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左翼の主張の拙い点

ズル林と多治見が予想通りデッドヒートを繰り広げていますね。批判をかわす意味でももう少しましなところにアメダスを置けないですかね。

 

閑話休題。新安保の野党の拙さは酷いものだ。多くの左翼の方々に理解してほしいのは、「イニチアシブ」は与党が握っているのであり、与党の文法で戦わなくてはならないということだ。
具体的には「憲法違反」という指摘は、与党がそう認識していない時点で負けであり、かつ譲歩を引き出せない。
さらに拙いのは「自衛隊員の危険」を訴えるに至っては、隊員が殉職することを待っていて、「ほら言ったとおりだった」と言いたいだけであり、心底自衛隊員のことを心配していないと見える。自己の論理のためなら自衛隊員の死を望んでいる鬼畜に写るわけだ。

与党の文法から見ると箸にも棒にもかからない空理空論で、自衛隊員の死を望む鬼畜だということだ。左翼の方々にとって言い掛かりかもしれないが、(イニチアシブを持つ)与党サイドからみるとそう見える。

与党の主張を突き崩すには与党の文法で「法の不備と危険」をつかなくてはならない。 これが全くできていない。自己の正義を訴えている馬鹿にしか見えないのである。例は悪いがアフリカ内戦だってイスイス団だって彼らの正義はあろう。その部類と思われていることは自覚したほうがいい。

 

与党の文法で突き崩す方法

1)集団的自衛権
与党の意図は3つの意味があると思う。

1つ目は中国の南シナ海と東シナ海での横暴である。

これに対して速やかな対策を取れるように足元を固めておきたいという意図であろう。
米国主導の下に中国の海洋進出への嫌がらせを行い、海洋進出を阻止したいということだ。この文法の流れでは「日本が制定した国境よりも内側だから海洋ガス田開発は合法だ」という主張は反日的である。湾岸戦争はイラクがクェートの石油盗掘を理由に侵攻した、ナイーブな問題である。さらに南シナ海の礁を陸地化して実効支配するのは国際法違反である。さらにベトナム戦争直後、ドサクサ紛れに中沙の島を実効支配した歴史がある。彼らが横暴でないという事実を探すことは非常に困難である。

野党は「戦争に巻き込まれる」と述べるが少し正しくて、多くが間違っている。南シナ海のシーレーンの安全を保つため(存続危機と被る部分である)に、フィリピン・ベトナムのバックに米日が居ると主張したいわけだ。そのことで軍事的空白地域を存在させない意図がある。
与党はフィリピン・ベトナムに加担しているという主張を中国への抑止力にしたいのである。日米比越南包囲網である。
与党が突かれたくない文脈は「南シナ海で軍事衝突が起きた場合、自衛隊を派遣するかどうか」である。 ここで自衛隊を派遣しないと、中国は個別撃破が可能だと理解するので避けたい。その際、自衛隊はその任務を遂げる能力があるのだろうかというのが不明である。
その点の不明瞭さ(与党にとっても自衛隊にとっても不明瞭)を突けば自衛隊に「能力」があるかどうかを論点にできる。
また日本政府の外交の意図として自衛隊をツールとして活用したいわけであるが、思惑通りに動くとは思えない。
中途半端にツールと扱っていないかという疑問は出てしかるべきである。
 

 

2つ目は日米同盟の片務性であろう。

野党の言う「戦争に巻き込まれたくない」の真逆である。本当に米国は中国が尖閣諸島への侵攻に行動したとき、米国は助けてくれるのであろうかという疑心暗鬼である。米国の本音は明確である。中露が太平洋に進出しないことである(例:アチソンライン)。日本と在日米軍で抑えられればそれにこしたことはないが、別に日本が滅びそうになってから本気を出してもいいわけだ。台湾が決壊すると困るので、日本の優先度は台湾よりは高くない。ロシアを抑えているので低くはないが。尖閣諸島が奪われても米国の本音は「どうぞご勝手に」なのである。少なくとも焦土にならなければ、程度だ。東京大阪に原爆が落ちても構わないと思っているであろう。
自民党はそれを知っているから危機が明確になった以上、見捨てられるのを心配するのである。
左翼の皆さんは自民党が何故米国の犬に成り下がっている(論理的)理由を理解できたであろうか。

米国が日本に戦争を巻き込む可能性は中東への派兵であろう。これは後方支援で突っぱねればいいと思う。もっとも後方支援だから安全とは限らない。それ故、隊員の安全性を引き下げる論理的議論は無意味というより害悪である(発砲許可とか)。あくまで自衛隊員の安全性を「まじめに」考えて欲しい、てか無理か。死んで欲しいんだもんね。
論理ではなく本質的(装備とか運用とか)なところで「自衛隊員」の安全性を議論するのはいいと思う。でもl「死んで欲しい側」が急に変わっても信用しないけどね。 

与党の文法でいうと、この法案にケチを付けるのは後に述べる点でも悪手である。米国に裏切られることは想像したほうがいい。
その上での平和主義の論法は非常識である。スイス的な個別的自衛権を目指すわけでなく、核の傘に収まっている事実を理解できていない。

 

3つ目は朝鮮戦争である。

与党の文法で言えば、朝鮮半島で軍事衝突が起きた場合、補給基地は日本となる。日本が「米国の犬」である理由を述べたが、この点が日本にとって心配事である。モロ集団的自衛権である。韓国政府が外交的に無能なのはおいておいて、日米関係では非常に重要な問題である。
北朝鮮が日本にミサイルをぶっ放すことはおそらくないであろう。重要な仲介者だからである。だからといって(本音はどうでもいいが、自由主義陣営として)韓国を見殺しにはできない。
韓国政府が日本嫌いであるが、日本は自由主義陣営として「大人の対応」をするには法的に心もとないという点が存在する、そこは米国の犬である以上解消しておきたい。

左翼は韓国を見殺しにしていいと主張していることを自覚している。

与党の文法によると、朝鮮戦争が勃発すると物資支援に「自衛隊」および米国・民間が活躍することになる。従来、親日である北朝鮮を刺激することになる。精度の低いミサイルを日本に向けて撃つ可能性は低くない。
北朝鮮からの核を受けないためにも、韓国とは北朝鮮を刺激しない程度の付き合いをするという主張はネトウヨにも受けると思う。

ちょっとふざけてた。本質は韓国に揚げ足を取られないために法整備が必要ということだ。韓国をきちんと「助ける / 見殺しにする」オプションを持つ必要があるということだ。日本の国益は韓国の事情は一切関係なく、他国からの評判が最優先で、韓国事情は一切関係ないということだ、冷たいけど。韓国が滅亡するわけではないので、ある程度恩を売るメリットが、、ないなぁ。

この論理を受け入れて、韓国への対応を考える必要がある。朝日新聞がヘイトされるのはこの辺りであろう。理念は現実と異なるということである。(小さな)現象を紹介しているだけで批判する気はない。

 

左翼に受け入れられないことはない提案だと思うけど、与党の文法に従うとこういう提案ができる。

 

2)存続危機

「ホルムズ海峡が閉鎖されれば、(石油を)他から買えばいい」という主張はありえない。日本の石油調達先の8割はアラブである。震災で発電需要が増した天然ガスでさえ高値で掴まされている。資源への投資は40年スパンで計画されており、余剰分を買い漁っているので高値を掴まされている。きちんと計画的に掘削された原油とは大幅な高値で買う必要があるであろう。相場の100倍で買えればまだいいが、各々の原油掘削施設は優先割り当てが投資によって決まっているので、必要量が賄えないこともあるであろう。ここで述べたいのは資本の論理で石油調達は難しい(金を払えば調達できるというのは幻想)ということである。

そのためにはライフラインを防衛する必要(ホルムズ海峡)であるという政府見解である。左翼の皆様が反発するのは正しい、売る側もホルムズ海峡封鎖は困るからだ。しかし問題を抱えているのはホルムズ海峡だけではないという点である。マラッカ海峡、南シナ海である。そこで積荷の検閲を中国が行うという心配がある。積荷が没収されたり、滞留したり、という心配である。

この与党の心配は左翼が手当てできない問題である。無視すればいい、そこに労力を使うと「半日認定」されるだけでメリットはない。そもそも左翼活動家にメリットはないと思うんだけど。

自衛隊の活動も左翼は心配しなくていい。左翼以上に自民党は自衛隊員の安全に気を使っている。左翼は論理の蓄積で所詮空想だけど、自民党にとれば「部下に派兵を命ずる」的な現実的な責任感を有している。 

 

3)侵略戦争少なくない人々が「安倍総理は戦争をしたがっている」と訴える。

この主張にはメリットがない、馬鹿だと思われている。どうしたら戦争しなくて済むを考えるのがリアリストであるが、やんちゃな過激派が居るのは理解するが、そこを掴まえて「戦争法案」という主張には知性の足りない同情心しか起こらない、議論するだけ無駄だから早く採決しろよと思う。野党が主張する「戦争法案」は(夢想はともかく現実は)事実と異なるからだ。
与党の文法では、「(与党は)戦争はしたくない」この論理を野党が拒否すれば議論は存在しない。

そうではなく、与党の文法で、瑕疵や可能性を訴える必要がある。例えば「侵略戦争」の定義を提案して与党に受け入れてもらうとか。

 

結論じみたもの。左翼は下記の事実を受け入れて、与党の論理で訴えなければ無視されると思う。

・日本軍解体後の平和主義は直後から幻想であった。日ソ不可侵条約は違われ、竹島は実効支配された。

・左翼が述べる「憲法遵守」は自衛隊が発足した時点で絵空ごとである、かつ朝鮮戦争後冷戦時代から空自スクランブルがたびたび発生した。平和ではなかった。

・憲法九条は発布直後から問題を引き起こし、(実質)領土の割譲に至った。全く平和ではない。かつ過去の安全保障変更の指摘は「日本が軍国化する」であったがそんなことはない。

・中国・韓国を支持するのは悪手だと思う。両国とも程度の違いはあれど信頼には値しないと思われていると思う。

 

僕が指摘したいのは「左翼は批判を受け入れたら」という点であり、与党の暴走を御して欲しいと願っている。喧嘩の方法を考えて欲しいものである。

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