風塵社的業務日誌

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猛暑の日曜日(3)

2018年08月29日 | 出版
走りに出かける前、着替えながら体重計に載ってみた。すると、体重57.5キロ、体脂肪率16.5%と出る。まずは55キロで15%くらいを目標にすべきかなと考える。実は現在、こうしたボディイメージがメディアとどういう関係にあるのかというアンソロジーの制作に入っているところだ。10月には刊行したいところだ。
その編著者のひとりであるNさんによると、ビッグデータというあり方はフーコーの提唱したパノプティコン(一望監視装置)の現代版である、ということだ。確かに、おのれの健康データやらなんやらをネットなり、アプリなりに入力していけば、おのずとそれをだれかが利用することになる。そしてアマゾンのお勧め本を想像すればイメージしやすいが、「現状の問題点がどこにあるかを……各自の個性に合わせて提案してくれる」(Nさん)。そしてそれは、アイデンティティは今後どうなるのか、という問いを投げかけるものでもある。ウーム、未来の社会はどうなるのだろうね。
それはともかく、タバコを一服後、中野坂上を目指して山手通りを走り始める。まだ日が落ちきっていないのでいささか暑い。しかし、我慢だ。それにしても、ランナーの姿が目立つ。みんな小生のように、日が落ちるのを待ちきれなかったのだろうか。新目白通りを越え、西武新宿線中井駅に向かう下り坂に至ると、その坂を大勢のランナーが上り、下りしている。歩行者も混じっているけれど、坂のうえから見下ろすとその人の流れが一つの線になっていて、さながらアリの行列のように見える。日ごろはさほど人通りのある場所ではないだけに、なんとも奇異な光景であった。
中井を抜けると今度は東中野へと向かう上り坂になる。走るのに少しブランクがあったけれど、わりと快調だなあと感じる。このまま初台あたりまでトライしてみようかと、つまらない欲がわいてくる。しかし、と走りながらそこで考える。往復しなければならないのである。片道だけならば初台まで走ることは可能だろう。だが、往復を走りきる体力はあるのだろうか。自信はまったくない。やはり、中野坂上までにしておこうと判断する。
以前は東中野でUターンしていたものであるが、現在は中野坂上まで距離が延びている。そのため現在は往復10キロくらいというところだろうか。正確に測ったことがないので、よくわからない。スマホにGPSアプリでも入れれば、その日走った正確な距離なんてすぐに出るだろうけれど、GPSだけはご勘弁だ。妻に監視されるだけである。パノプティコンよりも、妻のチェックの方がよっぽど怖い。そのため、あえてガラケーにしている面もある。考えてもみよう。若い子とお楽しみしたいとどこかに入ったとする。その位置情報がすべて妻の手の平のうえにあるのだとしたら、死んだ方がましというものである。人間には、隠しごとを隠さなければならないという問題もあるのだ(その点にもNさんは触れられている)。
ようやくにして中野坂上に到着。おとなしくそこでUターンする前に、自販でペットボトルの水を購入。まだ暑いから水分補給しないと死んでしまう。水を飲みながらしばらく歩き、飲み終わったところで千早に向けて走り出す。本来ならば、そのへんで路地に入り再び一服するのだけれども、走っているうちに体力の自信がなくなってしまっている。
東中野に向かう坂を上っていると、前方の空に大きな積乱雲が見える。ちょっと崩れたキノコ雲という形状だ。その左側が夕焼けで赤くなっている。「嗚呼、あしたも暑いんだなあ」とあきらめが湧いてくるのはしょうがないだろう。なにせ、小生の体は寒冷地仕様にできているのだから。そして、東中野を通り過ぎ、新目白通りまでもどってきたところでバテてしまった。再び自販で水を購入するものの、走れなくなってしまった。
タラタラ歩きながら、体力の回復を待つしかない。ようやく日が陰ってきて、あたりは夕暮れに包まれつつある。その積乱雲の内部に雷光が光るのが見える。もしかしたら夕立が来るかもしれないなあと危惧する。といって、夕立に遭遇して困るのはタバコが濡れてしまうことぐらいであり、すでに全身汗まみれなのだ。それでも、早く帰宅するに越したことはないと走ろうとするが、脚はなかなか動いてくれない。調子に乗って初台まで行かず、中野坂上でUターンしておいてよかったと身に沁みて思う。八甲田山でも、バカな上官が調子に乗ったせいで多くの遭難者が出たのではなかったではなかろうか。
積乱雲のなかに雷光が走るのを見るのはこれが初めてではないけれど、なんだか線香花火のようで面白い。美しいとは感じないが、自然の持つダイナミズムを視覚化させているように思う。古代の人がそこに神を重ね合わせたのがよくわかるような気がする。そこでようやく椎名町の駅前にたどりついた。わが家が近いとなって、小生の脚も再び動き出した。
こうして這う這うの体でようやく帰宅。本来ならコンビニで缶ビールを買うところ、その欲望を却下しまだビールを飲んでいない。目的は体重計に載ることだ。風呂に入って汗を流してから再び体重計で測ると、体重58キロ、体脂肪率18.5%げな。ハア?なんじゃそりゃ?という数字を目にすることになる。計測器なんてこんなものなのだ。

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