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カクレマショウ

やっぴBLOG

ストーブ列車は今日も行く。

2010-01-25 | ■青森県
地元では「津鉄(つてつ)」の愛称で親しまれている津軽鉄道は、津軽五所川原駅と津軽中里駅を結ぶ私鉄ローカル線です。総延長20.7km、駅数12(内9駅は無人駅)という小さな鉄道ですが、津軽の「冬の風物詩」として有名な「ストーブ列車」は、よく知られていますね。

全国各地のこうしたローカル線は、どこも経営難にあえいでいますが、津鉄もご多分に漏れず、年々乗降客が減り続けています。

そこで、2006年、津鉄をこよなく愛する地元の有志が津鉄を支援するために設立したのが「津軽鉄道サポーターズクラブ」です。津鉄を全国的にアピールして多くの観光客に来てもらおうというのがクラブの大きな趣旨ですが、それだけではなく、津鉄という「地域のシンボル」を生かしながら、地域全体を元気にするための様々な活動を展開、過疎地域のまちづくり運動にまで発展させているところがすごいところ。



昨年は、津鉄沿線にある旧金木町出身の太宰治の生誕100年記念行事ももりだくさんでした。小説『津軽』の朗読会を列車内や駅構内で開催したり、芦野公園での「幻の観桜会」、五所川原市主催の「走れメロスマラソン」への協力…。「真夏のストーブ列車」という意表をつく企画も。また、津軽鉄道(株)が実施している「津軽鉄道レールオーナー」(1mあたり5,000円で津鉄のレールオーナーになれる)の募集にも、サポーターズクラブが積極的に協力しています



先日、久しぶりに津鉄に乗ってみました。以前と比べて明らかに変わったなあと思ったのは、「活気」でした。語弊があるかもしれませんが、「商魂たくましい」部分が多分に見られました。いえ、決して悪い意味ではありません。



たとえば、2007年から導入されたという「ストーブ列車券」。ストーブ列車は、12~3月までの冬期間のみ、1日2往復運行されていますが、すべての車両にストーブがあるわけではありません。3両のうち、1両のみがストーブ付き(1車両つきに2ヶ所設置)。で、この車両に乗車する場合には、通常運賃のほかに、ストーブ列車券(300円)を購入する必要があるのです。この収入はけっこう会社にとって大きいのではないでしょうか。多くの観光客は、「ストーブ列車」に乗りたくて来るわけですから、そこに対価を求めるのは当然なのかもしれません。

ただ、こうなると、地元の人の足としてのストーブ列車ではなく、完全に観光資源としてのストーブ列車になってしまいます。ストーブ列車の車両には、もちろん地元の人は誰も乗りません。ストーブ列車目当ての観光客と、スタッフ(車掌、「トレイン・アテンダント」と呼ばれる案内役の女性、ダルマストーブで焼いて食べるスルメや日本酒、記念品を売りに来るおじさんなど)だけの完全に閉じられた空間がありました。スタッフは、車内を歩き回りながら、記念品や日本酒を勧めてくれます。

私が以前乗ったときは、地元の人もストーブを囲んで和気あいあいとした雰囲気でした。スルメはその頃から売りに来ていましたが、地元の人が買ってくれて、食べへ~(どうぞ食べなさい)と差し出してくれたものです。

今は、そういう地元の乗客と触れ合うことはストーブ列車に乗っている限り、まずないでしょう。もちろん、スタッフは地元の人ですから、今回乗った時にも、県外からの観光客の皆さんに津軽弁を教えたりしていましたが…。

ストーブ列車って、もともとは、地元の乗客が寒くないように(ストーブ列車の車両はボックス型の古い型式なので、窓からすきま風がはいってくるのです)と設置されたもの、のはずですね。

地元の人たちとかけ離れてしまったストーブ列車。ストーブ券は、確かに収入増の手段としてはいいアイディアだと思いますが、他方ではこういう淋しさも少し感じた次第でした。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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ディープ津軽 (鈴木輝一)
2010-02-28 11:43:43
こちら馬路村私設応援団員のスーさんです。
①馬路村にも森林鉄道跡があり昭和のノスタルジーを誘います。森林鉄道の動態保存の声も聞きますが300m程度の環状線で動く程度。
②ストーブ列車に乗り「地吹雪」の津軽体験は「男のロマン」をくすぐります。毎年消えていく鉄道路線を思うと、ぜひ生き残って頂きたい。
③2月25日夕刊日経を読んでいたら青森・BOROの話のっていた。国営放送・美の壷でもBORO見たばかりだったので、マリアージュならぬメデイアージュで、仕掛けに踊らされてると感じました。前衛美術の青山ブック店でも都築響一の講演会があったんですね。ぜひお話、聞きたかった。
④津軽三味線やストーブ列車だけでない津軽を探しに一度走りに伺いたいです。フレンチの街・弘前の本や百年食堂も読んだがなかなか伺えません。BOROの津軽、知らない未知なる津軽、素敵。
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BORO (やっぴ)
2010-03-03 23:39:17
スーさん@馬路村さま

いつもありがとうございます。

BOROは田中忠三郎先生のコレクションですね。
美の壺、見逃したので再放送を見てみます。
こぎん刺しや南部裂織だけじゃないところに目をつけるなんて、さすが都築響一ですね。

津軽、遠いですが、ぜひ一度はお越しください。
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