松本人志さんの監督された映画の第3作目だそうです。
『さや侍』 という題名がいいと思いました。
流行り病で妻を亡くした男が 生きる気力を失って脱藩をし お尋ね者になってしまう。 腰に差した鞘には 刃がありません。
ある藩で捕らえられ やはり流行り病で母を亡くし 笑わなくなってしまった若君を 30日以内に笑わせれば 無罪放免、 出来なかったら切腹という 状況になる。
さや侍には 10才くらいのひとりの娘がいて 父を追ってくるのですが(冒頭の写真) ただただ逃げるだけで 切腹すら出来ない父を 情けなく思っている。
そんなこんなで 30あるという 笑わせ芸を 見に行ったのです。
能見隆明さんという 素人同然の54才の方が主役、 なので 科白は全くありません。 前歯が2本しかない これ以上情けない顔の人は 滅多にないであろうと思われる風貌です。
4つ はしょって 合計26の芸が披露されますが とうとう若君は笑わない。 だろうな。
で 切腹という事になる。
当然私も若君同様 笑えなかった。 笑えない芸を延々 映像で見せるのも何だかな と思うのですが 最後は切腹になるのだから 仕方ないか。
この切腹という展開には 唯一といっていいほど 納得させられました。 あの芸で笑われても困る。
僧に託し 最後に読み上げられる手紙は いらないと 思います。 40才を遥かに過ぎて女児を授かったという 松本人志という個人の センチメンタリズムとしか思えない。
「めぐり、めぐり、めぐりめぐって、 あなたが父の子に生まれたように、 めぐり、めぐり、めぐりめぐって、 いつか父があなたの子に生まれるでしょう ・・・ 」 能見隆明という方の演じる さや侍からは こんなロマンは感じられませんでした。
最後まで クールに行って欲しかったかな。
NHK朝ドラ ”おひさま” で たけおを演じておられる 柄本時雄さんが さや侍を見張る牢番役で 出ておられました。 この方、柄本明さんの 次男だそう。 賞等も受けられているそうですが たけお 君と 牢番のキャラが 被っています。 なかなか得がたい個性だと思うので この演技で固まってしまわれない事を祈ります。
基本的に 松本人志という方は好きではありません。 意識して嫌いです。 ですので 何時か 何故嫌いなのか 何者であるのか確かめたいと思っていました。 この映画は ご本人が出演されていないので その糸口にと 見に行ってきました。
いままで 多分誰も 映画では見たことのないキャラクターを 面白く見せていると思います。 最後には キャラクターに肩入れしてしまった ということは きっと凄いことなんでしょう。
でも やはり誰も考えたことのない 笑いが 欲しかったかな? みんなそれを期待して行ったのではないでしょうか。 映画の登場人物も観客も大笑い なのに 若君ひとりがニコリともしないので 切腹になる の展開がベストだったと思います。
午後3時40分の回 観客が9人でした。
ふむふむ ふむふむ の
風呼r でした