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化学物質過敏症の治療法

ソースは紛失したが日経にとあるシンガーソングライターが「化学物質過敏症闘病記」みたいなものが連載されていた。趣旨は(1)体調不良に悩まされていた、(2)化学物質が原因だと推定した、(3)医者には理解されなかった、(4)北里大学に「化学物質過敏症外来」があり助かった、(5)家は郊外に引っ越し、症状は落ち着いた、(6)その住居も近隣の洗車場が化学物質を排出したので引越しを余儀なくされた。である。

私は工場勤務時代に湿疹になったことがある、周りが騒いだので注意するようにしたがそれまでは有機溶剤で金型洗浄を1回/1日程度素手で行い、オイル飛沫が充満した職場で、金属粉が混じった鉱物油エマルションと格闘していた。まぁ被れても仕方が無いといったところか。その職場は限定的だったのであまり気にしていなかったが、周りが騒ぐので金型洗浄の際には手袋をして、金属粉対策で長袖の作業着で作業を行い、こまめに手を洗い、ハンドクリームで手を保護した。これで治った。対策が適当であれば医者に行かずとも治ることもあるという好例であろう。

かの記事の筆者は原因究明を放棄し、「化学物質」という不適当な枠組みで原因物質を認識し、大まかな対策しか施していないという問題点がある。もちろん科学的に論理的に該当物質を突き詰めて、その原因物質を防ぐという対策案があるにもかかわらず、無知が所以かどうか分からないが間違った概念である「化学物質」を忌避したことだ。彼女の家に「化学物質」が無いことを祈るがそんなことは不可能であろう。アレルギーでもパッチテストを繰り返し、原因物質を突き止めその素材を忌避する。もちろんこれは自然物質***だ。アレルギーなどは基本的に人口・自然は関係なく、とある物質に免疫過剰反応が出るということであろう。両者とも特定の「化学物質」に反応したのに、前者は前向きに捉え(医者がサポートしているのだから当たり前だ)、おめでたい後者は専門家の意見に耳を貸さず誤った知識を信じ結局解決しない。

似た様な症状に「シックハウス症候群」がある。詳しくは知らないのだが、ホルムアルデヒドなど反応している特定の物質を突き止めその物質を排除していると認識している。なにも「化学物質」がない世界で生きているわけではないのだ。

疑似科学、似非化学、これらと共通するのであろう。結局損するのはその方たちなのだから、宗教を信奉するのはいいのだが、新たな信者を布教するのは止めた方がいい。それより、思い込みを一切削除して、真の治療法を科学的に模索した方が得だと思うのだが、その手の人に話を聞いたことがあるが、頑迷で論理的ではないので「勝手にしたら」と思った。本人は不幸だと思っているようであるが自業自得だ。****

 

*真似しないでください。私の場合は深刻でなかったので、期間限定だから、思いつく対策を全て行ったまでです。たまたま治ってラッキーです、治らなくても職場から開放されれば治ると思っていたし。

**言葉の定義だが「化学物質」でない物質は存在しない。たぶんここでは化学工業で製造された物質をいうのであろう。ところが人工的な化学物質は火を扱った時代から存在している。古(いにしえ)の知恵とされる鋳鉄の製造も酸化鉄から還元反応を用いた人工的化学物質だ(2Fe2O3+6CO→4Fe+6CO2)。墨だってセルロースを燃やした(酸化反応)炭素Cを集めてにかわでまとめたものだし、米も熱化学反応で食べられるようになったのは化学反応を用いたからだ(生米を食べても消化できない)。

***現在の交配による改良は自然本来の種とは全く異なる。偶然を利用しているとはいえ、自然界では淘汰される(生き残れないはずの)代物を人工的に生かしている。これが「遺伝子組み換え」とどういう差があるのか私は大いに疑問を持っている。突然変異種を生育条件を作り出し、繁栄させている状況は「自然」ではないぞ。

****いんちき商売は巧みで信じさせるのが上手いと思う、だから素直に「自業自得」とは言えないのだが。またそれで治る人も居て、善意で語るから性質が悪い。彼らの常套手段は治った例を挙げること、治らなかった人の話はしないこと。

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