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やっぴBLOG

「自殺は深刻な、しかし防ぐことのできる公衆衛生上の問題である」

2007-02-09 | ■青森県
イラク・バグダードで、またもやイスラム教多数派のスンニー派による自爆テロがあり、多数のシーア派の死傷者が出た模様です。イスラム教では自殺は禁止されているはずなのに、なぜ自爆テロが多いんだろうと不思議に思っていましたが、調べてみると、スンニー派の教義によれば、「敵」つまり非スンニー派に対する自爆はジハード(聖戦)としてアッラーによって天国に召される。ただし、民間人に対する自爆テロは単なる「自殺」であり、犯罪とみなされるのだそうです。なんとも都合のいい解釈です。

自殺といえば、日本の自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)は26人で世界11位、先進国(G7)中では1位なのだそうです(2002年、WHO=世界保健機構調べ)。ちなみに、ワースト1のリトアニア(45人)をはじめとして、ワースト10のうち7ヶ国は旧ソ連の国々です。

日本で自殺が急増したのが1998(平成10)年です。この年の年間自殺死亡数は31,755人、前年比で35%増という異常な統計が残されています。その原因として、国立保健医療科学院の報告書は、「関西及び関東の大都市部における自殺死亡数の相対的増加は、社会・経済的要因の関与を推察させるものである」としています。1998年以降も、自殺死亡数は3万人前後で推移しています。

そんな中で、青森県の自殺率は、ここ4年ほど連続して全国ワースト2位を記録しています(ちなみに1位は秋田県)。平成15(2003)年の自殺率は、39.5人(実数576人)。青森県の特徴として、男性の50代の働き盛りと男女の高齢者の比率が特に高いという傾向にあります。また、自殺の原因・動機は、「健康問題」と「経済生活問題」の割合が高いという結果も出ています。特に「経済生活問題」が4割程度を占める点については、青森県を取り巻く経済状況の厳しさを反映しているようで、やりきれない思いがします。

もちろん、このような現状に対しては、県も市町村も対策を講じています。自殺は非常にデリケートな問題ですので、その予防対策にも十分な心配りが必要となります。自殺予防活動には、一次予防(プリベンション)、二次予防(インターベンション)、ポストベンション(三次予防)の3段階があるそうです。一次予防とは、「こころの健康づくり」といったキャッチフレーズで住民の精神的な健康を維持するための試みです。二次予防は、自殺の原因の3分の1以上を占めるといわれるうつ病などの精神的な疾病を抱えた人へのケア、そして三次予防は残念ながら自殺者が出てしまったときの取組です。遺族に対する精神的な支援だったり、青少年の場合は学校での他の子どもたちへのケアや「命の大切さ」について考える学習などがこれに当たります。より根本的な予防対策といえる一次予防が最も重要であることは言うまでもありませんが、どの段階においても、きめ細やかな対応が必要です。

三次予防の事例として、つがる市の保健師さんが、自殺で亡くなった方の「遺族の会」設立に向けて、県内で初めて自殺者の遺族の集いを開くという取組があります。残された家族の方々の悲しみを共有し、軽減することが最大の目的ですが、遺族の皆さんが組織化してそのつらさを市民に語ることで地域の自殺予防につなげたいと思いもあるようです。この種の試みは、まず当事者が「その気になる」ことが肝心だろうと思いますが、当事者が語ることは、もっとも大きな効果を上げることもまた事実です。自殺予防の一つの方策として注目したいものです。

WHOの世界自殺予防デー(9月10日)では、 「自殺は深刻な、しかし防ぐことのできる公衆衛生上の問題である」とうたわれました。この言葉を深くかみしめたい。



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