ディケンズ/池 央耿 訳/光文社古典新訳文庫
これは面白い!
翻訳物の常で、いきなりたくさんのカタカナ表記の人物が登場するので、物語に入り混むのに時間がかかったが、死んだと聞かされていた父が、実は生きていると知らされ、長らく幽閉されてメンタルをやられていた父と娘が再会するあたりから面白くなってきて、上巻を一気に読んだ。ただなぜそこまで幽閉されていたかは、明らかになっていない。
フランス革命時のパリとロンドンを行き来しながら物語は進む。極悪非道の侯爵が登場し、それを恥じて袂を分った男がスパイ容疑で裁判にかけられ、たまたま同じような顔をした男が法廷内にいて、人間の記憶とはいかに曖昧かが立証されたことで放免となる。その男は、先の娘と恋仲になり・・・
一方、貴族を憎み、編み物の模様の中に暗号を隠し、デスノートのようなものを編み込んでいる女性が登場。誰も編み物がデスノートとは知るまいが、そちらの行方もまたハラハラする。
最初、ちょっとレミゼブルにテイストが似てるかな・・と思ったけど、レミゼラブルよりは簡潔で読みやすそうである。