アフリカのサハラ砂漠などでは、時々、強力な砂嵐が起こる。ハブーフと呼ばれる。強い風を意味するアラビア語に由来する。このハブーブの砂嵐は下降気流、特にダウンバーストなどの突風で発生する。風が地面に到達すると、乾燥した砂を巻き上げて風にのせ、まるで巨大な「壁」のような外観をした褐色の雲ができる。砂の壁は、最大で幅100kmにも達し、高さも数kmに及ぶ。ハブーブの移動速度は時速35 - 50kmくらいで、備える暇もなく襲来するのである。これが中東やアフリカの砂漠地方の人々を苦しめているのだが、7月9日アメリカ、アリゾナ州フェニックスをこのハブーフが襲ったそうである。フェニックスと言えば、近代ビルが立ち並び、多くの人が働く近代都市である。その都市の街中を覆い尽くした砂嵐は風景をまるで火星のような終末的な光景に変えたというのである。中国の北京も砂漠化の足音が聞こえるという。砂漠化は洪水のように、あっという間に街の風景を変えてしまうことになる。(2018.07.16)