢町の毛豆、弘前市の清水森ナンバ、三戸町のアピオス(ほどいも)…。先日も、野辺地町の小学生が「カワラケツメイ」の種を植えたという新聞記事がありました。他にも、まだまだ埋もれている「うまいもの」がたくさんあると思います。昔からその地域でずっと食べられてきたものというのは、自然のうまみがぎっしり詰まった味わい深いものが多いはずです。何よりも美味しいから食べられ続けてきたわけで。

県や大学の研究者がリードしているものもありますが、「成功」への何よりの決め手は、おこっぺいものように、地元の方の熱意でしょうね。「一発芸」に終わらせず、掘り起こした特産品は、次の世代にも受け継いでいかなければなりませんから。

秋になったら、茹でたてのおこっぺいもを食べに奥戸まで出掛けたいと思っています。


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