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「学校支援ボランティア」についての「廣瀬語録」抄 その1

2011-03-15 | └社会教育
東京都杉並区の和田中学校の取組をモデルとして、国が進めてきた学校支援地域本部事業も今年度で一応終了します。青森県ではこの事業が始まる前から、学校支援ボランティアの活性化を図ってきたわけですが、今年度の同事業実践報告書がこのほどまとまりました。

その中で、学校支援ボランティア研究大会の集録も掲載されているのですが、講師として招かれていた宇都宮大学教授・廣瀬隆人先生の話が、さすがに面白い。学校(教員)と学校支援ボランティア、そして、両者をつなぐコーディネーターの三者の関係や、「地域」と学校、学校支援ボランティアとまちづくりの関係など、廣瀬先生なりの鋭いツッコミが随所に見られます。いくつか「廣瀬語録」を拾ってみましょう。

まず、ボランティアについて。

○私が経験的に発見したボランティアの3つの原則があります。
1 ボランティアは、自分でやりたいことをやるという人たちです。やりたくないことはしないということです。
2 ボランティアは、やり方にこだわります。(自分の)やり方には絶対妥協しません。そういう頑固さも持っているのです。先生とうまくやっていくために、やり方のほうを合意しないとだめなんです。目的というのはいつでも合意します。
3 ボランティアの人たちは感謝の言葉を主食にして生きている人たちです。


このうち、特に「3」については、学校でのボランティア活動を定着させるための「肝」となる部分だと思います。

「学校」という場所に、「ボランティア」が入り込むというのは(あるいは、先生と子どもたち以外の人が入ってくるというのは)少し前なら「普通」じゃなかった。それが今やどんどん「普通」になりつつあります。そのためには、何よりも、先生方の意識が変わること、つまり。ボランティアを受け入れて当然、という意識が必要となります。

○先生方の意識は少しずつ変わってきました。何で変わったか。この学校支援地域本部事業のせいで変わったのです。まず現実にボランティアが来たからです。来たら、最初は心理的抵抗があります。自分の家にドカドカと入ってこられる感じがするのです。皆さんの家に、「お宅の家はだらしないようだから、私、ちょっと手伝いに行ってあげようか」と言われたら、「勘弁してよ」と言うでしょ。「だらしないのは、あんたには関係ないわよ」と思うじゃないですか。そういう気持ちは誰だってあるのは当たり前です。

○学校支援ボランティアを嫌がる先生というのは、もしかしたら正常かもしれませんよ。「学校支援ボランティアがいないと授業ができないですよ」となると、おまえ、どこから給料もらってるんだとなります。でも、そこを今、先生方が乗り越えて、先生だけでは子どもがよくならないんだよと、学校の中だけでは子どもはよくならないよと言い出したのです。

○ですから、学校の先生の意識はそう簡単に変わるものではなく、実践によってしか変わらない。コーディネーターがボランティアを連れてきて、実際に活動してみる。ああ、ボランティアが来たらこんなに子どもたちが喜ぶんだなと、その実践によってでしか先生は変わらない。


子どもが喜んだり、子どものためになったりすることなら、先生方はよしとしてくれるのです。キャリア教育も同じ。成功事例を見ると、最初は懐疑的だった先生が、キャリア教育の実践の通して、子どもが明らかに「変わる」ことを目の当たりにしてその教育的効果に気づいてくれることが多いようです。

さらに、廣瀬先生は、学校にボランティアを受け入れやすくする、ちょっとしたコツを教えてくれます。

○(ある学校では)ちょっとだらしなめにしてあるんだって。ボランティアにつけいるすきを与える学校なのです。カーテンとか汚れてて、「いやぁ、先生、カーテン汚れてるの何とかなんないの?」「いやぁ、、忙しくて。」「私たちで選択してあげるか?」「そうですかぁ」という、ふらちなまでに、無原則的に、何でも頼まれると、「そうですかぁ」という気持ち。

○その小学校は、とにかく先生方が褒め上手なんだそうです。褒め上手のトレーニングでもしているんじゃないかというぐらい褒め上手で、「私たち、ついやっちゃうんだよね」とボランティアは言っていました。


なるほどね。褒め上手。「ボランティアは感謝の言葉を主食にして生きている」。確かにそうですね。

ところで、「学校支援ボランティア」と言うけれど、ボランティアは学校でどんなことができるのか。廣瀬先生の答はここでも極めて明解です。

○ボランティア活動の内容は、ボランティアとコーディネーターが考えるべきです。

○先生方、もっとニーズを出してくださいと言ったって出ないのです。そもそも人にものを頼んで仕事をすることに慣れていないのですから。だから、コーディネーターが場を開発しないといけない。「先生、本当はこんなこと困ってるんじゃないの?」という話をするんですね。

○学校は、もっとボランティアに対して、あるいは、コーディネーターに対してすきを見せることが必要だと思います。つけいるすきといいますか、ボランティア活動をする場所を、ちょっとだけだらしなくしておくことです。


学校には、まだまだボランティアがやってもいい「仕事」がたくさんあるのです。それをどうやって見つけていくか。学校側が「ああしてほしい、こうしてほしい」と言ってくれるのを待っているだけではだめで、ボランティアとコーディネーターが自分たちで見つけていくことが大切。そして、それをうまく先生に伝えることがコーディネーターの役割なのでしょうね。

まだまだ「廣瀬語録」は尽きません…。次回に続きます

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