風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

ヒダキュウへ(1)

2019年04月29日 | 出版
ある日曜日、妻が「どっかに行きたい」と言い出す。新聞のスポーツ欄を開きJリーグの予定を眺めれば、松本山雅はちょうどFC東京とビジターとしての対戦である。「サッカーでも観にいくか?」とたずねたら、「行く行く」とすぐに話は決まった。実は小生、スタジアムでサッカーを観戦したことがいまだにない。一度体験してみたいなあとはかねがねから思ってはいたものの、なかなか踏ん切りがつかなかった。暑からず寒からず、観戦にはちょうどいい陽気だろう。妻から「このスタジアムってどこにあるの?」とたずねられ、「調布の方だとは聞いたことがあるけれど、行ったことがないからググっておいて」と適当に答える。すると、「これなんて読むの?ヒダキュウって駅?京王線みたいだけど」妻のスマホを覗きこめば、飛田給という駅から徒歩5分とある。ところが、その駅には降りたことがないので、小生も読み方を知らない。
ついでにチケットの取り方も検索してみるが、最近は面倒なのか便利になったのかよくわからないけれど、コンビニ受け取りとか、ぴあでの購入やらが示されることになり、かえって鬱陶しく感じてしまう。当日券なんて、会場に行けばどうせ売り場があることだろうと、気軽な気分で出かけることにする。池袋から新宿に出て京王線に乗り換える。そこで、飛田給と書いてトビタキュウと読むことを知る。ヘー。とにかく一番速く調布に着く電車に乗りそこで乗り換えると、「本日は飛田給と東府中で臨時停車します」という表示が出ているから、府中競馬場でもレースが行われているのだろう。小生は競馬の趣味はないので、そっちの方はよく知らない。
ようやくたどり着きました飛田給駅。線路の脇には畑が見える。のどかで住みよさそうな風情だ。ところが、小生らだけでなく、多くの人々がドヤドヤ列車から出てくる。そこで遅まきながら、彼らもサッカー観戦なんだと気がついた。実は、東京ドームに野球を観にいくときのような気分でいたのである。ドームに行くため後楽園なり水道橋駅なりで降りても、これから野球観戦といういかにもなひとの姿が目立つわけではない。日常的に乗降客が多い駅だからさほど気にならないのだ。ところがその駅ではいかにもサッカー観戦という人ばかり。そのうえ、みなさん青と赤ばかり。小生は松本山雅目当てで来たのであるから、ここはアウェイなのだとようやく認識した。よかった、車内でFC東京の悪口言わなくて。
とりあえずエスカレーターを上がって改札を目指すものの、2Fに出れば駅舎がカマボコ状の構造になっていて天井が高く、開放的で明るい雰囲気だ。おそらくは、サッカースタジアムの建設にあわせて駅舎も改築したのだろうと想像する。まずはトイレへ向かおうとするが、駅員さんが「改札に向かうかたは左側に寄ってくださ~い」と先が明るく光る棒(名称を知らない)で、客を誘導している。初めて眺める光景でなんだかおかしい。小用を終えると、次の電車から降りてきた群衆に巻き込まれてしまった。そのため、土地鑑はまったくないところだけれども、赤青の群に従っていけば、いやおうなく味の素スタジアムに流れていくことだろう。
そして群集のなかをチンタラ進んでいくと、目の前に歩道橋が現れる。そこを上りきると、右手には味の素スタジアムがあり、左手にもスタジアム状のものがある。「なにこれ?」と妻にたずねれば、「私もなにこれ?よ」しょうがないから、正面に掲示されている地図を確認することにした。なんかようわからんのやけど、このへんって、ドッカンドッカンとハコモノが並んでいるようであり、目指すところは右手に進めばよろしいということを理解する。すごいところに来ちゃったなあという印象だ。しかし、気圧されているわけにもいかない。とにかく当日券売り場を探さないことには、尻尾を巻いて帰ることになってしまう。右手に進めばその表示はすぐに出ていた。その指示どおりさらに右手に進み、ようやく売り場を発見する。しかも、東京ドームの当日券売り場ほどは並んでいないようだ。小生らの前には、5名くらいの若い白人のグループが並んでいる。彼らに応じている受付の女性が、流暢に外国語を話してはいるが、英語ではない。スペイン語かなあと思いながら、ようやく日本も多言語対応に配慮するようになったのかなあと考えているうちにこちらの番となり、「大人ビジター自由席2枚」を妻に買ってもらい、観客席へと向かうことになった。
まずは1Fで空きを探したのだけれども、座れそうなところはすでになさそうだ。困ったなあと思っていると、2Fにも席があるようなのでそちらに向かうことにし、ようやく空いている席に腰を降ろすことができた。先ほども述べたが、東京ドームに行くようなつもりを想像していたので、ずいぶんと勝手がちがうんだということを改めて認識する。ファン同士のケンカを避けるためにあえて空き席も設けているし、ビジターチームのファンをそれなりに隔離しているような感じなのだ。小生としても流血沙汰を望んでいるわけではないのだし、そういう文化なのだと納得することにしよう。

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