原作を全巻読んでいる私であるが、ドラマを見て、原作に少し配慮を加えてられているように思う。
それは特に日本海海戦のシーンを見て思った。
黒煙をあげて沈みゆくバルチック艦隊・・その映像はそのまま太平洋戦争で攻撃を受け、沈みゆく日本の戦艦の映像と重なって見えるのだ。
爆撃を受けて壊れる船。日本語ではない言葉が聞こえてこない限り、それはロシアのものとはわからないのだ。
昔見たような、日本勝った万歳・・的な日本海海戦の雰囲気ではない。
これはあえて日本かロシアかわからないように作ったのではないかと思う。日本人もロシア人も同じ人間なのだから。これは戦後の秋山真之の述懐につながっていく。
日露戦争は、幾多の幸運が日本に味方し、本来であれば取れないような戦略で勝利を収めた・・・・というか特に陸においては、ロシアが勘違いして逃げてくれた・・・というような話だ。
この薄氷の勝利を過大評価し、日本は方向性を見誤ることになるのだ。
また以前「歴史探偵」でも見たように、この戦争はもしかしたら回避できたかもしれない戦争であることも随所に印象づけるエピソードを取り上げている。明治天皇がギリギリまで戦争を回避しようとしたこと。伊藤博文も回避派であったこと、ニコライ二世自身日本からの最後通牒を受け入れる手紙を送っていたのに途中で握られたこと・・など。原作にも書いてあったのかも知れないが、映像で見て改めて強い印象を与えられたシーンであった。
無論、原作の方が詳しく表現できている部分もある。
黎明期の近代日本を支えてきた人達の、眩しいほどに光り輝く志・・・60年頑張って生きてきた私・・頑張ってはきたが、ここまで輝いてはいなかったなぁ。体力気力の許す限り、もっと頑張らねば・・・なんて思う次第。