日本の政治、堕落せり。

田中文科相が設立準備を進めていた３大学を不認可とした問題は、図らずも、日本の官僚支配の一端が見えたような気がした。３大学は従来の手続きにそって、準備を行ってきたのであるが、彼らは文科省の役人と田中大臣が一体の考えであると思い込んでいた。あるいは、大臣とは官僚の決定をくつがえすことはないと思っていた。本来なら、許認可権は大臣にあるので、手続き的には今回の田中大臣の処置は間違っていない。マスコミも野党も、この種の場合に必ず持ち出す手法、受験生という最も弱い立場の人間を表に出して、田中大臣を攻撃したので、あたかも田中大臣が思慮に欠けていると評価されてしまったのだが、仮に、許認可権が大臣にないとしたら、とんでもない話である。悪いのは、そのシステムを理解せずに、募集や校舎の建築を行った大学なのであって、あるいは、最後の許認可権は大臣にあり、どうなるか分からないと説明しなかった官僚にあるのであって、受験生が恨む相手は、この人たちである。田中大臣も結局、認可する方向に方向転換したので、たぶん、選挙を意識する民主党の幹部や総理、政府を攻撃する野党、このままの官僚支配を続けたい官僚たちの圧力に屈した格好となってしまった。結果の良し悪しはともかくとして、日本の政治はここまで堕落しているのである。工事を途中まで進めたので、再開するという八ツ場ダムの手法と同じであり、稼動を始めた大飯原発の手法と同じである。あの時も、周りの飲食店のお店のおばさんが客が来なくてと泣いていたのである。

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