カクレマショウ

やっぴBLOG

「はっち」は市民目線のミュージアムだった。

2011-02-13 | ■青森県
八戸市の中心街の真ん中に、八戸ポータルミュージアム「はっち」がオープンしました。

「ポータルミュージアム」とはいったい何なのか? 要するに、まちづくり、アート、観光、ものづくり、子育てを軸とした市民活動をサポートする場所だという。私はてっきり、観光客のための案内所かと思っていましたが、どうも主な目線は観光客ではなくて、市民に向いているらしい。



2月11日、グランドオープン当日の夕方、たまたま「はっち」の前を通りかかったら、通りに面したガラス張りの1階ロビーで何やらえんぶりを演じている。ちょうどオープニングセレモニーが佳境を迎えていたのでした。引き込まれるように中に入ると、3階まで吹き抜けのホールはものすごい人だかり。子どもたちが演ずるえんぶりをちらちら横目で眺めながら、ついでに館内(1~5階)を見てみることにしました。



「市民向け」の「ミュージアム」といううたい文句が、行ってみてよく理解できました。観光客向けには、八戸の食や文化、産業を紹介するギャラリー(屋台形式というのが目新しい)が各階に配置されていて、いくつかあるカフェやレストランも、地元産の食材を使ったメニューが目白押しなのですが、多くのスペースは、市民が使えるホールやシアター、スタジオなどで占められています。中でも人目を引くのは、2~3階に配置されている計4つの「食のものづくりスタジオ」。それぞれ、新しい八戸の食を創造したり、「食育」を楽しんだりするための場として使われるのだという。また、3階には「八庵」、「和のスタジオ」という、畳敷きで掘りごたつの空間もある。ここも市民に貸し出すのだそうです。ほとんどのスペースはオープン仕様になっていて、そこで何が行われているか誰でも見られるようになっているところも、これまでの公共施設とは違う点でしょうか。5階には「レジデンス」と称して、何やら不思議な空間が。若者たちが壁掛けの大きなスクリーンにテレビゲームを映して遊んでいる。ベッドやトイレ、風呂まである。仮想の「生活空間」の中で、何かを創り出しているらしい。



この「レジデンス」もそうですが、全体的に「アート」に匂いもぷんぷんしています。2階のギャラリーには、これまでの八戸の街を舞台にしたアートの変遷が紹介されていました。居酒屋のカウンターで寄席をやったり、横丁でパフォーマンスしたり、なかなか面白そうなことやってたんですなあ。全然知らなかった。ギャラリーに置いてあった「はちみつ」という小さなパンフレットに、これまでのいろんな仕掛けが詳しく紹介されていました。

それにしても、総工費42億円をかけてこれほど大きな公共施設をつくるなんて、八戸市も思い切ったことをするものです。なんたって、42億円といえば、青森市の除雪費2年分に当たりますから。地元紙では、市の「最後の切り札」という表現で、「はっち」に寄せる市民の思いの大きさを紹介していましたが、一方では、「何をするところか分からない」という市民の声があることにも触れています。行きつけの喫茶店のマスターは、「(施設が市民に)使われるんだべが」と言われているけど、我々が使おうと思わなければ使われない、と言っていました。なるほど、もっともです。オープンの日のあの活気がずっと続くとは思いませんが、人が人を呼ぶような施設として、地道に「ミュージアム」し続けてほしいと思いました。


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