スーパースター・イチロー

イチローの大記録達成が近づいています。
かつて、オリックス時代のイチローは、私にとって、小憎らしいバッターでした。
岩手県営球場で行われたオリックス─近鉄戦を見に行ったときには、近鉄側の応援席（三塁側内野スタンド）からもライトを守るイチローへの熱い声援が起こり、辟易したことを思い出します。試合は途中降雨でノーゲームになってしまったのですが、確かイチローにはヒットを１本打たれたような記憶があります。
少年のような顔をしながら、右に左に打ち分けるベテランのようなバットコントロールには近鉄投手陣もずいぶんしてやられたはずです。
大リーグに行ってからのイチローは、風格さえ感じさせるようになりました。「スーパースター」の条件は、観客をわくわくさせてくれることだと思っていますが、ニューヨークタイムズ紙が「アーティスト」と呼んだバッティング技術、野球本来のスピード感を思い出させてくれる内野安打や守備、そして大記録への夢と、「魅せる」野球をイチローは演じてくれます。
不言にしろ有言にしろ、まず「実行」してみせてくれるイチローは、まさに「スーパースター」の名にふさわしい選手だと思います。