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UDの有名人に会ってきた

先日UD(Universal Design)業界の有名人トライポッド・デザイン主宰の中川聰氏のプレゼンというか会議に参加した。氏は「ユニバーサルデザインの教科書」という本を監修されていていわゆる第一人者。

氏に我が社の商品のデザインコンサルタントを委託した関係。UDを売りにしたい社がデザインの監修を依頼したのだ。そこでプレゼンとディスカッションが行われた。

多少はUDについて勉強していたし、技術屋として商品に接してきたので「作る」という観点から見るのは当然だが、「使う」という観点から評価も行ってきた。その点では特に目新しいことは無かった。しかし説明が非常に論理的で明快だった。本を執筆する、コンサルタント業を行う、デザイン(意匠・設計)を行うのでそりゃ当たり前だが。会議に行くまではそんな有名人とは知らず、「プレゼンが上手い」という印象だったのだがちと調べたら教科書を執筆した人だったのでびっくり。そんな有名人だったとは。

ところが依頼した人(商品仕様決定者)はその必要性を漠然としか捉えていなかった。プロに頼めばなんか商品が良くなるかという程度。そのジャンルへの知識が詳しくないので依頼内容がはっきりしない。世の中そんなものなのかしら。コンサルタント業へ依頼するとどういうことが期待でき、そんなことを頼めるのか分からないまま頼むのかしら。それでは頼まれる方は辛い。そもそも仕事の背景から説明しなくてはならないからだ。一方分かってて頼む人も少ないのかもしれない。コンサルが何をやってくれると言う事を知っていれば、部下に指示することも出来るからだ。その方が高コスト(時間・低完成度)ではあるが社内に技術蓄積が出来るので長い目で見ればペイできるであろう。

実は商品のデザインを依頼するデザイナーは工業デザイナーとして完璧であるわけではない。容器の造り方、加飾方法、使い勝手(UD)に精通していなければならない上、業界全てに精通するのは無理であろう。食品パッケージのデザイナーとクルマのデザイナーでは同じ工業デザイナーであっても必要な知識がまるで違う。なので技術屋やコンサルがデザインの方向性をサポートするのだがデザイナーや採用者が聞く耳を持たなければ全く反映されない。今まで私が言ってきたことと同じことを権威ある氏が言うと、仕様決定権者は「なるほど」。ずっこける、説明がロジカルでなかったことは認めるが業界の常識を懇切丁寧に言ってきたのに。技術アドバイザーみたいなスタッフ業は疲れる。

そうかコンサルタント業と言うのは非常に面白くない職業だな。コンサルタント業がどんな代物かを教えることからスタートし、コンサルタントする内容を教え、適切にアドバイスしなくてはならず。しかも依頼者は「商品仕様が決まる」という結果しか興味ないので、商品開発プロセスを教えてもらうという概念すら持ってないかもしれないわけだ。

うわー、コンサルってやな仕事だ。

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インスタントコーヒーの容器はなんとかせい!

省資源がうるさい食品業界でインスタントコーヒーは酷すぎる。詰め替えは建前でしかない存在だし、あのガラス容器は使いにくい、密封が不完全だ。こんなことはメーカーは分かっているであろう。なぜ改良が行われないのか不思議である。

私は広口ガラス瓶にヒートシールしてある紙の一部を破って使用している。こうしないとスプーンで取り出さなくてはならず、全開にしてしまうと出すぎる懸念がある。

実はこの状況で使用すると湿気る懸念がある。パッキンがヒートシール紙のあるところとないところの段差を吸収できないから、密封性が保てないのだ。デスクの引き出しに小瓶を置いておこうものならたちまち湿気るは、スプーンを汚す行為はそもそも飲む気を減衰させ、会社の不味い給茶機で我慢しようというものだ。

詰め替えも売ってはいるが単独で目にすることは少ない。詰め替えの際、わざわざとっておいたヒートシール紙を破らなくてはならず、使用しづらくなるから余程安くないと単品では買わないのだ。

では適当な容器はないのか?そんなものあるに決まっている。ふりかけの容器でもいいし、蜂蜜やゴマの容器だってある。高級品を装いたいならガラス瓶にヒンジキャップでも良い。ヒンジキャップの上にカバーキャップを載せれば安っぽくは見えなくなるなど方法は幾らでもある。

ユニバーサルデザインや使用性が重視される中、これほど遅れた容器を使用している商品は少ないであろう。単価の高い化粧品のような嗜好品ならこれでも許されるであろう。その化粧品ですら低価格ラインは利便性が重視されており、ヒンジキャップが採用されている。

インスタントコーヒー業界は怠慢である。(インスタントコーヒーを作っている会社の製品が全ておかしいというより、インスタントコーヒーだけがおかしいのはこれまた不思議)

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洗剤の計量スプーン

以前、シャンプーのUD(ユニバーサル)について述べたが、今後も気付いた事をupしていこうと思う。

今回は洗剤だ。我が家の洗濯機は自動スタートでドラムが回りだし、その抵抗を感知して水の量(衣類の量)を設定する、水の量だ。他社の商品が分からないためこれがスタンダードだという前提。

K社のある洗剤は洗剤の計量スプーンに洗濯槽の水の量による線が引いてある。洗濯機は水の量を示すのだから、洗剤の量も水の量に応じた量が必要となる。まぁ当然の帰結だ。ところがL社のある製品は洗剤量の線が計量スプーンに引いてある。なんじゃこりゃ、いちいち洗剤のパッケージで水の量に対する洗剤量を調べなくてはならない。

通常、洗濯機メーカーが必要な洗剤量を指示する事は無いだろう、であれば洗濯機メーカーは洗濯量に対する水の量を指示するはずであり、水の量に応じた洗剤量を洗剤メーカーは指定する事になる。ところが計量スプーンに洗剤の重量が示されている。とほほ。。。この事態を猛省して欲しい。

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UD(ユニバーサル・デザイン)は???

世の中UD(ユニバーサル・デザイン)花盛りです。しかし、ちょっと考えてみると「なんか変」という臭いがします。ちょっと胡散臭いのです。UD対応商品だからいいですよ的な香ばしい感じ。

そもそもUDとは誰でも使いやすいことを念頭に置いたデザインです。建築物ではバリアフリーが先行していましたが、これを一般概念に置き直したものと言われています。

都市では車椅子の方が自由に通行できない段差・階段などがあったり、見栄え重視で機能性が悪かったりします。また右側通行なのか左側通行なのかの原則が不明なため、混在し、人間がスムーズに通行する事を考えていないと思われる箇所もあります。そんな障害者にとってと言う視点のみならず万人に受け入れられるデザインをというのが趣旨です。

UDの実例を見てみると良く判るのですが例えばコクヨでは綴じる際に力の少なくてすむステイプラスや左右どちらの手でも使いやすい商品などをそろえています。使うシーンを幅広く検討した跡が見えます。

商品・パッケージの使いやすさ、間違いにくさ、見ただけで・触っただけで使い方が理解できるのは大変大事な事で、いままでアイキャッチ性(となりの商品より目立つこと)ばかりに気が向いていたマーケット担当を説得するにはいい言葉です。

工業デザインは使いやすさ、視認性、見ただけで使い方が理解できる、ことを重視してきました。いまさら建築業界に言われたくないよってのが本音ではないでしょうか。またこんな概念は実際には具体化できるわけも無く、抽象的な概念です。すると「UDを入れとけ」=「点字でも入れとけ」というとりあえずなんかやっとけ的なお達しが来ます。

シャンプーのボトルには凸凹がつけてあり、コンディショナーと間違わないように識別マークが付いています。私は近視なのですが、風呂では眼鏡を外しているため重宝しています。これはこれで結構なのですが、なんだあのデザイン!見ただけで区別が付かないのでワザワザ胴っ腹を触らなければ判らないではないか!

詰め替えるときも間違えそうになるじゃないか!一瞬で識別できるようにしとけ、馬鹿デザイン。*

これなどUDの本質を全く理解していない典型例でしょう。

*追記 さらに買い間違えそうになった。商品を手に取った人が間違った場所に返したのだろう。シャンプーの棚にコンディショナーが置いてあってそれを手にした。やはり絶対馬鹿デザイン。

追記:カテゴリー変更

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