風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

索引作り

2018年03月06日 | 出版
多忙さと金欠の気鬱さとがあいまって、だれとも話したくないような日々がずっと続いていた。それでも、某雑誌は終わらせるし、某ミニコミ紙は終わらせるし、弊社の某新刊も入稿までもう一歩というところにこぎつけているのだから、一生懸命に仕事をしていたわけである。けなげなものだ。
そのわりには、昼間のほとんどをヤフー囲碁に費やしていたような気もするのだけれど、おそらくは気のせいなのだろう。しかし、精神状態の悪いなかで囲碁をやっていたから負けがこんでしまい、ずいぶんとヤフー囲碁の順位が下がってしまったものである。
そこで、先ほどの某新刊には索引を入れなければならない。InDesignの索引機能を使って、まずは索引語句を拾い上げていくことになる。他の人がどのように索引を作られているのかを知らないが、事項索引のとき小生の場合は、ゲラ上の該当語句にマーカーを引いていき、あとはそれを見ながらPC上でその語句を拾っていくというやり方である。InDesignならば、同じ語句を複数回拾っても重複は勝手に処理してくれるので、「あれ、この言葉は前に拾ったっけな」といちいち確認しないですむところがありがたい。
それにしても、もっと効率のいいやり方があれば、ぜひご教授願いたいものである。索引拾いはとにかく大変な作業である。DTP時代になってからはかなり楽になったと思うけれど、それ以前はどうやって索引を作っていたのだろうか。『マル・エン全集』の索引作りなんて、発狂する人が5人は出たにちがいない。
それはともかく、語句拾いが終わっても、それをテキストファイル化してからさらにいささか手を入れないといけない。そして、再びInDesignに流し込んで、ようやく索引ページの完成となる。その細かい過程はさておくことにし、ようやく索引ページを組み上げることができた。そして、全体のあちこちに微調整をかけてみたら、現状305ページである。最終ページは自社広告を入れるつもりであるので、そうすると306ページになるということである。
困ったなあとしばし考える。印刷機は16P単位なので、できれば16の倍数である304Pに収めたいのだ。悪くても、16の倍数に8の倍数を追加する形にしたいのである。ページ1枚もののことを業界用語でペラと呼ぶ。304Pに、そのペラを1枚くっつけるのもカッコ悪いなあと悩むことになった。ここでカッコ悪いとは見た目が悪いの意ではなく(そんなの一般の人はまったく気が付かない)、おのれの設計ミスがカッコ悪いということである。
そこで、そうかトビラを別丁(製本時に別の台に据える用紙のこと)にすればいいじゃんと、名案がひらめいた。トビラとは本を開いて最初のページのことで、書名やら著者名やらが記されているページのことを指す。そのページをこれまでは共紙にしていた。共紙(ともがみ)というのも業界用語で、本文用紙と同じ用紙を使うことを指す。そのトビラを別の用紙にしちゃえば、本文は304Pにきれいに収まるというわけだ。
これでようやくうまくいったと、ゲラを出力してから某大学まで著者のKさんのところに打ち合わせに行くことになる。装丁を担当していただく某芸大で教えているNさんとも打ち合わせを終えて、ようやくだいたいの日程が見えてきた。いま入試シーズンでいろいろ大変なんですよ、という世間話をあれこれ聞いてから社にもどる。そして、やれやれということで、あとは酒を飲んで帰宅し早々に寝付いた。
そして翌日、目覚ましが鳴ったのを止めてから、きょうはなにをやっつけないといけなかったんだっけと布団のなかで考え始めた。索引作りもようやく終わって、ゲラはKさんに渡したしと前日の行動を振り返りつつ、ハッと気が付いた。最初の1ページ目を変更しちゃったのだから、すべてのノンブルがマイナス2ページとなることになる。そうすると、索引ページに記されているすべての数字をマイナス2に変更しないといけないわけである。膨大なというほどではないにしろ、それなりの量の語句にすべてページのナンバー(これを業界用語ではノンブルと称す)が附されている。それをいちいち手作業で修正していくのか、という話だ。
これはまいった。そんな面倒な作業はやりたくない。しかも、やればやるほどミスが出てきそうだ。どうしたものかなあと思案しつつ会社に向かうことにしたけれど、そんな精神状態では走る気にもなれない。トボトボ池袋へと歩いていくことにする。肝の据わっている人は、そういうときにこそジョギングで妙案にたどり着くのだろうけれど、あいにくこちらは小人である。
そして、どうしようかなあと悩みつつ結論も出ないなか夕方となり、酒を飲み始めることにする。ネットで囲碁を打ちつつ、1杯、2杯と飲んでいたら、突然、ある誤魔化しかたを思いついた。この方法ならば、いまさら索引ページをいじる必要はないのである。よかった、よかった、この案で行こうなんて考えつつ対局していたら、いつの間にかこちらの大石が頓死していたのである。

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