
高校3年生の夏。
大学の下見と称して東京に遊びに行った時、親戚のお姉さんが映画を見に連れて行ってくれました。新宿の映画館でした。「時計じかけのオレンジ」。1971年に初公開されて以来、あれが日本での3度目の公開だったことをずっとあとになってから『キューブリック』(イメージフォーラムNo.95)という本を読んで知りました。
暑い暑い夏の日だったことを覚えています。自分がボーダーのTシャツを着ていたこともなぜか鮮明に覚えています。あの映画の強烈な印象と共に。
その時はもちろんスタンリー・キューブリックという監督のことは何も知らず、「2001年宇宙の旅」の監督であることさえ知らなかったのかもしれません。でも、この映画は私がキューブリックと出会った作品として、忘れられない映画となっています。
原作はアンソニー・バージェスの同名小説(1962年)。『映画監督スタンリー・キューブリック』(晶文社)によると、「時計じかけのオレンジ」(A Clockwork Orange)とは、「それは時計じかけのオレンジくらい変なものだ」のように使われるコックニー(ロンドンっ子)特有の言い回しらしい。要するに、「極めて変てこりんなもの」ということでしょうか。この小説のテーマは、「善より悪を選ぶ自由を否定するのは、その悪よりさらに悪いことなのではないか」というものですが、それはキューブリックにより映画化されたこの作品にもそのままあてはまります。
近未来を舞台として(といっても1970年代らしいのですが)、変てこりんな英語を話しながら「ウルトラ・バイオレンス」(=悪)に身を委ねることに快感を覚える変てこりんな若者が、変てこりんな人格矯正治療によってフツーの人間(善を選ぶ人間)となる。ところが、政治家たちの政治の道具として利用された挙げ句…。
この映画でもキューブリックは、色彩や照明に徹底的にこだわり、映像的にもスローモーションやコマ落としなど、これしかない、という手法を効果的に用いて完成度の高い作品を作り上げています。これしかない、と言えば、音楽ももちろんそうです。「ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーベン」の第九やロッシーニのウィリアム・テルといった古典をはじめ、シンセサイザーを使った近未来的なBGMが鮮烈な映像をさらに印象的なものにしてくれています。
ところで、「時計じかけのオレンジ」を映画化しようとしたのはキューブリックが初めてではないらしく、なんとミック・ジャガーを主人公アレックス役に、ストーンズのメンバーをほかの非行少年役にして映画化する話もあったらしいです。キューブリックが映画化してくれて、よかった。マルコム・マクドウェルをアレックス役に見い出してくれて本当によかった、と思いますね。
この映画についてはまた改めて書きます。
「時計じかけのオレンジ」>>Amazon.co.jp
大学の下見と称して東京に遊びに行った時、親戚のお姉さんが映画を見に連れて行ってくれました。新宿の映画館でした。「時計じかけのオレンジ」。1971年に初公開されて以来、あれが日本での3度目の公開だったことをずっとあとになってから『キューブリック』(イメージフォーラムNo.95)という本を読んで知りました。
暑い暑い夏の日だったことを覚えています。自分がボーダーのTシャツを着ていたこともなぜか鮮明に覚えています。あの映画の強烈な印象と共に。
その時はもちろんスタンリー・キューブリックという監督のことは何も知らず、「2001年宇宙の旅」の監督であることさえ知らなかったのかもしれません。でも、この映画は私がキューブリックと出会った作品として、忘れられない映画となっています。
原作はアンソニー・バージェスの同名小説(1962年)。『映画監督スタンリー・キューブリック』(晶文社)によると、「時計じかけのオレンジ」(A Clockwork Orange)とは、「それは時計じかけのオレンジくらい変なものだ」のように使われるコックニー(ロンドンっ子)特有の言い回しらしい。要するに、「極めて変てこりんなもの」ということでしょうか。この小説のテーマは、「善より悪を選ぶ自由を否定するのは、その悪よりさらに悪いことなのではないか」というものですが、それはキューブリックにより映画化されたこの作品にもそのままあてはまります。
近未来を舞台として(といっても1970年代らしいのですが)、変てこりんな英語を話しながら「ウルトラ・バイオレンス」(=悪)に身を委ねることに快感を覚える変てこりんな若者が、変てこりんな人格矯正治療によってフツーの人間(善を選ぶ人間)となる。ところが、政治家たちの政治の道具として利用された挙げ句…。
この映画でもキューブリックは、色彩や照明に徹底的にこだわり、映像的にもスローモーションやコマ落としなど、これしかない、という手法を効果的に用いて完成度の高い作品を作り上げています。これしかない、と言えば、音楽ももちろんそうです。「ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーベン」の第九やロッシーニのウィリアム・テルといった古典をはじめ、シンセサイザーを使った近未来的なBGMが鮮烈な映像をさらに印象的なものにしてくれています。
ところで、「時計じかけのオレンジ」を映画化しようとしたのはキューブリックが初めてではないらしく、なんとミック・ジャガーを主人公アレックス役に、ストーンズのメンバーをほかの非行少年役にして映画化する話もあったらしいです。キューブリックが映画化してくれて、よかった。マルコム・マクドウェルをアレックス役に見い出してくれて本当によかった、と思いますね。
この映画についてはまた改めて書きます。
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