風塵社的業務日誌

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『反日革命宣言』(01)

2019年01月28日 | 出版
いやあ、本当に出してしまった『反日革命宣言』。まさか、この本を復刊することになるとは思ってもみなかった。現在チボチボ進めている風塵社の「復刊ライブラリー」は、R社M社長に初めてお会いしたときに思いついたものであったけれど、そのラインナップに『反日革命宣言』は入っていなかったのだ。どうして本書の復刊をする気が湧かなかったのかは一つ大きな理由があるけれど、オープンにすることはできない。ただし、公安関係に関するものではないことは明言しておこう。
本書を初めて読んだのは、91年のことなのだろうか。ある事務所の書棚に転がっていたものを借りて読んでみた。書名や内容はともかくとして、著者名がなんのこっちゃという感じでわからない。また表4(裏表紙)に掲載されている2名の肖像写真の意味もわからない。なんだかなあ、大言壮語のわりにはずいぶんと内輪向けだなあという印象であった。用語もそうである。米軍のことをUSA帝反革命軍なんて称しているから、ジャーゴンを活字化しているような感じだ(以上述べたことは、復刊版を見ればよく理解されることだろう)。そのため、再び開くことなく最近にいたっていた。
それを、ある日突然復刊しようと思い立った。理由は「復刊にあたって」に述べておいたけれど、「反日」なる単語が人口に膾炙しているこのご時世、ほんまもんの反日を復活させようというそれだけの話だ。セールス的に成り立つのかどうかはときの運もあるので、現状ではなんともいえない。爆発的に売れて弊社を苦境から立ち直らせる一冊になってくれればもちろんありがたいが、ややクロぐらいに収まってくれればなあというのが、小心者である小生の正直な願いだ。
一方、復刊作業は一向に捗らなかった。復刊の場合、そもそもの基礎的なものはすでにあるのだから、校正だけしっかりやれば恥ずかしいものにはならないはずである。ところが先ほど述べたように、『反日革命宣言』はそれ自体として完結した姿にはないのである。そこを現在的な視点から補足しておかなければ、なんのこっちゃという自涜系の本になってしまう。そこをどうしようかと考える。
考えていた昨年、ある集会があった。小生が司会をしていて、船本洲治著『黙って野たれ死ぬな』を復刊されたKという版元のSさんにも発言していただいた。その内容はほとんど忘れちゃったけれど、彼は内部の熱い思いをスマートに表現された。それを聞きつつ、『反日革命宣言』の復刊作業に本格的に取り組むのならば、序文は小生で書くしかないかと決めることになる。実は、Eさんに書かせようとハラのうちでは黒いことを画策していたのだけれど、それは無理だろうし時間もかかるとあきらめることにしたのだ。
だがしかし、その後あのクソ暑い夏がやってきた。こちらの早く前に進もうという気持ちと裏腹に、作業はまったく進行しないことになる。さらに、他の本も作って売らなければならない。おかげで進行がまったく止まってしまった。そのうえ、自分で書くしかないかと決めた序文がまったく進まない。そこが決まらないと、コピーなり、オビ文なりも決まらない。つまり、外回りの制作も、書店営業もできないということである。
困ったなあと悶々としているとき、ふと思いついた。その前記した集会で講演されたOさんの講演録を最後に載せちゃえばいいじゃん、と。その講演録のテープ起こしと整理作業をしたのは小生であり、それはあるミニコミ誌に掲載した。したがって、あとはOさんの了解をいただけばそれでいいのだからと、ある日、Oさんがロシア革命についての講演をしている某所に出向き、直接了解をもらうことにした。
Oさんには快く了承していただき、こちらはシメシメとほくそえむことになる。そこまではよかったものの、いまだ序文が書けない。書くべき内容はオツムのなかに入ってはいるのに、そのアウトプットの仕方がわからない。そこである日、アウトラインでいいから、きょうこそはとにかくアウトプットを一度してみようと、昼からワインを飲みつつパソコンに向かうことにした。要するに、酔っ払いパワーでやっつけちゃおうという作戦だ。
昨年、KMさん著『教養としての現代社会入門』という本を刊行させてもらった。その編集作業中だったか、酒を飲みながらKMさんと話をしていたら、その本を書く前に意識していたのは『共産党宣言』とのことであった。ああ、そうか。「宣言」というのは、左翼の文脈では『共産党宣言』をオリジンとする。ならば、『共産党宣言』のコピーから始めればいいじゃん、と考える。しかし、そのパロディを書いても教養のないネトウヨが本歌を知るわけもないだろうから、それを踏まえつつ自分の言葉で紡ぎだすことにするしかない。
どうしようかなあとウジウジ悩んでいただけで3ヶ月ほど過ぎてしまった。ようやくラフはできた。それに肉付けし、さらに推敲してみる。論理的に破綻しているわけはないとは思うものの、他者を惹きつけるだけの訴求力のある文章なのかと考えるとまったく心もとない。さて、どうしたものだろう。

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