なかなかオペラを見る時間がない私でも、ブライベート用の日々のTODOノートに、1幕ごと書いて、1幕見たら消し込んでいけば、オペラを見続けるモチベーションを保てることが分かった。そして、1曲聴いたら、何か楽器練習をする等でやっていけば、楽器練習もオペラ鑑賞も少しずつ進むことが分かった。
そんな風にして観たオペラがこちら。実は先日見た「エルナーニ」とほとんどキャストが同じせいで、最初はなかなか感情移入できなかった。
エルナーニに出てきたドン・カルロはカルロ5世で、カルロ5世の子供がフィリッポ2世(いわゆるフェリペ2世)で、フィリッポ2世の子供がこのオペラのドン・カルロ王子。
つまり「エルナーニ」のドン・カルロは「ドン・カルロ」のドン・カルロ王子のお祖父さんにあたる。「エルナーニ」のドン・カルロは軽薄な人間だったが、ここでは神にも近き偉大なるご先祖様になっていた。
そのギャップに耐えられず、1幕の途中まで見たまま放置していたのであったが、今週になって鑑賞を再開。今日ようやく見終わることが出来た。
このDVDの配役は次の通り。このオペラはパリで初演されたのだが、イタリア語版を作る時に1幕を削り、音楽を半分以上入れ替えて4幕にされている。このイタリア語の4幕版というのが現在もっともよく上演されている版であるが、それに第一幕を復活させて付け加えたイタリア語5幕版をベースに3幕に再構成した版を使っているのがこのDVDである。
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ドン・カルロ・・・プラシド・ドミンゴ
フィリッポ2世・・ニコライ・ギャウロフ
エリザベッタ・・・ミレッラ・フレーニ
ロドリーゴ・・・・ルイス・キリコ
エボリ・・・・・・グレース・バンブリー
大審問官・・・・・フェルッチョ・フルラネット
指揮・・・・・・・ジェイムズ・レヴァイン
演出・・・・・・・ジョン・デクスター
メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
1983年3月26日メトロポリタン歌劇場
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実際、観てみると、「エルナーニ」より数段出来がよい。カルロとロドリーゴの二重唱は、男性の友情を象徴するデュエットとして有名だが、そのフレーズがモチーフとして、2人が舞台にいる時はちょろちょろと流れるのが印象的。
音楽的には、このDVDでは2幕の後半の、火刑を待つ聖堂前の広場での合唱とのオーケストレーションがすごくいい。でも火刑を命じている側を讃えている歌なんて歌いたくないよな~・・・音楽的には歌いたいけど、歌いたくない・・そんな葛藤の中、2幕のエンディングとともに、受刑者の足元に火がつけられるシーンはかなりショッキングである。
エボリ公女役のメゾソプラノ・・・低い音からソプラノなみに高い声まで、全部出さなきゃいけない・・これは難しいと思ったが、グレース・バンブリーは非常によく歌っていた。そしてエリザベッタの最後のアリアは非常に聴かせどころたっぷりで、ミレッラ・フレーニの歌はすばらしかった。ドミンゴも若々しくて素敵だ。
最後に史実を振り返ってみると、このエリザベッタはエリザベート・ド・ヴァロワ(スペイン名イサベル・デ・バロイス)で、カトリーヌ・ド・メディシスの娘だったのね。ということはお父さんはアンリ2世。アンリ2世はノストラダムスの予言で知られる馬上槍試合での事故で亡くなるわけだが、その事故のさなかに彼女はフェリペ2世との結婚式の祝宴に出なければならなかったようです。彼女がフェリペ2世の妃になる前に、ドン・カルロ王子の婚約者であったことは史実のようであるが、ドン・カルロ王子との恋愛は原作者シラーによる創作だという。ドン・カルロ王子は、ドミンゴの演技は英雄的であるが、史実では病弱で、パッとしない人物だったようである。
ま、史実をおさえた上で、オペラに戻ると、不可抗力なれども許されぬ恋、フランドルの反乱、男の友情、カトリックの権威と王の関係・・・いろんな思惑が入り乱れて複雑なオペラになっているが、音楽は素晴らしいし、イマジネーションが広がっていくスケールの大きいオペラなので、観劇後は「よいものを見た」という充実感が得られた。
そんな風にして観たオペラがこちら。実は先日見た「エルナーニ」とほとんどキャストが同じせいで、最初はなかなか感情移入できなかった。
エルナーニに出てきたドン・カルロはカルロ5世で、カルロ5世の子供がフィリッポ2世(いわゆるフェリペ2世)で、フィリッポ2世の子供がこのオペラのドン・カルロ王子。
つまり「エルナーニ」のドン・カルロは「ドン・カルロ」のドン・カルロ王子のお祖父さんにあたる。「エルナーニ」のドン・カルロは軽薄な人間だったが、ここでは神にも近き偉大なるご先祖様になっていた。
そのギャップに耐えられず、1幕の途中まで見たまま放置していたのであったが、今週になって鑑賞を再開。今日ようやく見終わることが出来た。
このDVDの配役は次の通り。このオペラはパリで初演されたのだが、イタリア語版を作る時に1幕を削り、音楽を半分以上入れ替えて4幕にされている。このイタリア語の4幕版というのが現在もっともよく上演されている版であるが、それに第一幕を復活させて付け加えたイタリア語5幕版をベースに3幕に再構成した版を使っているのがこのDVDである。
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ドン・カルロ・・・プラシド・ドミンゴ
フィリッポ2世・・ニコライ・ギャウロフ
エリザベッタ・・・ミレッラ・フレーニ
ロドリーゴ・・・・ルイス・キリコ
エボリ・・・・・・グレース・バンブリー
大審問官・・・・・フェルッチョ・フルラネット
指揮・・・・・・・ジェイムズ・レヴァイン
演出・・・・・・・ジョン・デクスター
メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
1983年3月26日メトロポリタン歌劇場
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実際、観てみると、「エルナーニ」より数段出来がよい。カルロとロドリーゴの二重唱は、男性の友情を象徴するデュエットとして有名だが、そのフレーズがモチーフとして、2人が舞台にいる時はちょろちょろと流れるのが印象的。
音楽的には、このDVDでは2幕の後半の、火刑を待つ聖堂前の広場での合唱とのオーケストレーションがすごくいい。でも火刑を命じている側を讃えている歌なんて歌いたくないよな~・・・音楽的には歌いたいけど、歌いたくない・・そんな葛藤の中、2幕のエンディングとともに、受刑者の足元に火がつけられるシーンはかなりショッキングである。
エボリ公女役のメゾソプラノ・・・低い音からソプラノなみに高い声まで、全部出さなきゃいけない・・これは難しいと思ったが、グレース・バンブリーは非常によく歌っていた。そしてエリザベッタの最後のアリアは非常に聴かせどころたっぷりで、ミレッラ・フレーニの歌はすばらしかった。ドミンゴも若々しくて素敵だ。
最後に史実を振り返ってみると、このエリザベッタはエリザベート・ド・ヴァロワ(スペイン名イサベル・デ・バロイス)で、カトリーヌ・ド・メディシスの娘だったのね。ということはお父さんはアンリ2世。アンリ2世はノストラダムスの予言で知られる馬上槍試合での事故で亡くなるわけだが、その事故のさなかに彼女はフェリペ2世との結婚式の祝宴に出なければならなかったようです。彼女がフェリペ2世の妃になる前に、ドン・カルロ王子の婚約者であったことは史実のようであるが、ドン・カルロ王子との恋愛は原作者シラーによる創作だという。ドン・カルロ王子は、ドミンゴの演技は英雄的であるが、史実では病弱で、パッとしない人物だったようである。
ま、史実をおさえた上で、オペラに戻ると、不可抗力なれども許されぬ恋、フランドルの反乱、男の友情、カトリックの権威と王の関係・・・いろんな思惑が入り乱れて複雑なオペラになっているが、音楽は素晴らしいし、イマジネーションが広がっていくスケールの大きいオペラなので、観劇後は「よいものを見た」という充実感が得られた。