風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

横浜へ(2)

2017年12月22日 | 出版
野毛で一杯飲んでほろ酔い加減となったら、足の痛みなど吹き飛んでしまった。まさに酒は百薬の長である。そのまま伊勢佐木に向かうことにする。新しい建物があちこちできているけれど、雰囲気は昔とさして変わらないように見える。横浜って繁華街はともかく、裏通りに入ると、東京とはどこかちがってのどかな感じがあり好きだ。もちろん、東京の住宅街も落ち着いているけれど、横浜の方が鄙びているというか、悠然としたものを覚える。隣り近所との関係が東京よりは濃いせいなのだろうか。
川を渡って伊勢佐木町に。久しぶりなので、Y書店本店をのぞいてみることにする。その向かいにあった松坂屋が、小洒落たショッピングセンターに変わっていてびっくり。その隣りはJRAだ。しかも、小生とは縁のうすい方である。Y書店の脇ではイベントが行われていて、アマチュア(?)のバンドの演奏があるようだ。そういう素人参加的な雰囲気が横浜らしくて、いい。そして、久しぶりに入ったY書店であるが、正直に述べることにして、以前ほどの賑わいではないので残念な気持ちであった。昔は、エレベーターガールまでいたというのにとは思うものの、いまさら往時の賑わいを懐かしむだけ無駄なのかもしれない。
以前の中2階は実用書売り場で、YさんやTさんには大変にお世話になったものであるが、現在は文庫と新書の売り場となっている。ワゴンでは次の大河に向けて西郷隆盛の文庫が販売されていた。しかし小生は、西郷って好きになれない。妻は、いまの朝ドラのモデルである吉本せいの生涯を記した文庫を見つけて喜んでいる。その本を買って、われわれはY書店をあとにすることにした。
本当は京急の日の出町や黄金町の方に行きたかったのだけれども、そっちに足を伸ばせば妻の憤激を買うに決まっている。泣く泣く、関内駅方向に向かうことにした。関内の駅前に差し掛かると、H書店はまだ経営されているようだ。それはよかった。そこで妻に、「どこまで行くの?」とたずねると、「このまま横浜球場を抜けると、多分川があると思う」げな。フーン、じゃあ、まっすぐ進みましょうかと、関内駅の前をたらたら歩いていくと、その南口には気に入らない青いヘルメットがデコレーションされている。たしかにそこは青ヘルの聖地ではあるけれど、気に入らないものは気に入らない。わが赤ヘルが、今季もっとも苦手にした相手であった。来季は青ヘルで内紛でも起こり、戦力が低下することを願っておこう。あ~、赤ヘルの日本一を久しぶりに見たかったなあ。誠也のバカ!
そのまま石川町駅に歩いていく。歩きながら、昔、学生のころ世話になったA先輩に連れられて、われわれ後輩数名で元町から山下公園に歩いていったことがあったなあと思い出した。そして、野郎ばかりで山下公園に行ってもなにも面白くはないのである、という現実に直面したのであった。その後、どこかの立派な中華料理屋さんに入ったのだけれども、われわれ後輩組はA先輩に遠慮してラーメンしか頼まなかったような気がする。しかし、人に連れていかれると、地理をまったく覚えないものである。
それはさておき、石川町も通り越してからようやく川にぶつかって左折。少し歩いて元町の入り口にたどりついた。通りに入ると、伊勢佐木町よりもはるかに賑わっているので少し悔しい。しかし、空き店舗がちらほらと目に付くのは、アベノミクスの限界を示しているのだろう。そしてここにも、高校生だかのブラスバンド部隊が出発の用意をしていた。横浜の元町といえば、東京ならば銀座みたいなものなのだろうか。最底辺層の消費者でしかない小生にはよくわからないし、興味のないことではある。しかし、その最底辺者でも知っているようなブランド名が店を並べている。
「K」マークのかばん屋さんがあったので、妻に「ここが本店なの?」と聞くと、「ここもお家騒動があったみたいで、どこが本店なのかよくわかんない」とのこと。フーン、お金を持っていると、いろいろと利害対立が生じるのだろう。面倒くさい話だし、バカっぽく聞こえるとしても、それが人間なのである。ここは、人間の欲深さをよしとしておこう。
そしてようやく、妻の目指していたタオル屋さんにたどり着いた。妻に付き添って狭い店内を一回りしてみると、小生のなかでささやかな苛立ちが生じてくるのは禁じえない。つまり、タオルなんかのために、わざわざ横浜くんだりまで出むかなければならないのか、というわけだ。タオルなんて東京のどこにでも売っているし、そもそもは山に行きたかったのだ。どうしてわざわざ人ごみのなかに出かけ、しかも、タオルを探さなければならないのだろうか。無政府共産主義者としてはまったく納得のいかない話であるので、商品を物色中の妻に文句をつけることになる。
しかし、すでに元町に来てしまっており、きょう一日を最初からやり直すことなどできはしない。したがって、すべてをあきらめることにした。結局、中華街に寄って晩飯もどきを食べてから、地下鉄で池袋まで帰ることになる。元町・中華街駅から池袋まで、最短で40数分である。ずいぶんと便利になったものだ。

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