風塵社的業務日誌

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『ぶらぶらヂンヂン古書の旅』が届く

2009年05月25日 | 出版
土日と名古屋に出かけ、日曜の17:00に帰宅。ヤレヤレ疲れたとお茶を飲んでいるうちに、外はドシャ降りとなる。早く帰ってきてよかったと、心の底から思い、風呂に入って早々に寝る。
明けて本日、疲れがなかなか抜けず、すぐには起き上がれない。とはいえ7:00前には起き出し、弁当を作ってから8:30には家を出る。本日は締め日である。今日で5月も終わりなのだ。9:15に出社するが、久しぶりに二日も会社に来なかったので、いささか休みボケのようだ。先週まで、何に焦っていたのかが思い出せない。ファクスからは楠山さんから送られてきた原稿が、ダラーと流れ出ている。
郵便受けには、『ぶらぶらヂンヂン古書の旅』の文庫版の見本(画像)が届いていた。早速開けてみると、あきやまさんの暢気さあふれるイラストが眼に飛び込む。北尾さんの座る車窓の向こうには残雪を抱く山が広がり、最近、山に行ってないなあと思い出す。名古屋よりも、近場の山登りに行きたかった。
本をペラペラ開いてみると、マタンゴの作った旅の地図がそのまま使われていてびっくり。その地図が悪いということもないのだけれど、決して、そんなに素晴らしいわけでもない。しかし、それよりも何よりも、伝統あり格式高い文春文庫のわずか一角といえども、校了間際にマタンゴに急に作らせた図が入ってしまったことは、なんだかこそばゆい。大きな声じゃ言えないけれど、地図を入れたのはただの思い付きだったように記憶していて、しかもトレースを自分でやるのが面倒だったから、「オイ、やっとけ」とマタンゴに伝え、彼女が四苦八苦して作ったものだ。
大きな声じゃ言えない話をさらに続けると、書名は北尾さんが「ぶらぶら人をイメージするようなものがいいなあ」とのひと言から始まった(ご本人が「西荻HIMAZINE」なるフリーペーパーを作ったことがあったり、ぶらぶら人を自称されたりしている。詳しくは『ヘンな本あります』(弊社刊)参照)。こちらは下品に生まれついているので、「ぶらぶら」といえば「チンチン」とワンセットである。そのため、「ぶらぶらヂンヂン」まではすぐに決まった。ところが、その後に続ける言葉にぴたっとしたものがなく、焼酎を飲みながらひたすら考え、「古本漫遊記」だとか「古書巡り」だとかといろいろと悩んだ挙句、「古書の旅」とマタンゴが思いつき即座に決定となった。弊社では、責任者のハンコがいちいち求められるようなことはない。
そこでいい書名ができたと思い込んでいたところ意外にも不評で、北尾さんがあとがきに「ヂンヂンしたい」と書かれているところを「ジンジンしたいの誤植だろ」というバカとか、「北尾さんの本にしてはタイトルが冴えない」とブログに書くアホウとか、「なんの本かわからない」とS社のS氏に言われたりとか、しまいには「ふざけた書名をつけるから売れないのよッ!」と妻に怒られる始末。個人的にはその書名に思い入れがあったけれど、文庫化に際してちがう書名になるだろうと思っていた。そのため、もとの書名が文春内部を通過してしまったのは、少々意外でもある。
そこで久しぶりに『ぶらヂン』を開いたのであるが、結構というか、かなり面白いではないか。小見出し下のあきやまさんのイラストも、その雰囲気をよく表している。「築豊」と表記していたのが「筑豊」と直っているし、校正面でもしっかりしたものが生まれたことは大変うれしい。しかも文庫版では、北尾トロさんが藤沢周平をたずねる庄内への旅を追加し、古本旅のカタチがより一層深みをましている。しかもちょうど240Pで、紙の取り都合もバッチリである。本書が多くの読者を獲得することを期待しておこう。620円だよ。
ついでに35万円ほしさに、『ぶらヂン』でいい男感想文にでも募集してみようかと思わなくもない。だれがいい男かって?『ぶらヂン』に出てくる、腹巻オヤジに決まっている。
文春Iさんとあきやまさんにお礼のメールを打ち、出荷作業。ところが悲しいことに、締め日というのにろくな出荷量ではない。あっという間に出荷終了。ふざけんな!6月もまた厳しい資金繰りとなりそうで、すでに今からうんざりしているところなのであるが、この怒りをどこにぶつけようか。包丁を持って街頭で暴れるのも人に迷惑をかけるので、弁当を食べながら、盤上で暴れることにする。ところが一暴れどころか、討ち死にの山を築き、あえなく盤上から撤退。
そこであちこちに電話を入れ、ようやくお仕事開始。とはいえ、現在行っている作業は、風塵社とは直接の関係がまったくない某悪事の作業。金もないのによくやっているななど言うこと勿れ。これはこれで大切な作業であるうえ、刻一刻と締め切りが迫ってきている。途中、M印刷S氏が、弊社が制作に関わった書籍をもってこられる。なかなかきれいな装幀であるうえ、内容もタイムリーなものなので、こちらも売れることを期待しておこう。
16:00前、突然眠くなり作業中断。目が覚めるもすっかり作業に疲れてしまい、再び囲碁へと逃避。このあと楠山さんがご来社予定なので、それまでに『読むドキュメンタリー映画』(仮題)の進行表くらい作っておかないと申し訳ないことになる。

ヘンな本あります―ぼくはオンライン古本屋のおやじさん2
北尾 トロ
風塵社

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